Last Updated on 2025年9月28日 by 勝
出張予約サービスとは?
法人向けの「出張予約サービス」は、企業や団体が出張手配にかかる時間や手間を削減し、コスト管理やガバナンス強化を目的として導入するサービスです。
ビジネストラベルマネジメント、法人出張手配サービス、業務渡航手配サービス、コーポレートトラベルマネジメントなどの名称で提供されているサービスです。
具体的には、以下のようなサービスを提供しています。
出張手配業務の効率化
- オンラインでの一元手配: 航空券、新幹線、宿泊施設などをオンライン上でまとめて検索・予約できます。多くのサービスが24時間365日対応しており、出張者自身がいつでもどこでも手配できるようになります。
- 出張規程の自動適用: 企業ごとの出張規程(利用可能な運賃やホテルのグレードなど)をシステムに登録しておくことで、規程に沿った予約のみが可能になり、不正利用を防ぎます。
- 代理手配機能: 出張者本人だけでなく、管理者や秘書が出張者の代わりに手配を行うことも可能です。
経費精算業務の効率化・コスト削減
- 法人一括請求: 出張者が立て替えることなく、利用した出張費用はすべて会社に一括で請求されます。これにより、出張者の金銭的負担を軽減し、経理担当者の精算業務を大幅に効率化します。
- 経費の可視化と分析: 「いつ、誰が、どこに、いくらの費用で」出張したかがデータとして一元管理されます。このデータを分析することで、無駄な出費を特定し、コスト削減に繋げることができます。
- 法人特別割引: サービスによっては、航空会社やホテルと提携した法人限定の割引料金が適用されるため、出張費そのものの削減に繋がります。
危機管理・安全管理
- 出張者の所在把握: 災害や事件が発生した際、システム上で出張者の所在地や移動状況を迅速に把握できます。これにより、安否確認がスムーズに行え、有事の際の危機管理に役立ちます。
その他のサービス
- 周辺業務のサポート: ビザ・パスポートの手配代行、現地での移動手段(レンタカー等)の手配、緊急時のサポート(24時間対応の電話窓口など)を提供しているサービスもあります。
- 既存システムとの連携: 経費精算システムや会計システムなど、既存の社内システムと連携できるサービスも増えています。
これらのサービスは、出張の多い企業ほど高い効果が期待でき、出張に関わるすべての人の業務負担を軽減し、企業のガバナンス強化にも貢献します。
経費の節約になりますか?
個別に予約をするのと比較して、法人向けの出張予約サービスは経費節約につながる可能性が高いです。
経費節約は、単に航空券やホテルの料金だけでなく、見えにくい「間接コスト」を含めて考えることが重要です。
費用削減の仕組み
法人向けサービスが経費節約につながる主な理由は以下の通りです。
- 法人割引料金の適用: 多くのサービスが航空会社やホテルと提携しており、一般向けにはない法人限定の特別料金や割引プランを利用できます。
- 出張規程の徹底: システム上で出張規程(利用可能な運賃や宿泊施設のグレードなど)を設定できるため、規程外の予約を防ぎ、コストの適正化を図ることができます。
- 間接業務コストの削減:
- 手配業務の効率化: 予約から承認までを一元管理できるため、出張者や管理部門の手配にかかる時間と手間が大幅に減ります。
- 経費精算業務の効率化: 会社への一括請求となるため、出張者が都度立て替えていた費用がなくなり、領収書の整理や経理担当者の精算業務が簡素化されます。これにより、人件費を含めたバックオフィス業務のコストが削減されます。
- 不正利用の防止: 出張内容が可視化されるため、カラ出張や水増し請求といった不正行為の抑止力になります。
個別予約との比較
項目 | 法人向け出張予約サービス | 個人での個別予約 |
旅費・宿泊費 | 法人割引、パック料金、優待価格が適用されるため、コスト削減につながりやすい。 | 一般向け料金での予約が基本。最安値を探すのに時間がかかる場合もある。 |
手配の手間 | 予約、申請、承認までがシステムで完結。業務効率が大幅に向上する。 | 出張者自身が航空券やホテルなどを個別に探し、手配する必要がある。 |
精算の手間 | 会社への一括請求が基本のため、立替精算が不要。経理業務が大幅に軽減される。 | 領収書の整理、精算書作成、経理担当者の確認作業など、多くの手間が発生する。 |
不正防止 | 規程に沿った予約のみが可能で、出張内容が可視化されるため、不正を防ぎやすい。 | 不正の可能性は排除できず、チェック体制の強化が必要になる。 |
危機管理 | システム上で出張者の所在を把握でき、安否確認がスムーズに行える。 | 出張者の安否確認を個々に行う必要があり、緊急時の対応が遅れる可能性がある。 |
ただし、サービスによっては導入費用や月額費用が発生する場合があるため、出張頻度や規模に応じて費用対効果を検討する必要があります。しかし、多くのサービスはこれらの間接コスト削減を考慮すると、結果的に経費節約になるとされています。
出張する本人は何をすればよいですか?
法人向けの出張予約サービスを利用する際の、出張者本人の一般的な手順は以下のようになります。
ステップ1:サービスのログインと検索
まず、会社のPCやスマートフォンから出張予約サービスにアクセスし、自身のアカウントでログインします。
- 行き先、日程、人数などを入力して検索します。
- 多くの場合、航空券、新幹線、宿泊施設がまとめて検索できます。
ステップ2:予約内容の選択と確認
検索結果から、会社の出張規程に沿ったプラン(フライトのクラス、ホテルのグレードなど)を選択します。
- 希望する便や宿泊施設を選び、詳細を確認します。
- この時点で、サービスによっては会社に適用される割引料金が表示されます。
ステップ3:申請と承認(必要な場合)
多くのサービスには、上長への申請・承認機能が備わっています。
- 予約内容を確定したら、システム上で出張申請を提出します。
- 申請が上長に届き、システム上で承認されると予約が完了します。このプロセスにより、社内の手続きがスムーズに進みます。
ステップ4:予約完了と準備
申請が承認されると、予約完了のメールが届きます。
- メールには、eチケットやホテルの予約確認書などが添付されています。
- これらの情報をスマートフォンなどで確認できるようにしておきます。
ステップ5:出発と精算
出張当日は、予約完了後に届いた情報(eチケットなど)でスムーズに移動できます。
- 交通費や宿泊費の支払いは、原則として個人での立て替えは不要です。すべての費用が後日、会社に一括で請求されます。
- 出張中に発生した個人の飲食費などは、別途精算が必要です。
このように、出張予約サービスを利用することで、出張者は自身でチケットや宿泊施設を探す手間や、面倒な経費精算の手間を大幅に減らすことができます。
会社の担当者は何をすればよいですか?
出張予約サービスを利用する際の、会社の担当者(管理者、経理担当者など)の一般的な手順は以下のようになります。
ステップ1:初期設定と規程の登録
サービス導入後、まず会社の出張規程やルールをシステムに登録します。
- 出張規程の登録: 航空券のクラス、ホテルの上限金額、利用可能な交通手段など、会社のルールをシステムに設定します。
- アカウントの管理: 出張者のアカウントを登録し、部署や役職などの情報を設定します。
ステップ2:申請の確認と承認
出張者から出張申請が提出されると、担当者はシステム上でその内容を確認します。
- 申請内容のチェック: 出張先、日程、費用などが規程に沿っているかを確認します。システムが自動で規程違反を検知してくれる場合もあります。
- 承認: 内容に問題がなければ、システム上で承認ボタンを押します。これにより、出張者の予約が完了します。
- 代理予約: 出張者に代わって予約手配を行うことも可能です。
ステップ3:費用の管理と分析
出張者がサービスを利用すると、すべての利用データはシステムに蓄積されます。
- 一括請求の確認: サービス提供会社から、月間の出張費用がまとめて会社に請求されます。担当者は、請求内容とシステム上の利用データを照合して確認します。
- レポートの作成: システムの分析機能を使い、部署ごとの出張費や利用傾向などをレポートで確認します。
- コストの最適化: レポートを基に、より効率的な出張プランやコスト削減策を検討します。
ステップ4:危機管理
災害や緊急事態が発生した際は、システムを活用して出張者の安全を確認します。
- 出張者の所在把握: 危機管理担当者は、システム上で現在出張中の社員の所在地をリアルタイムで把握できます。
- 安否確認: 出張者とスムーズに連絡を取り、安否確認や緊急時の指示を出すことができます。
このように、担当者は出張手配の手間を減らすだけでなく、コスト管理、ガバナンス強化、危機管理といった多岐にわたる業務を効率的に行うことができます。