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評価制度

「ハロー効果」に要注意!元気=営業、は思い込みかもしれません

Last Updated on 2025年9月4日 by

部下を評価する際、「ハロー効果」という心理的なバイアスがあるのをご存じですか?これは、ある一つの目立つ特徴に引きずられて、他の評価項目もすべて良く見えたり、逆に悪く見えたりする現象です。

ハロー効果とは?

ハロー効果の「ハロー(halo)」は、聖人の頭上に描かれる「光輪(後光)」を意味しています。後光が差していると、その人がとても素晴らしい人に見えるように、一つの良い特徴が全体を良く見せてしまうことを「ハロー効果」と言います。

具体例

  • Aさんはプレゼンが非常に上手で、活発で目立つタイプです。
    • つい「あの人は仕事ができる」と高く評価してしまいがちですが、実は細かな事務作業や報告書の提出は苦手かもしれません。
  • Bさんはいつも静かです。
    • 「仕事ぶりも特別のことはないかな」と思ってしまいがちですが、実は地道な作業を着実にこなし、チームの縁の下の力持ちとして貢献しているかもしれません。

このように、私たちの評価は、「第一印象」や「目立つ特徴」に大きく左右されやすいのです。

なぜハロー効果は起きるの?

ハロー効果は、人間の脳が情報を効率的に処理しようとするために起こります。すべての情報を細かく分析するのは大変なため、脳は特定の情報をもとに「この人はこういうタイプだ」とパターン化しようとします。

たとえば、「活発な人は営業に向いている」という思い込みがあると、活発な人を見ただけで「この人はきっと営業として成功するだろう」と決めつけてしまうのです。これは、過去の経験や社会的なステレオタイプに基づいていることが多く、無意識のうちに私たちの思考に影響を与えています。

ハロー効果を避けるための対策

評価項目を明確にする

「この人は活発だ」という印象だけで評価せず、「売上達成率」「顧客への対応」「チームへの貢献度」など、具体的な評価項目ごとに客観的な事実に基づいて評価しましょう。先を急がずに、項目ごとに一つずつ丁寧に評価することで、全体的な印象に引きずられにくくなります。

多角的な視点を持つ

部下を評価するときは、あなた一人の視点だけでなく、それとなく、同僚や他部署からのフィードバックも参考にしましょう。周囲からの声を鵜呑みにしてはいけませんが、よく考えてみれば、あなたが見ていなかったその人の別の側面を発見できるかもしれません。

思い込みに気づく自己トレーニング

「この人は大人しそうだから事務職向きだ」「あの人はリーダーシップがあるから管理職向きだ」といった自分の思い込みに気づくことが大切です。その思い込みは本当に正しいか?と自問自答する習慣をつけましょう。

まとめ

人事考課は、誰でも苦労しています。完璧な評価は難しいかもしれませんが、こうした「評価エラー」の存在を知っているだけでも、公正な評価への第一歩になります。

ハロー効果で言えば、活発な人も、大人しい人も、声が大きい人も、声が小さい人も、それぞれの個性や強みが必ずあります。先入観にとらわれず、その人自身をしっかり見てあげてください。それが、部下を成長させ、チームを強くする一番の秘訣です。


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