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評価制度

評価エラーについて

Last Updated on 2022年2月17日 by

評価制度がどんなに優れていても、評価者が公正に評価を実施しなければ意味がありません。「評価エラー」におちいらないように、評価実施者に対する継続的な注意喚起が必要です。

評価エラーとは

評価(人事考課)は、機械で測るようにはいきません。評価するのは人間ですから、間違いや思い込みがある程度発生することは避けられません。

自分では正しい評価を行っているつもりでも、無意識のうちに誤った評価を実施してしまうことがあります。こうした人間の心理的特性にかかわる評価の誤りを「評価エラー」といいます。

ここでは、代表的な評価エラーを紹介します。自分の陥りやすい判断の傾向を認識して評価に取り組みましょう。

評価エラーの種類

評価エラーには次のようなものがあります。

ハロー効果

印象が強いことに評価が影響を受けることです。

「有名大学をでている」「国家資格を持っている」など、一部の出来事や特徴に引きずられて実際よりも高い評価をつけてしまうことです。逆に「女性だから」「歳だから」など、一部の出来事や特徴に引きずられて実際よりも低い評価をつけてしまうこともハロー効果です。

例えば、「山田さんは元気な声で挨拶をする」という事実をもって「山田さんは仕事がよくできる」という印象を持つこともハロー効果です。一定の仕事をやり遂げたかどうかは「元気な返事」とは別で、山田さんの具体的な仕事を確認しなければ判断できません。

具体的事実をきちんと把握して評価することが必要です。

中央化傾向

評価結果が「標準」や「普通」といった真ん中の評価に偏ることを、中央化傾向または中心化傾向といいます。

「厳しい評価をつけたらどう思われるかな」「あまり高い評価にすると部長はどう思うだろうか」などと考えたときに中央化傾向があらわれます。

上司としての自信のなさなどが影響することが多いです。

中央化傾向は、SABCDの5段階評価で実施した場合、Bが極端に多くなるので、評価結果を見ればすぐに分かります。標準的な配分よりBが多くなったときは見直しが必要です。

親近感効果

仕事上のことではなく、出身学校が同じであるとか、同郷であるとか、趣味が同じなどであることに親近感を持ち、それによって甘い評価をしてしまうことです。

感情的傾向

嫌いな部下や、反抗的な部下に対して、わざと厳しい評価を下すことがあります。評価者として間違ったやり方であることを承知の上で確信的にやることが多いので、指導してもあれこれ理屈をつけて自分の評価を正当化する傾向があります。2次評価者の役割が重要になるところです。

外部要因効果

本人の力よりも、景気の動向や上司の支援などの外部要因を過大、または過小にとらえ、実際よりも厳しい、または甘い評価をしてしまうこと。

近時点誤差

評価の直前のことが大きく印象に残り、それによって期間全体を評価してしまうことです。時間がたったことは忘れがちで、直前のことが記憶に残りやすいのでこのようなことが起こります。日頃から部下の行動などをメモに取るなどして、評価期間全体で評価をすることが求められます。

厳格化傾向

他人に厳しい性格で、どの人にも必要以上に厳しい評価をしてしまうこと。自分が甘いのか辛いのかというのは、自分ではなかなか認識できないものなので、上司の指摘を素直に聞き、評価者研修で、正しい評価の考え方を理解するように努めましょう。

寛大化傾向

他人に配慮する性格で、どの人にも甘い評価をしてしまうことです。自分の部下を優遇して自分に対する評価を上げようとする管理職もこの傾向に陥りがちです。厳格化傾向と同様に、自分が甘いのか辛いのかというのは、自分ではなかなか認識できないものなので、上司の指摘を素直に聞き、評価者研修で、正しい評価の考え方を理解するように努めましょう。

対比誤差

定められた「評価基準」を用いないで、「おれの若い頃はもっとできた」などと評価者本人と比べて評価することです。また、自分がパソコンが苦手だと普通の操作でもことさら感心してしまい、高い評価を与えることも、自分と比べているという意味で対比誤差の一つです。自分の能力と対比するのではなく、会社が示した等級や職種に求められる役割、能力、成果に基づいて評価しなければいけません。

論理誤差

「よく発言するから積極的に行動するだろう」「明るい性格だから得意先にも好かれるだろう」とか「理工系だから数字に強いだろう」というような、一見すると論理的に関係がありそうな項目で推定的に評価してしまうことを「論理誤差」といいます。関係がありそうで実はないのですから、評価を間違えてしまいます。評価項目ごとにひとつひとつ見ていく必要があります。

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