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アルバイト雇用の注意点

Last Updated on 2023年9月15日 by

アルバイトの法的な地位

アルバイトを雇用する場合、たとえ一日限りの雇用でも労働者ですから、労働基準法や労働安全衛生法、労災保険法などの労働関係法が適用されます。

また、勤務時間や勤務期間等により、例えば、有給休暇や育児休業等の適用に違う部分があるなど、法律は複雑です。よく理解して違反がないように対応しなければなりません。

なお、アルバイトという呼称は労働関係法に定めがありません。正社員の勤務時間より短い勤務時間での雇用契約を結んでいれば短時間労働者、雇用期間が定まっていれば有期雇用労働者です。

例えば、夏の間だけフルタイムで働いてもらえば有期雇用労働者、夏の間一日5時間だけ働いてもらえば短時間労働者であり有期雇用労働者、期間を定めずに土曜日と日曜日だけ働いてもらえば短時間労働者です。

会社で定義付けをしてアルバイトという呼称を使うことは問題ありませんが、雇用期間が長期で、実質的に雇用期間の定めがない状態で雇用している従業員をアルバイトと呼ぶのは、雇用の不安定さを強調しているように見えて不適切です。契約社員など、適切な名称を考えましょう。

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年少者を雇う場合

民法の規定で未成年者(18歳未満)を雇うには法定代理人(親など)の同意が必要です。

15歳年度末(中学校卒業)までの者であれば、原則としてアルバイトであっても雇うことができませんが、学校長の証明などを条件として労働基準監督署長の許可を得れば雇うことができます。親の承認だけでは足りません。

関連記事:未成年者との労働契約

労働条件をていねいに教えなければならない

「アルバイトなのに、勤務時間などの労働条件をしつこく聞く者がいます。私は募集広告の通りだと言ったのですが不服な顔をしています」

「それは、不満を持たれて当然です。アルバイトであっても労働条件は大事です。ていねいに説明しなければなりません。また、一般の労働者を雇用するのと同じに、労働条件を書面で交付する義務があります。労働条件通知書を作成して渡してください。」

労働条件を明示する

休憩を与えなければならない

「1日の労働時間が8時間未満であれば休憩時間はいらないですね」

「そんなことはありません。6時間を超えれば少なくとも45分、8時間を超えれば少なくとも1時間の休憩を与えなけれなりません。」

「また、休憩時間には電話番のような簡易な仕事を含め一切の仕事をさせないなど、一般の労働者と同様に扱わなくてはいけません」

休憩時間とは

時間外労働には割増賃金を払わなければならない

「勤務時間は8時からと決めたので、8時前に来て準備をして8時からは完全に仕事をスタートできるように指示したのですが、問題がありますか」

「問題ありますね。アルバイトには特に時間に気を使う必要があります。アルバイトが納得して早く出てきて、さらに、指示した準備時間の分の賃金を払えば問題ありませんが。」

「アルバイトには、少し遅くなった程度であれば残業手当はいらないと思うのですが」

「それは大変問題です。遅くなればその分の賃金を払わなければなりません。払わないと、賃金未払いという労働基準法違反になります。」

時間外労働に対する割増賃金

シフトを強制してはならない

「シフトの変更を頻繁に求めるアルバイトがいます。人手不足でシフトの編成に苦労しているので、ときどきはねつけています。」

「シフトの苦労はわかりますが、はねつけるという強制的なことは問題です。そのことによって学校で単位をとれないなど何か不利益なことがおこれば、そのことに責任をとれますか?とにかく、強制的に働かせることは法律的に絶対してはいけないことなのです。相手の理解を得るように努力してください。」

ノルマを強制してはならない

「クリスマスにはケーキのノルマを与えて、達成しなければ買い取りをさせています。どこの店でもやっていることなので大丈夫だと思うのですが」

「アルバイトを含めて従業員は売れ残りを買い取る義務はありません。強制は問題です」

弁償させるのは慎重にしなければいけない

「食器を壊したら弁償させていますが問題ありませんね」

「基本的には、損害を与えたらそれを弁償しなけれならないというのが原則です。しかし、アルバイトは不慣れだということを前提に考えなければなりません。アルバイトの失敗には、故意にやったくらいに近い状況でないと損賠賠償を求めるのは無理でしょう。保険を掛けるなどして備えましょう」

退職を過度に引き留めてはならない

「辞めるときは代わりをつれてこいと言ってありますが、連れてこない者がいます。損害賠償を請求するつもりですがどうでしょうか」

「それはむちゃくちゃな考えです。アルバイトを含めて労働者は辞める権利があります。約束の日よりも早く辞めるなどの問題行動はたしなめなけれならないと思いますが、それでも、賠償を求めることはできません」

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