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育児介護

育児休業中に副業をしてもよいですか?

Last Updated on 2025年9月1日 by

制度上の制限

育児・介護休業法は、育児休業中に他社で就労したり、在宅副業をすることを想定していません。育児休業は、育児に専念するために休業する制度だからです。

本来勤務している会社で育児休業中に働くことについては、育児介護休業法に時間制限等が設けられていますが、他社でパート・アルバイトをすることや在宅副業することについては、明確な禁止規定はありません。

また、育児休業給付金については、本来勤務している会社から収入があれば、その額によっては育児休業給付金が減額・停止されます。他社でパート・アルバイトをした場合も、同様の扱いを受けることになっています。

育児休業給付金を不正受給すると、給付金の返還を求められるだけでなく、厳しいペナルティが課される可能性があります。

育児休業中の就業日数制限

労使の話し合いにより合意すれば、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することができます。その場合、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されます。

収入による育児休業給付金の減額・停止

1か月の収入が「休業開始前の賃金月額の13%以下」の場合:減額はありません。

1か月の収入が「休業開始前の賃金月額の13%を超え、80%未満」の場合:(休業開始前の賃金月額の80%)− 収入額 が支給額となります。

1か月の収入が「休業開始前の賃金月額の80%以上」の場合:給付金は支給停止となります。

パート・アルバイト

育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休業期間中に雇用している企業から賃金が支払われたときに、支払われた金額に応じて減額される仕組みになっています。ただし、この減額措置は、雇用保険の被保険者を雇用している企業、つまり、もともと働いていた企業からの賃金に適用されます。自社以外の企業で一時的・臨時的に副業していたとしても、育児休業給付金が減額されることはありません。

一方、育児休業給付金の支給要件には、「1支給単位期間の就業日数が10日以下(または就業時間数が80時間以下)」という要件があります。ここでいう就労日数や時間数には、育児休業を取得している企業以外の就労、つまり、パート・アルバイトにより働いた就労日数や時間数もカウントされます。育児休業給付金の申請書に「就業日数」や「就業時間数」を記載する欄があるので、副業により働いた日数や時間数も正しく記載して、申告しなければなりません。

パート・アルバイトで働く日数や時間数が多い場合、育児休業給付金の受給要件から外れて、受給できなくなる可能性があります。また、毎週特定の曜日に勤務したり、一定の時間数決まって働いていたりすると、恒常的・定期的に就労したとみなされ、育児休業をしていると認められないことがあります。こうした場合は、育児休業給付金が支給されない可能性があるので、注意が必要です。

社会保険料

育児休業期間中は健康保険・厚生年金保険の保険料の免除が受けられますが、被保険者であることには変わりません。したがって、パート・アルバイトとして他社で社会保険に加入するほどの働き方をすれば、健康保険・厚生年金保険の保険料に影響する可能性があります。

就業規則

育児休業中であっても、会社の従業員であることに変わりはありません。育児休業中にパート勤務やパート・アルバイトをする際は、まず会社の就業規則を確認しましょう。規則違反は懲戒処分の対象となる可能性もあります。

在宅副業

育児休業給付金

育児休業給付金との関連では、前項同様に、育児休業給付金の減額措置は、雇用保険の被保険者を雇用している企業、つまり、もともと働いていた企業からの賃金に適用されます。そのため、在宅副業で収入を得ても、育児休業給付金が減額されることはありません。

ただし、「1支給単位期間の就業日数が10日以下(または就業時間数が80時間以下)」という要件は考慮する必要があります。パート・アルバイトと違って明確な労働時間を算定できない要素はありますが、基本的には、その在宅副業でどのくらいの日数、時間働いたかを自主的に申告する必要があると考えられます。

就業規則

在宅での副業は、実態を会社が把握しにくいため、問題とならないこともあります。しかし、会社の就業規則に副業禁止・制限規定がある場合には、なんらかの事情で会社に副業が知れたときは問題になる可能性があります。

まとめ

項目制限内容
法律(育児・介護休業法)臨時的・一時的な就労のみ可。1か月の就労日数が10日(または80時間)を超えると育児休業とは認められない。
就業規則会社によって副業が禁止されている場合がある。育児休業中であっても就業規則は適用されるため、事前に確認が必要。
育児休業給付金収入額に応じて減額または支給停止。1か月の収入が「休業開始前の賃金月額の80%以上」で支給停止。就労日数が10日(または80時間)を超えると支給停止。

基本的には、「育児に専念するための休業」という本来の趣旨から逸脱しない範囲の副業にとどめましょう。


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