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育児介護

介護休業の申請があったときに担当者がやるべきことを逐一解説

Last Updated on 2025年8月31日 by

中小企業の総務担当者です。これまで、育児休業をとる者は何人もいましたが、この度、初めて、介護休業の申込みがありました。介護休業規程はあるのですが、どういう順序で手を付けるべきかわからない状態です。アドバイスをいただけますか。

ご苦労様です。育児休業とは異なる手続きや注意点があり、戸惑われるのは当然のことと存じます。以下に、介護休業の申込みがあった際の、会社として行うべきことを初歩から順を追ってご説明します。

介護休業に会社が行うこと

担当者が行う介護休業手続きは、以下のポイントごとに把握してください。

  1. 介護休業申出書の受理
  2. 休業期間の確認・調整
  3. 介護休業給付金の手続き
  4. 休業中の労働条件(給与、退職金など)の確認
  5. 社内関係部署への周知と業務引継ぎ
  6. 休業終了後の復職支援

一つずつ丁寧に手続きを進めていけば、問題なく対応できるはずです。

ステップ1:介護休業申出書の受理

まず、従業員から提出された「介護休業申出書」を受理します。その際、以下の点を確認してください。

  • 申出書の書式: 会社が定めた書式で提出されているか。
  • 申出日: 申出書を提出した日付。休業開始予定日の2週間前までに書面等が提出されたか。遅れたことに正当な理由があり、かつ、会社の受け入れが可能であれば短縮可。
  • 氏名、所属: 申出を行った従業員の情報。
  • 労使協定による除外:労使協定を締結している場合に対象外となる労働者に該当していないか。
  • 有期雇用労働者の場合:取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
  • 対象家族の情報: 氏名、続柄、生年月日。介護休業の対象となる家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫に限られます。
  • 介護の状況: どのような介護が必要か。
  • 休業開始予定日と終了予定日: 休業期間が明記されているか。原則として、対象家族1人につき、通算93日まで取得可能です。3回まで分割して取得できます。
  • 押印(または署名): 申出書に本人の押印(または署名)があるか。

ステップ2:休業期間の確認・調整

従業員が希望する休業期間が、介護休業規程や法律の範囲内であるかを確認します。

  • 休業期間の上限: 対象家族1人につき通算93日まで。
  • 申出の期限: 休業開始予定日の2週間前までに申出を受けるのが原則です。もし直前での申出であった場合でも、可能な限り対応を検討し、従業員と相談しながら開始日を調整します。

休業期間の「分割取得」と「再度の取得」について意向を確認します。

介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得できます。 育児休業は原則として休業開始日から終了日まで連続して取得するのが基本ですが、介護は育児と異なり、急な状況変化が起こりやすいものです。

例えば、当初は「1週間だけ休む」つもりでも、家族の状況が悪化して追加の介護が必要になることも十分に考えられます。この「分割取得」ができることを伝えておけば、従業員の方は今後の介護プランを立てやすくなります。また、93日を使い切った後でも、対象家族の要介護状態が続く場合は、介護休暇(年間5日) を取得できる可能性も説明しましょう。

また、以下の点についても従業員と確認・調整を行います。

  • 復職の意思: 休業終了後、復職する意思があるか。
  • 連絡体制: 休業期間中の連絡方法(メール、電話など)や、定期的な状況報告の有無。

ステップ3:介護休業給付金の手続き

育児休業給付金と同様に、介護休業の場合も雇用保険から給付金が支給されます。 休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます。給付金の支給要件や金額は育児休業とは異なります。

この給付金は自動的に支給されるものではなく、会社がハローワークに申請手続きを行う必要があります。もし、この給付金の存在を従業員が知らず、申請手続きが行われなければ、休業中の収入がゼロになってしまいます。従業員の方の生活を守るためにも、この給付金の制度について丁寧に説明し、必要書類を準備してもらう必要があります。

ステップ4:休業中の労働条件の確認

給与

介護休業期間中は、原則として無給となります。会社の規程によっては、一部を支給する場合もあります。

退職金

休業期間を勤続年数に算入するかどうか退職金規程を確認します。

賞与

算定期間に休業期間が含まれる場合の取り扱いについて、賞与規程を確認します。

社会保険料

従業員が介護休業を取得している間、給与が支払われない場合でも、社会保険料は発生します。

  • 従業員負担分: 給与から天引きできないため、復職後にまとめて徴収したり、休業期間中に会社へ振り込んでもらうなど、事前に支払い方法を決めておく必要があります。
  • 会社負担分: 会社も通常通り保険料を負担しなければなりません。

この点は、特に注意が必要です。給与がない上に、社会保険料の自己負担分を支払わなければならないことを忘れずに伝えなければなりません。

一方で、雇用保険料については、給与が支払われない場合は発生しません。 これは、雇用保険料が給与額に保険料率をかけて算出されるためです。

住民税

住民税は無給でも毎月発生します。 住民税は、前年の所得に基づき6月〜翌年5月まで毎月支払う仕組みになっているからです。

住民税も社会保険料と同様に、一旦会社が立て替えて、銀行振込や復帰後に徴収する方法もありますが、長期休職の場合は普通徴収に切り替えるのが一般的です。

なお、いずれの方法にするかは従業員本人と相談しましょう。

ステップ5:社内関係部署への周知と業務引継ぎ

  • 関係部署への周知: 直属の上司、人事担当者、経理担当者など、関係部署に介護休業を取得する旨、日数等を共有します。
  • 業務の引継ぎ: 従業員が休業に入る前に、担当業務の引継ぎをしっかり行ってもらいます。引継ぎリストを作成し、後任者がスムーズに業務を遂行できるようにサポートします。

ステップ6:休業終了後の復職支援

  • 復職日の最終確認: 休業終了予定日が近づいたら、従業員と連絡を取り、復職日を最終確認します。
  • 延長の手続き:休業終了予定日の2週間前までに申し出ることで、1回の申出ごとの休業につき、1回に限り事由を問わず休業終了予定日を繰下げ変更できます。
  • 職場復帰のサポート: 復職後、スムーズに業務に戻れるように、休業中の変更点や情報共有を行い、無理のない範囲で業務を割り当てていきます。

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