Last Updated on 2025年8月3日 by 勝
「備品管理」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?
地味で面倒な作業…
何のためにやっているのか、よくわからない…
そう思われがちですが、実は備品管理は、コスト削減、業務効率化、そして企業のコンプライアンス維持に直結する非常に重要な業務です。
この記事では、備品管理を劇的に効率化するための3つのステップを、具体的なメリットや注意点と合わせて解説します。
ステップ1:備品の一生を管理するフローを確立する
まずは、備品が会社にやってきてから役目を終えるまでの「一生」を管理するフローを明確にしましょう。
1. 購入の稟議
備品を購入する際は、必ず事前に稟議を上げ、承認を得るルールを徹底します。
稟議書の記載事項:備品の必要性、購入金額、購入先、代替案の有無などを明確に記載します。
得られる効果:
コスト削減:不要な備品の重複購入を防ぎ、予算の適正な執行を促します。
リスク管理:購入の意図が明確になり、不正な購入を防止します。
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2. 実際の発注手続き
稟議が承認されたら、正式な発注手続きに移ります。
複数業者からの見積もり:高額な備品の場合は、複数の業者から見積もりを取り、コストを比較検討します。
発注書の作成・送付:発注内容(品名、数量、金額、納期など)を明記した発注書を正式に送付します。
3. 納品された品物の検品
備品が届いたら、必ず内容を確認します。
検品チェックリスト:発注内容と一致しているか、数量に間違いはないか、破損はないかなどをチェックリストを使って確認します。
得られる効果:
業務効率化:後々のトラブルを防ぎ、スムーズな備品管理の第一歩となります。
4. 不要になった備品の廃棄
備品が不要になった際も、明確なルールを定めます。
廃棄の承認:勝手に廃棄するのではなく、上長の承認を得るプロセスを設けます。
適切な処分方法:PCなどの情報機器は、必ずデータを完全に消去してから処分します。産業廃棄物として扱う必要がある場合は、専門の業者に依頼しましょう。
得られる効果:
コスト削減:廃棄手続きを適切に行うことで、不要な保管コストを削減できます。
リスク管理:情報漏洩のリスクをなくし、会社の信用を守ります。
ステップ2:現状の見える化と台帳管理の徹底
購入から廃棄までのフローが固まったら、次に備品の「見える化」と「台帳管理」に取り組みます。
1. 備品リストの作成とナンバリング
すべての備品(PC、デスク、椅子、モニターなど)について、以下の情報をリスト化します。
品名、メーカー、型番:備品を特定するために不可欠です。
取得日、取得価額:税務処理(償却資産税など)に必要となります。
使用者、設置場所:誰が、どこで使っているかを明確にします。
管理番号:備品ごとにユニークな番号をつけ、台帳と現物を紐づけます。バーコードやQRコードを付与すると、後の作業が楽になります。
2. 定期的な棚卸しの実施
年に一度など、定期的に棚卸しを行います。これは、台帳に記録された情報と、実際に存在する備品を照合する作業です。
棚卸しのチェックポイント
台帳にない備品がないか(購入漏れ)
台帳にあるはずの備品がないか(紛失)
記載されている設置場所や使用者に誤りがないか
ステップ3:管理システムを活用し、税務対応もスマートに
備品数が増えてくると、手作業での管理は限界を迎えます。そこで活用したいのが「備品管理システム」です。
備品管理システムのメリット
台帳の一元管理:すべての備品情報をクラウド上で一元管理できます。
検索性の向上:品名、管理番号、使用者など、様々な条件で瞬時に検索できます。
棚卸しの自動化:バーコードやQRコードを読み取るだけで、棚卸し作業が完了するシステムもあります。
税務対応の効率化:備品の取得日や取得価額を登録しておくことで、償却資産税の申告に必要な台帳を自動で出力できるシステムもあります。これにより、税務担当者の負担を大幅に軽減できます。
システム導入のポイント
自社のニーズに合わせる:備品数や管理したい項目に合わせて、最適なシステムを選びましょう。
既存データとの連携:現在Excelなどで管理しているデータを移行できるか確認します。
操作性:日々の業務で使うものなので、使いやすいインターフェースかどうかも重要です。
備品管理は、ただの事務作業ではありません。会社の資産を守り、コストを最適化し、そして正確な税務処理を可能にする、戦略的な業務です。この3つのステップを踏むことで、効率的かつスマートに行うことができるはずです。ぜひ今日から試してみてください。
関連規程:備品管理規程のサンプル
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