雇用保険の技能習得手当とは?公共職業訓練中に支給される手当を解説

退職・解雇

離職者訓練

雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取っている人が、ハローワークの指示を受けて公共職業訓練を受講する場合、以下の給付が受けられます。これらの手当は、雇用保険の求職者給付の技能習得手当に含まれます。

給付の種類概要と支給額
基本手当訓練期間中も継続して支給されます。 所定給付日数を残していなくても、訓練の終了日まで給付期間が延長される「訓練延長給付」の対象となります。
受講手当訓練を受けた日に対して支給される手当です。 日額500円(上限は訓練期間を通じて20,000円)
通所手当訓練施設へ通うための交通費です。 月額最高42,500円まで、最も経済的かつ合理的な経路の定期代などが支給されます(片道2km未満は原則支給なし)。
寄宿手当訓練を受けるため、家族(同居の配偶者、子、父母など)と別居して寄宿する場合に支給されます。 月額10,700円

求職者支援制度

雇用保険の基本手当を受け取れない方(例:被保険者期間が足りない、自営業者だった、基本手当の支給が終了したなど)は、求職者支援制度の要件を満たせば、以下の給付金が支給されます。

給付の種類概要と支給額
職業訓練受講手当訓練期間中の生活費として支給されます。 月額10万円
通所手当訓練施設へ通うための交通費です。 上記と同様に月額最高42,500円まで支給されます。
寄宿手当上記と同様に、家族と別居して寄宿する場合に支給されます。 月額10,700円

【職業訓練受講給付金の主な支給要件】

この制度を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 本人の収入が月8万円以下である
  • 世帯全体の収入が月30万円以下である
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下である
  • 訓練実施日にすべて出席している(やむを得ない理由があっても8割以上の出席が必要)
  • 世帯の中で他にこの給付金を受給している者がいない

ハローワークの受講指示が要件

ハローワークから公共職業訓練の「受講指示」が出るには、単に受講を希望するだけでなく、いくつかの条件を満たし、ハローワークがその必要性を認めることが必要です。

ハローワークから「受講指示」が出るための主な要件は、以下の通りです。

受講指示の基本的な要件

ハローワークが受講指示を出すのは、以下の条件を満たし、職業訓練を受けることが早期の再就職のために特に必要であると認められた場合です。

  1. 就職意欲があること
    • 職業に必要な技能・知識を習得し、それを活かして就職することを強く望んでいること。
    • 訓練に真剣に取り組み、受講する熱意があること。
  2. 訓練の適性があること
    • 訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有していること。
    • 訓練の受講・修了に支障がないこと(健康状態、受講態度、協調性など)。
  3. ハローワークへの求職登録
    • ハローワークに求職の申し込みをしていること。

雇用保険受給資格者にとっての重要な要件

「受講指示」の最大のポイントは、訓練開始日における基本手当の支給残日数です。

雇用保険の基本手当受給者が受講指示を受けるためには、原則として訓練開始日の前日で、基本手当の所定給付日数を一定以上残している必要があります。

  • 支給残日数:訓練開始日までの日数が、所定給付日数に対して一定の割合(日数)以上残っていることが求められます。必要な残日数は所定給付日数によって細かく定められています。
  • 給付制限の解除:自己都合退職などで給付制限がある場合でも、ハローワークの指示による訓練を受講することで、その給付制限期間の後に基本手当が支給されるようになるという優遇措置があります。

「希望するだけではだめ」な理由

ハローワークが「受講指示」を重視するのは、以下の理由からです。

  • 税金が原資であること:公共職業訓練は税金や雇用保険料が使われており、本来の目的である「再就職の促進」のために使われる必要があります。「単なる趣味や教養のため」の受講は認められません。
  • 再就職への結びつき:ハローワークは、あなたが訓練後に希望職種に就ける見込みがあるか、その訓練が本当に再就職に役立つかを判断します。
  • 給付延長の要件:「受講指示」は、訓練延長給付や技能習得手当といった金銭的なメリットを伴うため、その支給には厳格な要件(特に支給残日数)が設けられています。

受講の流れと対策

「受講指示」を受けるためには、まずハローワークの職業訓練相談窓口で、訓練を希望する理由や就職目標を明確に伝え、就職への意欲と熱意をしっかりと示すことが重要です。訓練校の選考(面接や筆記試験)に合格した後、ハローワークが最終的に「受講指示」を出すかどうかが決定されます。


ご自身がどちらの条件に該当するか、また詳細な支給要件や手続きについては、必ずハローワークでご確認ください。