Last Updated on 2025年8月15日 by 勝
退職はいつまでに申し入れる必要があるでしょうか?法律・就業規則・契約形態のそれぞれの観点から整理して解説します。
民法の原則(期間の定めのない労働契約)
期間の定めのない雇用契約、一般的に定年制が適用される正社員のことですが、この場合は、定年がくるまで会社に縛り付けられるというわけではなく、会社も社員も、雇用契約の途中解約を申し入れることができます。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
民法第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
会社の方からする途中解約は、解雇ということになり、労働契約法等の制約があります。
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社員の方からの途中解約は、民法の規定により、解約の申入れの日から2週間を経過することによって労働契約は終了、つまり、辞めることができます。
また、民法には、給料計算期間による例外があって、たとえば、毎月20日が給料計算の締め切り日の場合、給料計算期間の前半分である5日までに申し入れをしなければなりません。
もし6日を過ぎて退職の申し入れをすると、次の給料期間が始まる21日から2週間後に雇用契約が解除になります。つまり、2週間から1ヶ月です。
ということで、いつでも辞めることができるというのではなく、2週間ないし1ヶ月の予告期間が必要だということになります。
いきなり明日からきませんという退職はできないということです。
就業規則や雇用契約書の定め
実務では就業規則や雇用契約書に「〇か月前までに申し出ること」という条項が入っていることが多いです。
会社には、会社の運営上必要と思われる定めを合理的な範囲で定める権利があります。民法の2週間を超える就業規則を定めても直ちに違法とはされないようです。ただし、あまりに長い定めは無効となるでしょう。
この期間が民法より長く定められている場合、裁判などになったときは、その就業規則には拘束力がないとされる可能性が多いきいです。
民法の原則は労働者に有利な解約権保護であり、特段の事情がない限り「2週間ルール」で退職可能と考えられています。
しかし、急な退職で会社に大きな損害を与えた場合は、損害賠償請求の可能性が残ります(例:重要ポジションでの引き継ぎ不可能な突然退職)。
有期契約(期間の定めがある労働契約)
民法628条により、やむを得ない事由がない限り、期間途中での退職は原則できません。
有期契約の場合は「契約期間満了まで働く」のが原則です。
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まとめ
民法では「期間の定めのない契約」なら2週間前で可能です。民法は就業規則より優先です。
しかし、円満退職・引き継ぎを考えれば、就業規則に定めた期間、1か月前程度の申告が一般的です。
契約形態 | 法的最低ルール | 実務・慣行 |
---|---|---|
期間の定めなし | 申入れから2週間 | 1か月前程度が一般的 |
有期契約 | 満了まで勤務(やむを得ない事由で途中解約可) | |
就業規則で〇か月前規定 | 法的拘束力は弱いが、無視するとトラブル化の恐れ | 可能なら規定に沿う |
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