Last Updated on 2025年9月17日 by 勝
退職代行サービス業者とは
退職代行サービスが世間に広く知られるようになってから、その需要は急速に拡大し、現在では一定の市場規模を形成しています。
利用者の数は年々増加しており、企業の約23.2%が退職代行を利用した従業員を経験しているというデータも出ています(2024年上半期)。特に20代の若年層での認知度が非常に高く、利用の中心となっています。
運営形態について
退職代行サービスを営む会社は、大きく以下の3つの形態に分けられます。
1. 民間業者
最も数が多いのがこの形態です。弁護士資格を持たないため、法律で定められた範囲内での業務に限られます。具体的には、「従業員の退職の意思を会社に伝える」という使者としての役割が中心となります。退職日の交渉や未払い賃金の請求など、法律的な交渉は行うことができません。
2. 労働組合
特定の労働組合が退職代行サービスを提供しているケースです。労働組合法に基づき、団体交渉権を有するため、会社との間で退職日や有給休暇の消化など、労働条件に関する交渉を行うことができます。民間業者よりもできることの範囲が広いため、交渉を希望する利用者に選ばれることがあります。
3. 弁護士
弁護士が退職代行サービスを提供しているケースです。弁護士法に基づき、法律の専門家として代理交渉を行うことができます。未払い賃金の請求やハラスメントによる損害賠償請求など、法的トラブルの解決まで含めて対応できる点が最大の強みです。
このように、退職代行サービスは専業・兼業を問わず、様々な事業者が参入しており、その運営形態によってできることや法的な位置づけが異なります。会社として退職代行の連絡を受けた際には、まず相手方がどの形態の業者であるかを確認することが、その後の適切な対応のために非常に重要となります。
連絡がきたらどう対応するか?
退職代行会社を利用した退職の連絡は、一般的な退職手続きとは異なる部分が多く、事前に流れを把握しておくとスムーズに対応できます。
退職代行会社からの連絡と、その後のやり取りの流れは以下の通りです。
1. 退職代行会社から連絡が来る
まず、退職代行会社からあなたの会社の人事担当者、または直属の上司へ電話、またはメールで連絡が入ります。内容は、従業員の〇〇さんの退職の意思を伝えるというものです。この際、退職届の提出、必要な書類、貸与物の返却など、退職に必要な手続きについて確認を求められます。
この最初の連絡で、退職代行会社から従業員本人に直接連絡を取らないよう求められることが一般的です。これは、本人が会社からの連絡で心理的な負担を感じてしまうことを避けるためです。
2. 退職に伴う具体的な手続き
主なやり取りのポイントは以下の通りです。
- 退職日の決定: 従業員が希望する退職日を伝えられます。調整が必要な場合は、その旨を退職代行会社に伝えます。
- 離職票や雇用保険被保険者証などの書類手続き: 退職に必要な書類をいつ、どこへ送付すればよいか確認します。
これらのやり取りは、すべて退職代行会社を介して行います。
3. 貸与物の返却
会社から従業員に貸与していた、社員証、制服、PC、携帯電話などの返却方法について確認します。返却物を宅急便等で送ってもらうよう依頼することが一般的です。
4. 会社から退職者への連絡は控える
退職代行を利用する従業員は、会社との直接のやり取りを避けたいため、退職代行会社を介して手続きを進めています。トラブルを避けるためにも、会社から本人へ直接連絡を取ることは控えて、退職代行会社とのやり取りに徹しましょう。
5. 退職完了
すべての手続きが完了したら一連のやり取りが終了します。
このように、退職代行会社からの連絡は、最初から最後まで退職代行会社が従業員の代わりとなって手続きを進めるという特徴があります。
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