Last Updated on 2023年10月8日 by 勝
原則は規模にかかわらず独立事業場
新たに支店を開設したときは、原則として一つの独立した事業場として扱って、新設の手続きをしなければなりません。
開設した支店がごく小さいときには、届け出をせずに本社等でまとめて事務処理をすることがありますが、後日いろいろと不都合が生じることがあるので、独立した事業場として運営するか、上位の事業場に事務処理を任せるを決めて、正規の手続きをするべきです。
支店の登記
株式会社が支店を設置したときは、登記事項に変更が生じるので、支店設置の日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に変更登記申請を行う必要があります。
社会保険の手続
社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、人事労務管理、給与計算、採用等がその事業所で行われている場合、1つの事業所をみなされ、その事業所で社会保険の新規適用を行う必要があります。
しかし、その事業所で、人事労務管理などを行わずに本社で一括して行っているような場合、独立した事業所として扱われず、本社で一括して健康保険・厚生年金保険の事務処理を行うことができます。
社会保険には「一括適用承認申請書」という適用の一括を申請する手続きがありますが、これはすでに支店で新規適用を行っており、適用事業所となっている場合の手続きです。
新規適用の手続きを行っていない事業所が一括適用を申請する場合は、雇用保険の事業場非該当承認申請調査書の提出で申請を受け付けることがあります。年金事務所にご確認ください。
労働保険の手続
労災保険と雇用保険は、原則として、事業場(支店等)ごとに個別に手続きを行わなければなりません。
労働基準監督署
手続きをすることで、継続事業については、一定の要件を満たし、認可を受けた場合には、労働保険料の申告納付手続きについて一括して処理することができます。
この一括を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。
1.事業主が同一であること
2.それぞれの事業が継続事業であること
3.それぞれの事業が次のいずれか1つのみに該当するものであること
①労災保険にかかる保険関係が成立している事業のうち二元適用事業
②雇用保険にかかる保険関係が成立している事業のうち二元適用事業
③一元適用事業であって労災保険および雇用保険に関する保険関係が成立しているもの
4.それぞれの事業が「労災保険率表」による事業の種類を同じくすること
5.指定事業(本社等)において、それぞれの事業の使用労働者数および支払われる賃金の明細が把握できること
これらの要件を満たし、継続事業の一括を認められた場合は、その後の保険料の申告納付等の事務は、本社等でまとめて行う事ができます。
ただし、上記の一括が認められた場合でも労災の保険給付の請求等は、それぞれの事業を管轄する労働基準監督署で行わなければなりません。
一括後は、一括した事業場全体で労働者数をカウントするので、上位の事業場だけでは50人未満だとしても、いくつかの出先を合わせて全体で50名以上になれば、衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の設置が必要で、ストレスチェックの義務や定期健康診断結果の報告等が必要な事業場となります。
ハローワーク
雇用保険も、事業場ごとに被保険者の手続きをおこなうことが原則となっていますが、その事業所の規模がとても小さく、「独立」した事業所と認められない場合には、承認を受けた場合に限って、主たる事業所で手続きを一括して行うことができます。
ハローワークに「事業所非該当承認申請書」を提出します。
該当するかは、次の基準によって判断されます。
1.場所的に主たる事業所から独立していること
2.人事、経理、経営上の指導監督、労働の態様において、ある程度の独立性を有すること
3.一定期間継続し、施設としての持続性を有すること
税金の手続
法人事業税と法人住民税を納付する必要が出てくるので、所在地の都道府県と市町村に「法人届」を提出する必要があります。
また、支店所在地の所轄税務署に源泉徴収税や償却資産税を申告しなければならない場合があります。
その他の連絡や届出
顧客・仕入先・外注先
加入している外部団体等
取引している金融機関
取引している生命保険会社、損害保険会社等
賃貸の場合は不動産管理会社
契約している電話会社
電気・ガス・水道等の各種公共料金
社有車がある場合は運輸支局
各種許認可を受けている行政機関
社内手続き等
自社ウェブサイトやパンフレットの支店表示の変更
支店名を表示してる名刺・封筒、見積書などの印刷物の変更