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経理の事務

預り金 勘定科目

Last Updated on 2023年9月25日 by

預り金とは

預り金勘定は、何かの目的でお金を預かる時に使用する勘定科目です。将来的には現金等(資産)が減少するものであるため負債に分類されます。また、長く預かる性質のものではないので、1年以内に支払いが終わる流動負債に分類されます。

給与計算のときに使われることの多い勘定科目です。

社内旅行積立金などのように、1年を超えて預かることが予定されている場合は固定負債に分類します。

預り金の仕訳

【例1】給与から源泉所得税と社会保険料を控除して、手取り額を普通預金から振り込んだ。

借方(左側)給与 貸方(右側)普通預金と預り金

【例2】従業員から預かった源泉所得税を現金で納付した。

借方(左側)預り金 貸方(右側)現金

【例3】社会保険料が普通預金から引き落とされた。(うち、半分は従業員負担分)

借方(左側)預り金と法定福利費 貸方(右側)普通預金

注意点

預り金勘定がマイナスになることもある

従業員から預かった雇用保険料は労働保険料として納付します。労働保険料の支払いは通常は年1回です。従業員からの雇用保険料は毎月差し引くので、労働保険料の納付前には預り金勘定がマイナスになる場合があります。

年末調整で税金の過不足を精算したときに、預かっている所得税より本人に還付すべき金額が多くなった場合にも預り金勘定がマイナスとなります。この場合、本来は税務署に手続きすれば戻ってくるお金なので未収入金という勘定科目に振り替えます。ただし、実務的には税務署から返金してもらうのではなく、翌年1月以降に税務署に納付する源泉所得税額から差し引いて減額納付するのが一般的です。

預り金勘定のマイナスは事務ミスによる場合もあります。給与天引きを忘れたり、勘定科目違いなどの場合です。プラスにしてもマイナスにしても差異の内訳が把握できていれば良いのですが、漫然と処理していると事務ミスが紛れ込んでいることがあるので注意しましょう。

預り金の納付

預り金の納付時期を忘れないようにしましょう。納付が遅れると延滞金がかかることがあります。納付日を忘れないようにスケジュール管理し(なるべく自動引落などを利用し)、支払い後には預り金勘定で不整合がないか確認しましょう。

源泉所得税や住民税は、原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。 ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合は、源泉徴収した所得税等を、半年分まとめて納めることができる特例があります。

また、健康保険や厚生年金保険の保険料については、毎月の給料及び賞与から従業員負担分の保険料を差し引いて、事業主負担分の保険料と併せて、翌月の末日までに納付しなければなりません。

納付状況をすばやく把握するために「社会保険料預り金」、「預り源泉所得税」、「預り住民税」などと預り金勘定に補助科目を設定することもあります。

類似の勘定科目

類似科目に立替金や前受金などがあります。

立替金とは、従業員や取引先などが負担すべきお金を会社が一時的に立て替えて支払った時に使う勘定科目です。預り金は従業員等のお金ですが、立替金は会社のお金です。

前受金とは、得意先への商品やサービスの提供が終わっていない段階でお金を先に受け取ったときに使う勘定科目です。前受金は先々売上になります。

不動産の入居者から預かる敷金や保証金は、預り保証金という勘定科目で処理します。


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