Last Updated on 2024年11月19日 by 勝
海外事業所は適用されない
社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用を受けるのは日本国内に所在する事業所です。
日本の企業であっても、国外に置かれた支社等は社会保険の適用事業所になれません。
社会保険の被保険者になれる人
国内から給与を受けていれば被保険者
厚生年金と健康保険の被保険者は「適用事業所に使用される者」と定められています。海外勤務になっても使用関係が継続している限りは、ただちに被保険者資格を喪失するわけではありません。
労働者が社会保険の適用を受けるかどうかは、「使用される」関係があるかどうかで判断されます。基本的には給料が支払われているかどうかです。
国内から給与の一部または全部が支払われている場合
給料が国内から支払われていれば日本の社会保険資格は継続します。給与の一部のみが支払われる場合は、標準報酬月額は国内から支払われる分で決定します。
被保険者資格が継続していれば、国民年金第3号被保険者である配偶者は、引き続き第3号被保険者のままです。
国内から給与が全く支払われず、全額現地法人から支払われる場合は、原則として健康保険、厚生年金保険の被保険者資格は喪失します。
転籍出向の場合は、国内企業との雇用契約を終了させるので、日本での被保険者資格は喪失します。
現地採用者は、日本人であっても、いわゆる海外派遣には該当しないため、社会保険の適用はありません。現地の法令に従って現地の社会保険等に加入しなければなりません。
国民年金の扱い
海外に居住することになれば国民年金の強制加入被保険者ではなくなります。
ただし、日本国籍がある人は任意加入することができます。
保険料は、国内にいる親族等の協力者が本人に代わって納める方法と、日本国内に開設している本人の預貯金口座から引落とす方法があります。
国民健康保険の扱い
国内に住民票がある場合は国民健康保険に加入することができます。
健康保険の被保険者であった人は、条件を満たせば健康保険の任意継続被保険者になれます。
健康保険の海外療養費
健康保険資格が継続している場合は、現地で支払った医療費を、帰国後に協会けんぽ等に請求できます。
ただし、支払った額がそのまま支給されるのではなく、同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額が支給されます。
社会保障協定がある場合
日本と社会保障協定を締結している国で働く場合は、滞在期間が5年以内であり、かつ、その者が日本の年金制度に加入していることを条件に、相手国の年金保険料等を免除してもらうことができます。
社会保障協定が締結されていない国の場合は、二重で年金に加入しなければなりません。
海外旅行傷害保険
健康保険がいったん全額を個人負担しなければならないのに対して、海外旅行傷害保険は保険会社が契約を結んでいる病院であれば現金不要で治療を受けられます。通常は企業が加入します。
治療費が高額になる欧米などでは特に海外旅行傷害保険が重視されています。
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