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職場環境 雇用均等法

セクハラに対する会社の対応

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会社は対応する義務がある

従業員からセクハラやパワハラ、職場いじめなどのいわゆる「ハラスメント」の被害にあっているとの申告があったときは、会社はそのハラスメント行為をやめさせる適切な対処をしなければなりません。

労働契約法には次の規定があります。

(労働者の安全への配慮)
労働契約法第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

e-Gov法令検索 2020/08/26

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、いわゆる男女雇用機会均等法には次の規定があります。

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
男女雇用機会均等法第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

e-Gov法令検索 2020/08/26

従業員からセクハラの被害申告があった場合に、会社側がどのような対処をするべきか、厚生労働省の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)」が参考になります。

以下、この告示に沿って解説します。告示はセクハラについてのものですが、他のハラスメントにもほぼ同様の対処で間違いないと思います。

社内体制の整備

まず、就業規則にセクハラについての規定を設けます。ここには基本的な事項を記載し、詳細については「セクハラ防止規程」などを定めましょう。

服務規律|就業規則

セクハラ防止規程

会社は、あらかじめ必要な体制の整備をしておく必要があります。

「あらかじめ」です。実際にそのような問題が起こる前に準備することが大事です。

「必要な体制」とは、セクハラの相談に対応するための「相談窓口の設置」と、単に形式的に設置するだけでなく、その相談窓口が適切に対応できる水準にあることが必要です。

厚生労働省の指針は法律ではないため、セクハラの相談窓口が設置されていなかったり、実質的に機能をはたしていなかったとしても、直ちに法律違反にはなりません。しかし、問題が裁判などで争われることになれば、厚生労働省の指針に従っていなかったことが会社側の不利な証拠として扱われることになるでしょう。

機能する相談窓口とは

1.担当者が明確に任命され、社内に周知されている

2.相談しやすいように、直通の電話番号や、相談専用のメールアドレスが公開されている

3.担当者は相応の権限があり、他の部門と連携した動きが可能である

4.相談マニュアルが準備されている

5.担当者に対する研修の機会が充実している。また、アドバイスをもらえる法律顧問等がいるなど

事実確認と対処

セクハラの申告があったときは、その事実関係を確認しなけれなりませんが、その作業は、迅速かつ正確でなければなりません。

セクハラの申告が相談窓口ではなく、上司や同僚にされば場合には、速やかに相談窓口に報告するように社内周知をする必要があります。

実際には、当事者の上司が当事者から相談を受けるという形で始まることが多いようですが、この時点で、単なる相談事として扱い、上に話しを上げないことが問題をこじらせる原因の一つにもなっています。ハラスメントに関する相談は「被害の申告」なのですから、上司の段階で時間をかけるべきでなく、直ちに会社として公式に対応する「相談窓口」に話しを上げなければなりません。

事実関係の確認手順

1.相談窓口担当者や人事部門、社内規程によって設置されている専門の委員会等が申告した従業員と、加害者とされる従業員の双方から主張を聞きます。

2.双方の主張を聞いた結果、主張に不一致があるときは、当事者以外の従業員などから証言を得ます。

3.以上の作業によっても事実関係を確認するに至らなかったときは、社内解決は困難になります。相当の状況証拠があれば別ですが、確たる証拠もなく会社から、セクハラがあった、あるいは無かったという一方的な見解を押し付けるのは無理筋だと思われます。

行き詰った場合は、会社から労働局の相談窓口に相談し、個別労働紛争解決手段の利用を申し出るとよいでしょう。

また、「迅速」ということですから、会社はセクハラの申告を受けた後少なくとも数日中にセクハラの両当事者から事情聴取を行い、1週間をめどに他の従業員からの聴取を終えるスピード感でやるべきです。

そして、申告を受けて2週間で、会社としての処分の決定、または、事実確認に至らなかった場合の外部あっせんの申し立てを行うべきでしょう。

具体的な対処

セクハラの事実確認ができた場合には、会社はセクハラを行った者(加害者)とセクハラの相談者(被害者)にそれぞれ適正に対処しなければなりません。

具体的には次の通りです。

1.加害者に対して、就業規則にもとづく懲戒処分を検討し実施する

2.加害者に対して被害者に対して謝罪を要求する

3.被害者と加害者を引き離すための配置転換を実施する

4.職務権限を利用しての不利益扱いがあった場合は、受けていた不利益を回復する措置をとる

外部のあっせん等を利用した場合は、双方が受諾したあっせん案にもとづいた措置を講じます。

再発防止対策

会社がセクハラの事実関係を確認出来た場合だけでなく、セクハラの事実が確認できなかった場合にも、セクハラの再発防止に向けた措置を行う必要があります。

再発防止策の例

1.セクハラ防止についての社内啓発をあらためて実施する。具体的にはパンフレットの社内配布などを行う。

2.セクハラに関する意識を啓発するための研修を実施する