子ども・子育て拠出金制度の概要
「子ども・子育て拠出金制度」について、会社の人事担当者として知っておくべきポイントを中心に解説します。
制度の目的と歴史
- 目的: 児童手当の支給をはじめ、仕事と子育ての両立支援事業など、子ども・子育て支援策に必要な費用を賄うための財源を集めることです。
- 歴史: 1971年度に「児童手当拠出金」として創設され、2015年に現在の「子ども・子育て拠出金」に名称が変更されました。
負担者と徴収方法
| 項目 | 詳細 |
| 負担者 | 事業主(会社)が全額負担します。従業員(被保険者)の負担はありません。 |
| 納付義務 | 厚生年金保険の加入者(従業員)を雇用するすべての事業主に納付義務があります。 |
| 徴収方法 | 厚生年金保険料と合わせて、日本年金機構に納付します。 |
| 対象 | 従業員の子どもの有無や年齢、性別に関係なく、厚生年金保険加入者全員が対象です。 |
支援金との違い:
「子ども・子育て拠出金」は「事業主全額負担」で「厚生年金保険」と合わせて納付されます。児童手当、企業主導型保育事業などの財源です。
「子ども・子育て支援金」は「労使折半」で「医療保険料」に上乗せされます。強化された少子化対策全般の財源です。
拠出金の計算方法
子ども・子育て拠出金は、従業員に支払う給与や賞与に基づいて算出されます。
- 計算式:子ども・子育て拠出金 = (厚生年金保険加入者の標準報酬月額 + 標準賞与額) × 拠出金率
- 拠出金率: 現在の適用率は、0.36%(1,000分の3.6)です(令和2年4月改定)。法定上限は0.40%と定められています。
計算例(標準報酬月額30万円の場合)
300,000円 × 0.0036 = 1,080円(この金額を会社が全額負担します)
人事・経理への実務的な影響
- 給与計算: 拠出金は従業員の給与から控除する必要がないため、従業員の給与明細には記載されません(企業が負担するコストとして計上されます)。
- コスト管理: 従業員が増え、報酬額が上がるほど、企業の人件費に含まれる拠出金の負担額も増加します。
- 納付実務: 毎月の厚生年金保険料の納付時に、この拠出金もまとめて納付します。
拠出金と支援金
「子ども・子育て拠出金」と「子ども・子育て支援金」整理します。
| 制度名 | 負担者 | 徴収されるもの | 納付先 |
| 子ども・子育て拠出金 | 事業主が全額負担 | 厚生年金保険料 | 日本年金機構 |
| 子ども・子育て支援金 | 労使折半 | 医療保険料 | 健康保険組合など |
