労働安全衛生法の使用停止命令

Last Updated on 2021年8月26日 by

使用停止命令とは

使用停止命令とは、労働災害を未然に防止するために、現場で行われている作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更などを命じることです。

労働安全衛生法第98条に規定されています。

(使用停止命令等)
労働安全衛生法第98条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項又は第三十四条の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる。

対象になる違反

労働安全衛生法第20条(機械等による危険、爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険、電気、熱その他のエネルギーによる危険)

第21条(事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険)

第22条(原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害、放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害、計器監視、精密工作等の作業による健康障害、排気、排液又は残さい物による健康障害)

第23条(作業場の、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持)

第24条(労働者の作業行動から生ずる労働災害)

第25条(労働災害発生の急迫した危険があるとき)

第25条の2第1項(労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理、労働者の救護に関し必要な事項についての訓練、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項)

第30条の3第1項若しくは第4項(数次の請負契約によつて行われる場合も第25条の2第1項と同様)

第31条第1項、第31条の2(注文者の義務)

第33条第1項又は第34条(機械等貸与者等、建設物貸与者の義務)

行政処分

使用停止命令は、労働局長または労働基準監督署長による「使用停止命令書」の交付により発令されます。

使用停止命令は、是正勧告や指導と異なり行政処分にあたります。

命令に従わない場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります。

ただし、行政処分ですから命令内容に不服があれば、行政不服審査法、行政事件訴訟法により争うことは可能です。

労働者等への命令

2 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者に命ずることができる。

第1項は命令の対象者を「違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者」としていますが、この第2項で「労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者」にも命令できるとしています。

即時命令

3 労働基準監督官は、前二項の場合において、労働者に急迫した危険があるときは、これらの項の都道府県労働局長又は労働基準監督署長の権限を即時に行うことができる。

命令は、労働局長、または労働基準監督署長名により文書により発せられますが、労働災害発生の差し迫った危険があると労働基準監督官が判断したときは、その労働基準監督官がその場で、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができます。

注文者への勧告等

4 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、請負契約によつて行われる仕事について第一項の規定による命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該仕事の注文者(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該注文者の請負契約の先次のすべての請負契約の当事者である注文者を含み、当該命令を受けた注文者を除く。)に対し、当該違反する事実に関して、労働災害を防止するため必要な事項について勧告又は要請を行うことができる。

注文者が対象になることもあります。

応急措置の命令

第99条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、前条第一項の場合以外の場合において、労働災害発生の急迫した危険があり、かつ、緊急の必要があるときは、必要な限度において、事業者に対し、作業の全部又は一部の一時停止、建設物等の全部又は一部の使用の一時停止その他当該労働災害を防止するため必要な応急の措置を講ずることを命ずることができる。
2 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者に命ずることができる。

第98条は、法令違反があるときを対象にしていますが、第99条は、違反の事実がない場合でも、「急迫した危険」かつ「緊急の必要」がある場合には命じることができるという規定です。

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