Last Updated on 2023年2月13日 by 勝
変形労働時間制においても短時間勤務ができる
変形労働時間制が適用される従業員も、労使協定等による適用除外に該当しない限り、短時間勤務制度の対象になります。
短時間勤務制度とは1日の所定労働時間を短縮し、原則6時間にする制度です。
具体的にはどのように対応すればよいか?
その1
当該従業員を変形労働時間制の対象から外し、通常の従業員の労働時間管理を行うこととした上で、短時間勤務制度及び所定外労働の免除の対象とする。
この方法がシンプルです。
その2
従業員を変形労働時間制の対象としたまま、短時間勤務制度及び所定外労働の免除の対象とする方法を選択する。
「その2」を選択した場合は、
変形労働時間制の対象にしつつ、すべての労働日において1日6時間を超えないよう労働時間を定めたときは、会社が制度として示しても、現場レベルで実際に利用できなければ法違反になる可能性があるので注意して運用しましょう。
みなし労働時間制・裁量労働制
育児短時間勤務と裁量労働制を併用することは可能です。
但し、その際は以下の点に注意が必要です。
1.実際に短時間勤務ができなければならないので、みなし労働時間を単に短縮するのではなく、業務量の削減などを行い、実際に短時間勤務ができることを確保する
2.みなし労働時間を短縮すればそれに伴う賃金の変更が可能
3.みなし労働時間の変更には、労働基準法第38条の3に基づく労使協定又は第38条の4に基づく労使委員会決議の変更が必要
4.裁量労働制であることに変わりないので、時間配分の決定に関して具体的な指示をすることはできない
1か月単位・1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制にかかる労使協定について、対象期間開始前に労働日ごとの労働時間等を変更するための変更が必要となる場合があります。
また、労働者を1か月単位・1年単位の変形労働時間制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理に変更する場合は、労働基準法第32条の4の2規定による清算が必要となります。
労働基準法第三十二条の四の二 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第三十七条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。
なお、対象期間中の労働日を平均して1日6時間以下とする制度では、育児・介護休業法に不適合です。どの日も6時間以下でなくてはなりません。
フレックスタイム制
清算期間における総労働時間は、「〇〇時間(清算期間における労働日×6時間)」又は「所定労働日」及び「労働日1日当たり6時間」等と設定することになり、労使協定の変更が必要となります。
このページの説明は、育児のための短時間勤務制度についての説明ですが、要介護状態にある家族の介護をする従業員に対して、介護のための短時間勤務制度で対応する場合は同様に対処する必要があります。
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