Last Updated on 2023年9月28日 by 勝
育児時間とは
育児時間とは1歳未満の子を育てる女性に与えられる休憩時間のことです。
生後1歳になるまでという期間の関係で、育児休業を取得中の期間に重なることから、比較的利用が少ない制度ですが、子が1歳になる前に職場復帰をする人も少なくないことから、会社としては利用のあるなしに関わらず制度を整えておく必要があります。
労働基準法第67条
生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
2 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
制度の対象者
条文にあるように、育児時間を取得できるのは、1歳未満の子を育てる女性です。男性には与えられません。また、ここで生児とあるのは、実子だけでなく養子も含みます。
正社員、契約社員、アルバイト・パートタイムなどの雇用形態による制限はありません。
取得の仕組み
育児時間は自動的には与えられません。「請求することができる」と条文にあります。該当する女性からの請求によって付与されます。使用者は請求を拒むことができません。
いつ請求されても拒むことはできませんが、会社としては、業務の円滑な運営の観点から、できれば取得の時間を一定させたいと考えるところです。そこで、事前申請のルールを設けるのが一般的です。
ただし、育児は予定通りにいかないものですから、事前申請と定めたとしても、柔軟に対応する旨規定し、実際に柔軟に取得させることが必要です。取得しにくい制度になれば法の趣旨に反するだけでなく、取得を実施的に拒まれたとされかねません。
時間の設定
育児時間をどの時間帯に請求するかは、原則として請求する女性の自由です。
使用者があらかじめ時間を指定して、それ以外の時間帯での取得請求を拒否することは違法とされています。
従業員の希望があれば、例えば、始業と終業の時間に30分ずつ育児時間を取得し、30分遅れの出社、30分早くの退社にすることもできるとされています。
また、従業員の希望があれば、育児時間を1時間分まとめて取得し、通常よりも1時間遅く出社する、または1時間早く退社するという運用も違法ではないとされています。
「1日2回」「各々」「少なくとも30分」というのは、フルタイム勤務を想定した場合の設定です。仮にパート勤務で1日の勤務時間が4時間以内(フルタイム勤務の半分以下)の労働者については、「1日1回」「少なくとも30分」の育児時間を与えればよいとされています。
育児時間の使い方
育児時間は、1日2回、30分ずつという設定から、授乳時間と考えられがちですが、そうではありません。
会社は育児時間の使い方に注文をつけることはできません。母性保護という観点から単に休憩するために利用してもまったく構わないのです。
就業規則に定める
法律に定められた権利なので就業規則に記載がなくても与えなければなりませんが、制度を周知するためにもきちんと就業規則に定めましょう。
育児時間を有給にするか無給にするかは会社が決めることができます。
育児短時間勤務との併用
育児時間と育児短時間勤務は別の制度なので、育児短時間勤務の対象者にも育児時間を与えなければなりません。
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