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旅費支給額の決め方

Last Updated on 2022年6月6日 by

原則として実費を負担する

出張旅費は、原則として実際に使った費用ですから、損得がないものとして、所得税が課税されません。

しかし、出張旅費のなかでも日当は少しニュアンスが違います。

例えば、昼食代を考慮して支給したとしても、実際にどういう昼食を食べるかは人それぞれであり、なかには食べない人もいるかもしれません。

そこで、原則論で言えば、日当は、給与のように課税される収入として扱われるべきものだとされているようです。とはいえ、それでは実務が大変複雑になってしまうので、妥当な金額を会社の規程で定めているときは、定額支払の日当も経費として扱い、給与課税はしないことになっています。

日当の決め方

一般論としては、社会通念上妥当な範囲ということになります。漠然としていますが、世間水準と比較して多すぎないこと、そして、一部の人が特に有利でないこと、この2点を守ればよいでしょう。

社長の日当が一般従業員よりずば抜けて多い場合は、日当の決め方が妥当とは言えないとされる可能性が高いでしょう。しばらくはそれで通したとしても、税務調査があれば否認され、遡って課税されることになると思います。

日当金額を役職にかかわらず一律にしてしまえば問題ないのですが、役職に応じて格差をつけたときは、そのくらいの差が妥当なのかは、世間水準を参考にして、常識的な範囲で決めることになります。この常識的というのが人によって違うので大変なのですが。

宿泊料の決め方

宿泊料(ホテル代)を実費支給にすれば、不公平になることが多いものです。

例えば、グレードの高いホテルに泊まる人がでると不公平感が高まります。

空室がなくてやむを得ずグレードの高いホテルに部屋をとるという場合もありますが、意図的にそうする人も出てきがちです。

実費支給にすれば、夕食や朝食込みで泊った人は宿泊料に食事代が入ることになります。素泊まりで支払った人は、別途食事にお金をかけなければなりません。また、食事込みでも食事のグレードに違いがあります。

これらを不公平感のないように運用するには、規程を細かくしなければなりませんが、それでも全てをカバーするのは難しいでしょう。そこで、定額払いを採用することが多いようです。

定額払いだと、出張する人はその範囲に収まるようにやりくりします。定額支給分で間に合わなくなったときは自己負担ということになってしまうのですが、やむを得ない理由によるときは、個別に審査して認める方法をとっている会社もあります。

交通費の決め方

交通費というのは、鉄道や飛行機の費用です。普通はかかった分を支給しますが、鉄道を使えば安いのに飛行機を使ったなどのケースをどうするか、あるいは、安売りの切符を買って、正規の料金を請求する者にはどうするかなどについて、定めておく必要がります。

業務上の必要性

出張報告書等の出張記録が不備で、何のために出張したか分からないようでは、出張ではなく観光旅行だったのではないかと疑われます。そうなると日当どころか旅費全体が否認されてしまう可能性があります。

社長などの役員に多いのですが、確かに取引先を訪問しても、ほとんどの日程がゴルフや飲食に費やされるような出張があります。こういうケースで日当を支給していると税務調査で否認される可能性があります。

支払い方法の多様化

旅費の清算に現金を扱わずに、清算専用の個人口座を用意させてそこに振り込む方法を採用している会社もあります。社内に現金を置かないという意味では不正防止の基本です。

自動車運転による出張は、ETCとガソリンカードは必須です。動きやすいし経費の節約になります。ただし、私用が紛れ込まないように管理は充分にしなければいけません。

クレジットカードの利用についても、社員が自分のクレジットカードでホテル代を払ったとしても会社に不利益はありません。認めるべきだと思います。

マイレージのポイントを会社に帰属させるべきかという意見もありますが、ポイントを受け取らないことにしても会社の出費が減るわけでなし、それぞれの才覚でわずかの利益をえることまで口を差し挟むことはないでしょう。

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