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労働基準法

宿直日直勤務について

Last Updated on 2023年6月16日 by

宿直日直とは

労働基準法は、監視または断続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けた者については、労働時間、休憩および休日に関する規定は適用しない旨定めています。

労働基準法第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 (略)
二 (略)
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

宿直勤務と日直勤務(以下「宿日直」といいます)も「監視または断続的労働」の一つですが、監視又は断続的労働とは区別されています。

断続的業務を専門に行っている場合は「監視または断続的労働」になります。このページで説明している宿日直の扱いは、通常勤務をしている人が、当番制などで宿日直を割り当てられる勤務です。

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勤務が宿日直だと認められれば、週40時間、1日8時間という法定労働時間について定めた労働基準法第32条の規定が適用されません。

労働基準法施行規則第23条 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第三十二条の規定にかかわらず、使用することができる

つまり、宿日直であれば、深夜割増賃金等が適用されないので、賃金を低くすることができます。

宿日直として勤務させるには、所轄労働基準監督署長の許可が必要です。

宿日直としての許可が下りなければ、通常の勤務として扱わなければなりません。夜間であれば「夜勤」ということになります。時間外労働、深夜労働、休日労働として扱わなければなりません。

宿日直の条件

労働基準監督署長の許可を得るには、概ね次の条件を満たす必要があります。

1.常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可する

2.宿直、日直とも相当の手当を支給すること(1回の宿日直手当の最低額は、宿日直につくことの予定されている同種の労働者に対して支払われる1日平均賃金額の3分の1以上)

3.宿日直の回数が、頻繁にわたるものは許可しない。勤務回数は原則として、日直については月1回、宿直については週1回を限度とすること(宿日直を行い得るすべての労働者に宿日直をさせても不足であり、かつ勤務の労働密度が薄い場合は、これにかかわらず許可することがある)

4.宿直については夜間に十分睡眠がとりうること

さらに社会福祉施設の場合には、通達でさらに詳細な基準が定められています。

上記の条件を満たしていれば、労働基準法施行規則第23条の適用を申請できます。「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」の様式は厚生労働省ホームページの「主要様式ダウンロードコーナー」のページに掲載されています。

運用については規程を定めましょう。

宿日直規程のサンプル

宿日直の注意点

労働の実態を把握する

宿日直は、通常の業務が無いことが前提です。また、宿直については十分な睡眠をとれることが条件になっています。もし、睡眠中にもしばしば業務対応をしなければならないような状況に置かれているのであれば、実態的に宿直勤務とは認められません。同様に、日直についても、時間があるからといって通常の業務をこなすような実態があれば日直勤務とは認められません。

連続勤務について

ほとんど労働する必要のない宿直勤務を行ったとしても、翌日の勤務へ大きな影響はないものと通常考えられるため、法律上翌日が勤務が禁止されているものではありません。ただし、そのようなことがあることも含めて労働基準監督署長の許可が必要です。

問題は、勤務の実態が「ほとんど労働する必要のない」ものだったかというところです。実際には、緊急の対応が重なり、ほとんど眠れない状態だったのに、「宿直」だからということで連続勤務させているのであれば許可条件に違反しています。

医療従事者の扱い

令和元年7月1日基発0701第8号厚生労働省労働基準局長「医師、看護師等の宿日直許可基準について」が発出されています。

常態としてほとんど労働する必要がないなどの一般的な宿日直の要件を満たせば、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限って認めるものの、夜間に十分な睡眠がとり得るなど、通達に示される具体的な要件を満たすことが求められています。

急病患者への対応など、通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが常態であると判断される場合には、宿日直の許可は得られないことも示されています。

十分な睡眠がとれることを前提として、その例を挙げています。

介護従事者の扱い

介護従事者も一般の宿直勤務の場合と同様に、常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを許可の対象としています。

したがって、一般の宿直許可基準が適用されますが、通達では、少人数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業について認めるとしています。

ただし、「軽度」については、おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえる等身体に負担がかかる場合を含まず、「短時間」とは、通達に示された介助作業が一勤務中に1回ないし2回含まれていることを限度として、1回の所要時間が通常10分程度のものなど、と具体的に示されています。

次の通達です。

昭和49.7.26 基発第387号
昭和49.7.26 基監発27号

現場の実態からすると、介護従事者について「軽度」「短時間」の条件を満たして宿直勤務許可をとるのは困難のようです。


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