専門業務型裁量労働制導入のポイント

Last Updated on 2022年8月26日 by

専門業務型裁量労働制とは

専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。

裁量労働制には、ほかに企画業務型裁量労働制があります。

関連記事:企画業務型裁量労働制導入のポイント

専門業務型裁量労働制の対象業種

デザイナー、システムエンジニアなど専門的な19種類の業務に就く者が対象です。

専門業務型裁量労働制の対象業務等については、厚生労働省ホームページを参照してください。

制度導入のための手続

1.労使協定の締結

次の事項について労使協定を結び、労働基準監督署に届けなければなりません(or労使委員会の設置・決議・届出)。

(1)制度の対象とする業務
(2)対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
(3)労働時間としてみなす時間
(4)対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
(5)対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
(6)協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい。)
(7)(4)(5)に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

労使協定例(厚生労働省ホームページ)

2.就業規則への記載と届け出

就業規則記載例

就業規則規定例:専門業務型裁量労働制|就業規則

導入の注意点

制度上のみなし労働時間と実際の労働時間が乖離してはいけません。

委ねるというのは、その業務を遂行する方法や時間の配分の決定等について、その業務にあたる労働者に会社が具体的な指示をしないことです。

具体的な指示をしないということは、ある業務をいつから始めていつ終わらせるかを本人にまかせるという定めなので、例えば、きびしい納期を課すなどの制約があれば、実態として裁量が乏しいとして裁量労働の適用が否定される可能性があります。

また、会社にはその業務にあたる労働者の労働時間を把握し、把握した労働時間の状況に応じて健康及び福祉を確保する為の措置を実施する義務があります。特に深夜勤務や休日労働は、割増賃金の支払い義務があるので、具体的な労働時間を把握しなければなりません。

しかし、裁量労働制において正確に労働時間を把握するのは難しいのが実態です。委ねるというところが裏目に出て長時間労働が常態化する危険があるので注意深い運用が必要です。

会社事務入門労働時間の適正な管理いろいろな変形労働時間制>このページ


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: