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パート・有期雇用

雇用形態による待遇格差の問題

Last Updated on 2023年9月20日 by

不合理な待遇差に対する法規制

パートタイム・有期雇用労働法の定めにより、令和2年4月1日から(中小企業は令和3年4月1日から)、同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、賞与、手当、休暇などのあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されています。事業主は、短時間労働者や有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合には、説明しなければなりません。

不合理な待遇の禁止

下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差があってはいけません。
① 職務内容
② 職務内容・配置の変更の範囲
③ その他の事情
(パートタイム・有期雇用労働法第8条)

差別的取扱いの禁止

下記2点が同じ場合、差別的取扱いをしてはいけません。
① 職務内容
② 職務内容・配置の変更の範囲
職務の内容とは、業務の内容+責任の程度をいいます。

(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
パートタイム・有期雇用労働法第9条 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

賃金決定に関する努力義務

短時間労働者が勤続年数を重ねてもほとんど賃金に反映されないことや昇給が最低賃金の改定に応じて決定されるなど、働きや貢献とは関係のない要素で賃金が決定されることが多いことから、職務の内容、成果等に応じて賃金を決定するよう努めるとを求めています。

(賃金)
パートタイム・有期雇用労働法第10条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。

教育訓練に関する実施義務と努力義務

教育訓練は原則として短時間・有期雇用労働者にも正社員と同様に実施しなければなりません。

(教育訓練)
パートタイム・有期雇用労働法第11条 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間・有期雇用労働者が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間・有期雇用労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じ、当該短時間・有期雇用労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。

福利厚生施設の利用の付与義務

福祉厚生施設は原則として短時間・有期雇用労働者にも正社員と同様に利用させなければなりません。

(福利厚生施設)
パートタイム・有期雇用労働法第12条 事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない。

企業における取組手順

労働厚生省ホームページの「同一労働同一賃金特集ページ」を参考にして取り組み手順を策定しましょう。

概要は以下の通りです。

手順1 労働者の雇用形態を確認しましょう

社内の労働者のうち、対応が求められる労働者の範囲を確認しましょう。フルタイム労働者よりも勤務時間の短い短時間労働者と、労働契約の期間に満了日が設定されている有期雇用労働者が対象です。社内の呼称で分類してはいけません。

手順2 待遇の状況を確認しましょう

短時間労働者・有期雇用労働者の賞与、手当、福利厚生などの待遇について、正社員(フルタイムの無期雇用労働者)との違いを確認して、項目ごとに一覧表の形でまとめてみましょう。

手順3 待遇に違いがある場合、違いを設けている理由を確認しましょう

待遇の違いを設けている理由を書き出してみましょう。「パートだから」「将来の役割期待が異なるため」などの主観的・抽象的な理由ではなく、客観的・具体的な理由であることが求められています。

手順4 待遇に違いがあった場合、その違いが「不合理ではない」ことを説明できるように整理しておきましょう。

整理した内容を元に、労働者から説明を求められた場合に使用する、「待遇の違いの内容と理由」の説明書を準備しましょう。

手順5 法違反が疑われる状況からの早期の脱却を目指しましょう

以上の手順の中で、待遇の違いが「不合理ではない」と言い難い項目がある場合には、改善に向けた検討が必要です。

手順6 改善計画を立てて取り組みましょう

改善内容が明確になったなら速やかに計画を策定して改善を進めましょう。


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