Last Updated on 2024年8月2日 by 勝
自宅待機は労働時間か
緊急呼び出しの可能性がある職種については、よく問題になります。
仕事によっては夜中でも携帯がなる人がいると思います。心理的な負担であり、実際に睡眠不足などで過労につながりかねません。会社は実情を把握して適切な対応をしなければなりません。
原則的には、自宅にいる時間は指揮命令下にあるとはいえないので、労働時間にあたらず、この時間に、通常の賃金を支払う義務はないとされています。(平成21年奈良県立病院事件)。
しかし、いつ連絡がくるかわからない状態なのであれば、業務から完全に解放されているとは言えません。一定の負荷があれば、それに対して対価を支払うのは当然です。
そこで、実務では、緊急呼び出しの可能性が高い職種では、一定額の「自宅待機手当」を払うことが行われています。もちろん、実際に呼び出しがあって出動した場合には、この手当とは別に、移動時間も含めて時間外賃金を支払わなければなりません。
待機手当の額
待機手当の額は定額で定めるのが一般的です。
呼び出される可能性だけではなく、深夜の時間帯に及ぶ可能性があるか、服装などに制限があるか、遠方外出の制限があるか、飲酒の制限があるかなどによって手当の額を検討します。当然、制限が多いほうが待機手当が高くなる要素になります。
その業務が、特定の従業員しか対応できないものである場合は、さらに待機手当が高くなる要素になります。
額の大小はケースバイケースです。ただし、月に数千円程度だと負担に見合っていないという不満が出ると思われます。月に数万円が妥当だと思われますが、各種要素を考慮して決定しましょう。
待機手当を新設するとき、手当額等を変更するときは就業規則、賃金規程の改定が必要です。
職場内での待機
労働者を職場内に待機させ、仕事が発生したらすぐに出動するように命じている場合には、その待機に場所的な拘束があること、業務に備えた状態でいなければならないことから、使用者の直接の指揮命令が及んでいるとされ、結果的に業務が発生しなかったとしても、通常の労働時間にカウントしなければなりません。