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賃金

社員研修の費用負担と課税関係

Last Updated on 2025年8月13日 by

会社が従業員の研修費用を負担する場合、その研修が業務遂行上直接必要であれば給与として課税されません。逆に、業務との関連性が薄いと判断されると、給与課税の対象となります。

外部研修への参加費用

従業員の職務に直接必要な技術や知識を習得するための社外研修であり、費用が適正な額であれば、非課税として扱えます。

実際に研修が行われていれば問題になることは少ないですが、実態が不明確な場合は課税の可能性があります。

証拠として残すべき資料:研修案内状、当日配布資料、参加者の報告書などを保管し、税務調査時に提示できるようにしておきましょう。

2. 自己啓発研修の参加費用

自己啓発型の研修でも、以下の条件をすべて満たせば非課税となります。

  1. 研修が業務遂行上必要、または職務の遂行と密接に関連していること
  2. 受講および費用負担において、従業員間に差を設けていないこと
  3. 費用が当該研修の受講に要する適正な金額であること

自己啓発研修は「密接に関連」で判断されるため、外部研修よりも認められる範囲が広めですが、②③の条件を満たすことが重要です。

3. 宿泊を伴う研修

費用の中に「直接必要な部分」と「直接必要でない部分」が混在する場合、必要でない部分は給与課税されます。

  • 必要な部分の例:講義、実習、業務関連の討議
  • 必要でない部分の例:夜の懇親会(軽食程度は宿泊費の一部として可)、翌日のゴルフ、観光名所見学

必要・不要の区分が難しい場合は、時間比率で按分する方法もあります。

名目が研修でも経費処理が認められない例

  1. 主に観光目的の同業者団体旅行
  2. 旅行業者主催の観光旅行
  3. 観光渡航許可を得て行う海外研修旅行

4. 奨学金・資格取得費用

会社が従業員に奨学金を支給したり、学費を負担して通学させる場合、原則は給与課税されます。
ただし、次のすべてを満たせば非課税となります。

  1. 習得する知識・技術が会社の業務遂行上必要であること
  2. その知識・技術が職務に直接必要であること
  3. 費用が適正であること

資格取得費用も同様で、業務に直接必要な資格であれば非課税、そうでない資格(たとえ会社に間接的メリットがあっても)は課税対象です。


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