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採用の事務

未成年者との労働契約

Last Updated on 2022年3月26日 by

同意に関する民法の定め

民法は、未成年者(18歳未満)の法律行為を制限しています。法律行為というのは契約などであり、労働契約も含みます。

民法第5条
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3(略)

これとは別に、労働基準法には次の規定があります。

労働基準法第58条
親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。

昔は親が雇用に介入して、子どもを無理やりにどこかで働かせるようなケースが少なからずあったのでしょう。

まとめると、本人以外のものが労働契約を結ぶことは許されないので、雇用契約はあくまで本人と結ばなければならないが、雇用されるものが未成年であれば、法定代理人(親)の同意を得る必要があるということになります。

15歳年度末までは学校長証明と親の同意書

満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの年少者(中学校を卒業するまでの者)を雇用することは原則としてできません。

ただし、労働基準法に例外規定が定められており、中学生以下の年齢であっても、学校長の証明書と親権者の同意書を得て労働基準監督署長の許可を得れば条件付きで雇用することができます。

年少者の証明書

15歳年度末を過ぎた者

15歳年度末を過ぎている者との雇用契約は労働基準法上の問題はありませんが、前述の民法の規定があるので未成年であれば親権者または後見人の同意書をとっておくべきでしょう。

実務的には、採用時に身元保証書を入れさせ、その保証人の第一候補を親にすることで、実質的な同意書になることから、大半の会社では、あらためて就職同意書を求めるのではなく、身元保証書の受理をもって就職同意書に代えています。

契約解除に関する労基法の定め

労働基準法にも、未成年者が結んだ労働契約を解除する場合の規定があります。

労働基準法58条2項
親権者もしくは後見人または行政官庁は、労働契約が、未成年者に不利と認める場合においては、将来に向かってこれを解除することができる

親権者や後見人、行政官庁(労働基準監督署)が「このような労働条件ではダメだ」と思えば、本人の意向にかかわらず労働契約を解除できる、つまり、辞めさせることができる規定だと解されています。

この場合、実際には未成年者に不利とは言えない労働契約であり、本人が働き続けたいと思っているにもかかわらず、親が大した根拠もなく感情的に辞めさせて良いのかという問題があります。

法律的には解除権の濫用ですが、会社としては裁判までして親と争うような問題ではありません。親が辞めさせるというのであれば未成年の場合はやむを得ないでしょう。最終的には本人と親の問題です。

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