Last Updated on 2025年9月14日 by 勝
メンタルヘルスケアステップ1の「メンタルヘルスケア研修」について、階層別に解説します。従業員の立場に応じて適切な内容を提供することが、効果的なメンタルヘルス対策の鍵となります。
全従業員向け研修
全従業員を対象とした研修では、全員が共通して知っておくべき基本的な知識を伝えます。これはセルフケアを促すための土台となります。
- 目的: メンタルヘルスへの理解を深め、自身のストレスに気づく力を養う。
- 具体的な内容:
- メンタルヘルスとは何か: 精神疾患の基礎知識や、心の健康が仕事や生活に与える影響を解説します。
- ストレスのメカニズム: ストレスの原因、心身に現れるサイン(症状)、ストレス反応への対処法を学びます。
- セルフケアの方法: 睡眠、食事、運動、趣味など、日常生活で取り入れられるストレス解消法を紹介します。
- 相談窓口の周知: 社内外の相談窓口(産業医、カウンセラー、EAPなど)の存在と利用方法を周知し、一人で抱え込まないことの重要性を伝えます。
管理職向け研修
管理職は部下の変化に最も早く気づき、適切に対応するラインケアの担い手です。全従業員向けの内容に加え、部下を支援するための専門的な知識を深めます。
- 目的: 部下の変化に気づき、適切な声かけや支援ができるようになる。
- 具体的な内容:
- 部下の不調サインの見つけ方: 遅刻や欠勤の増加、業務効率の低下、表情や態度の変化など、具体的なサインを学びます。
- 声かけと傾聴のスキル: 部下が安心して話せるような声かけの方法や、相手の話を丁寧に聞く「アクティブリスニング」のスキルを習得します。
- 相談窓口へのつなぎ方: 部下の状況に応じて、産業医や人事部門、外部機関などの専門家へつなぐ方法を学びます。
- ハラスメント防止: パワーハラスメント防止の観点から、部下を精神的に追い詰めない適切な指導方法やフィードバックの仕方を学びます。
3. 人事・産業保健スタッフ向け研修
人事担当者や産業保健スタッフは、メンタルヘルスケアの専門家として、社内の中心的な役割を担います。法的知識や専門的な対応スキルを習得します。
- 目的: メンタルヘルス対策の企画・運営、および個別のケースへの専門的対応能力を向上させる。
- 具体的な内容:
- 労働安全衛生関連法規: ストレスチェック制度や過重労働対策など、関連法規の正確な知識を学びます。
- 個別の対応スキル: 休職・復職手続き、精神疾患に関する専門知識、緊急時の対応方法などを学びます。
- 連携体制の構築: 産業医、保健師、外部機関、管理職との効果的な連携方法について学び、スムーズな情報共有と役割分担を実践します。
- データ分析と改善策の策定: ストレスチェックの集団分析結果から、職場ごとの課題を特定し、具体的な改善策を策定するスキルを身につけます。