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労働時間

監視または断続的労働とはどういうものか?

Last Updated on 2025年8月15日 by

労働基準法の規定

労働基準法は、監視または断続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けた者については、労働時間、休憩および休日に関する規定は適用しない旨定めています。

労働基準法第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 (略)
二 (略)
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

宿日直も断続的労働の一つです。ただし、宿日直はここで説明する「監視断続的労働」とは異なる所があるので次の記事を参照してください。

関連記事:宿直日直の制度を導入する場合の注意点

労働基準監督署長の許可が必要

所轄労働基準監督署長に「監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」を申請し、許可を受けることにより、労働基準法の労働時間、休憩、休日について適用除外になります。

監視・断続労働であれば1日8時間という法定労働時間のしばりはありませんが、適用する労働者についての所定労働時間を定める必要があります。その場合、約束していた時間を超えて勤務させた場合は超過時間分の追加賃金(割増しする義務はありません)を払う必要があります。その超過した時間帯が深夜にかかるときは深夜割増が必要です。

「監視・断続的労働に従事する者に対する適用除外許可申請」の様式は厚生労働省ホームページの「主要様式ダウンロードコーナー」のページに掲載されています。

具体的な例

監視・断続的労働とは、通常の労働と比べて労働密度が希薄で、身体の疲労や精神の緊張も少ないとみなされる勤務のことです。

この除外規定は、すごくヒマな仕事が想定されています。この規定を拡大解釈して、それなりに大変な仕事に適用すると問題になります。

監視労働の具体例と非該当となる状態

監視労働は、一定の部署で監視を主たる業務とし、身体的・精神的緊張が少ないと認められるものです。

具体例

  • 守衛、門番:門や入り口で出入りを監視し、緊急時に対応する業務。
  • 宿直・日直:施設内での夜間や休日の見回り、電話応対など。
  • 住み込みのマンション・アパート管理人:日常の清掃や管理業務はあっても、大部分は待機時間である場合。

該当しなくなる状態

以下のような状況では、監視労働には該当しません。

  • 精神的緊張が高い業務:交通整理、駐車場の車両誘導、高価な物品を扱う場所の監視など、常に集中力を要する業務。
  • 危険または有害な場所での業務:危険物などを扱う場所での監視。
  • 通常の業務との混在:監視業務の合間に、頻繁に他の労働(例:清掃、事務作業)を行う場合。

関連記事:夜間の守衛を採用する際の注意事項

断続的労働の具体例と非該当となる状態

断続的労働は、実作業が間欠的で、手待ち時間(待機時間)が実作業時間を上回るような業務です。

具体例

  • 役員専属運転手:送迎業務がない待機時間が長い場合。
  • 寄宿舎の賄い人:食事の準備・片付けの時間が限られており、その間の待機時間が長い場合。
  • 設備等の修繕係:平常時は業務がほとんどなく、緊急の事故発生に備えて待機している場合。

該当しなくなる状態

以下のような状況では、断続的労働には該当しません。

  • 実作業時間が手待ち時間を上回る場合:常に清掃や管理作業を行っており、待機時間がほとんどない場合。
  • 実労働時間の合計が8時間を超える場合:たとえ実作業が断続的であっても、労働時間全体が長い場合は該当しません。
  • 人為的に断続的な労働形態を採用している場合:工場労働のように継続的な作業を、意図的に休憩時間を挟んで断続的にしているようなケース。

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