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賃金

従業員に社宅を提供する場合の課税関係

Last Updated on 2025年8月13日 by

会社が従業員に社宅や寮を貸与する場合、本人から1か月当たり一定額以上の家賃を受け取っていれば、所得税は課税されません。

一定額の家賃の算出

所得税基本通達36-38による簡便計算式は次のとおりです。

一定額の家賃 =

  1. (その年度の建物の固定資産税課税標準額) × 0.2%
  2. + 12円 ×(建物の総床面積(㎡) ÷ 3.3)
  3. +(その年度の敷地の固定資産税課税標準額) × 0.22%

この合計額が1か月当たりの基準額となります。

  • 無料で貸す場合 → この基準額全額が給与として課税
  • 基準額より低い家賃を受け取る場合 → 基準額 − 受取額 が課税対象
  • ただし、受取額が基準額の50%以上であり、かつ労務提供上必要と認められる場合には、その差額を課税しない取扱いがあります(役員は対象外)。

(国税庁タックスアンサー2597)

特殊職種の場合の非課税取扱い

看護師、守衛など、職務遂行上やむを得ない理由で社宅・寮を提供する場合は、無料であっても給与として課税されない場合があります。

社会保険・労働保険での扱い

  • 社会保険
    厚生労働大臣が都道府県ごとに告示で定める標準価額に基づき、報酬に算入します。家賃徴収をしている場合は、徴収額を差し引いた金額が報酬となります。
  • 労働保険
    無償・一部負担の社宅提供は保険料の対象外。ただし、社宅を利用しない従業員への住宅手当は賃金として保険料の対象になります。

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