Last Updated on 2025年6月14日 by 勝
着替えの時間について質問します
若い社員(以下、社員): 課長、ちょっとお伺いしたいのですが、私たちの着替えの時間って、労働時間になるのでしょうか? 最近、先輩たちと話してて疑問に思ったんです。
課長: なるほど、良い質問だね。確かに、普段意識することは少ないかもしれないけど、大事なことだよ。法律には「着替えは労働時間だ」なんて明確な規定はないんだ。だから、人事担当者も判断に迷うことがあるんだよ。
社員: そうなんですね!てっきり、会社のルールで決まっているものだと思っていました。
課長: うん。でもね、労働時間になるかどうかのポイントは、「会社からの指揮命令下にあったかどうか」なんだ。これが一番重要視される点なんだよ。
社員: 指揮命令下ですか…。具体的にどういうことなんでしょう?
課長: 例えば、過去の裁判例や厚生労働省が出しているガイドラインなんかを参考にするといいんだけれど、いくつかパターンがあるんだ。
着替えが労働時間になるケース
課長: まず、着替えが労働時間として認められる可能性が高いのは、次のようなケースだね。
まず、会社のルールで制服着用が明確に義務付けられている場合だ。就業規則やマニュアルに「制服を着用すること」と明記されていれば、会社が従業員に制服を着るよう義務付けているわけだから、その着替え時間は労働時間と見なされる可能性が高い。
次に「黙示の命令」がある場合だね。これは、直接「着替えてください」と言われていなくても、制服を着ないと懲戒処分になったり、評価が下がったりするような場合だ。つまり、着替えざるを得ない状況に置かれている場合は、労働時間と判断されやすい。
それから、会社が更衣室など特定の場所での着替えを指定している場合もそうだよ。もし、会社で着替えるように言われていて、それに従わざるを得ないなら、その時間も労働時間に含まれると考えていい。ただし、自宅で着替えてきてもOKで、通勤時に制服を着てくるのが特に問題ない場合は、会社での着替えが義務とは言えないから、労働時間にはならない可能性もある。ただ、制服で通勤するのが難しい場合は、事実上会社が着替え場所を指定しているとみなされ、労働時間に含まれることもあるんだ。
あとは、法律で制服着用が義務付けられている場合だね。例えば、警備員や鉄道会社の職員なんかは、法律で制服を着ることが決められているだろう?こういう場合は、着替えの時間も会社の指揮命令下にあると判断されるんだ。
社員: なるほど、会社からの指示や拘束があるかないか、という視点ですね!
着替えが労働時間にならないケース
課長: その通り。逆に、着替えが労働時間と見なされない可能性が高いケースもあるよ。
一つは、君たちの個人的な都合で着替える場合だね。例えば、会社に制服がなくて、動きやすい私服で出社した後にスーツに着替えたり、仕事の後にプライベートな用事があるから着替えたりするようなケースだ。これは、会社からの指示ではなく、あくまで君自身の意思によるものだから、労働時間にはならない。
それから、エプロンをつけたり、ジャケットを羽織るだけといった簡易な制服の場合も、労働時間には該当しないことが多いね。着替えにほとんど時間がかからないから、一般的には労働時間とは考えられないんだ。
最後に、さっきも少し話したけど、通勤時に制服を着用してくることが会社から認められている場合だね。自宅で着替えてくることが許されているなら、会社に着てから着替えを強制されているわけではないから、労働時間にはなりにくいんだ。
社員: よく分かりました!ありがとうございます。会社の指示があるかどうか、そしてそれがどの程度の拘束力を持つか、というところがポイントなんですね。
課長: そういうことだね。もし、また何か疑問に思うことがあれば、いつでも聞いてください。