カテゴリー
雇用均等・女性活躍

男女雇用機会均等法に基づく調停等の制度

Last Updated on 2023年10月19日 by

企業内での紛争解決

相談窓口

従業員から苦情の申し出や改善の要求が出たときは、真摯に対応し、早期に紛争を解決するように努力しなければなりません。

男女雇用機会均等法第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

第十一条の三 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

相談窓口の設置と運営

上記の相談は、いわゆるセクハラとマタハラについての相談です。次の記事で定義や対策について説明しています。

セクハラに対する会社の対応

マタハラに対する会社の対応

苦情処理機関

男女雇用機会均等法は、事業主の代表と労働者の代表で構成される苦情処理機関に解決を委ねることを勧めています。

第十五条 事業主は、第六条、第七条、第九条、第十二条及び第十三条第一項に定める事項(労働者の募集及び採用に係るものを除く。)に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とする当該事業場の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。

条文によると苦情処理機関が扱う事案は次のようになります。

第六条は性別を理由とする差別の禁止、第七条は性別以外の事由を要件とする措置、第九条は婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等、第十二条は妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置、第十三条第一項は勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置です。

苦情処理委員会の設置と運営

会社内で解決できればよいのですが、お互いが感情的になったり、主張が平行線をたどるなどして、話合いによる解決が困難になることがあります。そのような場合、都道府県労働局に援助を求めることができます。

労働局長の援助を求める

都道府県労働局長に援助を申し出ることができます。

第十七条 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

次の記事は個別労働紛争解決促進法に基づく労働局長の助言・指導についての解説記事ですが、男女雇用機会均等法による援助申出に対しても同様の対応をしてくれます。

個別労働紛争の当事者に対する労働局長の助言・指導

紛争調整委員会の調停

都道府県労働局長は、紛争調整委員会に調停を行わせることができます。

第十八条 都道府県労働局長は、第十六条に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について、当該紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に調停を行わせるものとする。

調停とは

調停とは、調停委員が当事者である労働者と事業主双方から事情を聞き、紛争解決の方法として調停案を作成し、当事者双方に調停案の受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です。

男女雇用機会均等法に基づく調停は、個別労働紛争解決促進法により設置されている「紛争調整委員会委員会」が行います。

調停を利用する方法

調停制度を利用したいときは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)又は最寄りの総合労働相談コーナー(労働基準監督署内に設置されています)に、調停申請書を提出します。用紙は窓口にあります。また厚生労働省ホームページからダウンロードすることもできます。

労働者が申請するのが一般的ですが、事業主の側から申請することもできます。

調停は非公開で行われるので当事者のプライバシーは保護されます。

調停の進み方

労働局は申請を受け付けると若干の調査をして、調停の必要を認めれば、紛争調整委員会に調停を委任する書類を回します。

紛争調整委員会の委員は、弁護士、大学教授、社会保険労務士などの労働問題の専門家がつとめています。

指定の日時に紛争当事者双方が出頭します。この場合、直接顔を合わせて言い合うのではありません。調停委員が個別に話を聞いて解決案を提示します。

その解決案に対してどちらかが不満であれば、強制することはできないので解決できないまま調停は終了します。

双方が合意すれば合意書を作成します。合意書には法的な拘束力があります。

紛争調整委員会の調停は、参加したくない相手方を強制的に出席させることはできません。その場合は調停を行うことができないので、申請した当事者は調停以外の方法である、裁判等を検討することになります。

制度の対象となる紛争

男女雇用機会均等法による調停の対象となるのは、上の苦情処理機関のところに記載した苦情処理機関が扱う事案です。

解雇、雇止め、労働条件の不利益変更などの労働条件に関する紛争については、個別労働紛争解決促進法に基づくあっせんの対象になります。


会社事務入門あっせんや調停等の制度>このページ