Last Updated on 2023年9月26日 by 勝
就業規則はどうなっているか
多くの就業規則は、解雇の事由として次の項目を掲げていると思います。
・正当な理由なく無断欠勤14日以上に及び、且つ再三の出勤の督促に応じなかったとき。
現実には、このような行方不明に等しいような無断欠勤をする人は稀でしょう。
多いのは、1日から数日の無断欠勤をし、上司が注意するが、忘れたころに又繰り返すというようなケースではないでしょうか。その場合は、上記のような規定は適用できません。
もちろん、数日の無断欠勤で解雇というのは厳しすぎると思いますが、7日や10日ではなく、なぜ14日以上なのでしょうか。
それは、行政通達で、解雇できる事例が示されており、その中の一つに、「2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」という記載があるからです。これをもとに作られた就業規則が多いのです。
その是非はともかく、連続無断欠勤で懲戒解雇するには14日というのが一つの基準になっていることは確かです。
では、それよりも少ない無断欠勤にはどう対処すればよいのでしょうか。
行政通達が示す解雇事例には、「出勤不良又は出欠常ならず数回にわたって注意を受けても改めない」というのもあります。
これに沿って、解雇事由に次の項目を追加しておけばだいぶ穴をふさぐことができます。
・正当な理由なく遅刻、早退、無断欠勤が著しく、再三の注意にもかかわらず、改善がみられないとき
ただし、
①どういう場合が正当な理由と言えるか
②著しいとは何回以上か
③再三の注意とは何回か、また、注意した証拠はあるか
など、安易に適用すれば、突っ込まれるところがいろいろあります。内規等で、基準を決め、さらに従業員に周知させることが必要です。
けん責規定を見直す
すぐに解雇を考えるのは短絡的です。
まず、けん責処分をし、それでも改まらない場合に解雇に持ってい行くという運用がよいでしょう
1.けん責処分事由に次を追加する
・正当な理由のない無断欠勤をしたとき
・正当な理由のない遅刻が月に〇回に及んだとき、又は正当な理由のない無断早退をしたとき
2.懲戒解雇事由に次を追加する
けん責以上の処分を受けることが半年間に〇回に及び、特段の考慮すべき事情が認められないとき
注意の記録を残さなければならない
遅刻や無断欠勤に対して、上司は注意を与えていると思います。しかし、注意の記録が残っていないことがほとんどです。争いになったときは、1にも証拠2にも証拠です。あとで証言したり、文書を提出することもできますが、都度都度作成していた文書が強い証拠能力を持ちます。
いずれにしても解雇には慎重になるべきで、なるべく解雇などしない方がよいのですが、放置すると職場の秩序がたもてないという状況であれば、他の社員のためにも毅然とした対応が必要なときもあります。
懲戒処分をするときは→懲戒処分について
ねばり強く指導して改善させるのが一番
従業員には決められた時間に出社する義務があります。そういう約束で雇用されているのですから、約束を守らないのであれば、懲戒処分は可能です。
しかし、悪意のないうっかりミスのような事案で懲戒などというのは重すぎるでしょう説諭はもちろんですが、遅刻しないような対策を当人と一緒に考えてみるなど、懲戒処分の前にいろいろ手立てがあると思います。
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