永年勤続表彰などの記念品は一定の要件を満たせば非課税です

賃金・賃金制度

会社が従業員に創業記念品や永年勤続表彰記念品を支給する場合、次の条件をすべて満たせば給与として課税されません(国税庁タックスアンサーNo.2591)。

創業記念などの記念品

  • 社会通念上、記念品としてふさわしいものであること
  • 記念品の処分見込価額が1万円以下であること
  • おおむね5年以上の間隔で支給するものであること

上記のいずれかを満たさない場合は、支給した記念品の通常の販売価額が給与として課税されます。

永年勤続記念品・旅行等の招待費用

  • 勤続年数や地位などに照らして、社会通念上相当と認められる金額であること
  • 勤続年数がおおむね10年以上である者を対象とすること
  • 同一人を2回以上表彰する場合は、おおむね5年以上の間隔を空けること

要件を満たさない場合は、支給した記念品の通常の販売価額や、旅行・劇場等への招待費用が給与として課税されます。具体的な金額等については顧問税理士にお尋ねください。

現金で支給する場合

永年勤続表彰であっても、現金や換金性の高い商品券などが支給された場合は、その全額が「給与」として扱われ、所得税が課税されるのが現在の税制の決まりです。

税制が現金と旅行等を区別する主な理由は、以下の点にあります。

換金性の有無

  • 現金(金一封): 換金性が最も高く、使途が完全に自由です。税法上は、これは通常の給与や賞与と同じ「経済的な利益」であるとみなされ、原則として課税対象となります。
  • 旅行・記念品: 会社が特定の目的(リフレッシュ、功労感謝)のために現物支給するものであり、すぐに現金に換えることができません。換金性が低いため、福利厚生的な措置として非課税の対象とされやすいです。

福利厚生としての目的

  • 非課税の旅行・記念品: 永年勤続表彰における旅行や記念品は、従業員の慰労や勤労意欲の向上という、会社の福利厚生としての目的が明確です。税制は、この「特定の目的を持つ支出」を、個人の所得として厳密に課税するよりも、社会的な慣習として容認しようという考え方があります。
  • 現金: 目的を問わず個人の自由な消費に充てられるため、「給与(労働の対価)」としての性格が強いと判断されます。

例えば、 会社が用意した「温泉旅行」は使途が限定されていますが、現金は住宅ローン返済や日常の食費など、あらゆる支出に使えます。税法は、後者を「給与」として捉えることで、公平な課税を実現しようとしています。