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安全衛生管理

衛生管理者

Last Updated on 2023年10月6日 by

衛生管理者とは

労働安全衛生法の定めにより、職種にかかわらず「衛生管理者」を選任して衛生に係る技術的事項を管理させる義務があります。

労働安全衛生法第十二条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

政令で定める規模は50人以上です。常時使用する労働者数が50人以上の場合に選任義務が生じます。

選任すべき数

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、その事業場専属の衛生管理者を選任しなければなりません。また、人数によっては専任が必要になります。

専属というのは、その事業所にしか勤務していないこと(他の仕事を兼任していてもかまいません)で、選任というのはその業務のみに従事することです。

業種によっては、派遣契約や委任契約に基づき、自社の労働者以外の者に衛生管理者を担当させることも認められています。

事業場の規模が大きい場合は複数の選任をしなければならず、次のとおりとなっています。

衛生管理者の人数労働者数
1人
50人〜200人
2人
201人〜500人
3人
501人〜1,000人
4人
1,001人〜2,000人
5人
2,001人〜3,000人
6人
3,001人以上

また、次に該当する事業場にあっては、衛生管理者のうち1人を専任(衛生管理者の業務だけを行う)にしなければなりません。

1 業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
2 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または一定の有害な業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの

常時500人を超える労働者を使用する事業場で、エックス線等の有害放射線にさらされる業務や鉛等の有害物を発散する場所における業務などに常時30人以上の労働者を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとなっています。

衛生管理者の仕事

衛生管理者は、労働安全衛生法第10条のうち衛生に関する事項を担当します。第10条は次の通りです。

第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

具体的には、次の業務です。

1.健康に異常がある者の発見及び処置
2.作業環境の衛生上の調査
3.作業条件、施設等の衛生上の改善
4.労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
5.衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
6.労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
7.その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し、必要な措置
8.その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

また、衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

衛生管理者を選任しなければならない事業場は、同時に衛生委員会の設置義務もあります。衛生管理者は衛生委員会のメンバーになります。

選任と解任

事業場における常時使用する労働者数が50人以上になったときは、その選任事由が発生してから、14日以内に選任しなければなりません。

選任したら、所轄の労働基準監督署長に遅延なく選任報告書を提出しなければなりません。

免許の写し又は資格を証する書面を添付してください。

厚生労働省のウェブサイト「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で作成することができます。統括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任報告は同じ様式を用います。解任も同じ様式を用います。

衛生管理者の資格

衛生管理者になるには試験を受けて衛生管理者免許を取る必要があります。医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントは、試験を受けなくても衛生管理者になることができます。

衛生管理者免許は3種類あります。業務の範囲が広い順に、衛生工学衛生管理者、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者となっています。難しい試験なので、50人近い事業場は早めの対策が必要です。

第一種・第二種衛生管理者免許については、下の公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページを参考にして下さい。

衛生管理者がいない場合

一時的に不在になる場合

衛生管理者が、病気その他の理由で不在になるときは代理者を選任しなけれなりません。

労働安全衛生法第3条の「事業者は、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によつて職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければならない」の規定は衛生管理者について準用されます。

一時的な不在とは言えない場合

衛生管理者の設置義務は労働基準法に定められた義務なので、選任した衛生管理者が、病気等で長期の休業をする、退職する等などの場合は、代理者に衛生管理者の業務を代行させ続けるのは不都合です。

有資格者が社内にいるときはその者を衛生管理者に選任します。社内に有資格者がいないときは、有資格者を雇用するか、他の従業員に試験を受けさせて早急に資格を取得させなければなりません。

労働安全衛生規則には、「衛生管理者の選任の特例」という規定があります。

労働安全衛生規則第八条 事業者は、前条第一項の規定により衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、同項の規定によらないことができる。

不在に備えて、日頃から有資格者を複数にしておくように心掛けましょう。

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