カテゴリー: 評価制度

  • 評価を賞与に反映する

    賞与決定の考え方

    賞与は、成果配分が基本です。会社の業績がよかった時に、その業績に対する貢献度に応じて、大きく貢献してくれた人には多い見返りを提供するものです。

    従業員の方も、やってもやらなくても同じということでは納得しません。

    ただし、問題は、貢献度の測定が難しいので、なかなか皆が納得する結果が出ないことにあります。

    賞与の内訳

    賞与は月の給料と違って、利益に連動させることができます。利益が増えれば賞与が増える、貢献すれば賞与が増えるというのが原則です。

    では、賞与は余分な収入で、あればラッキーな収入かと言えばそうではありません、現実には生活を支える原資の一つであって、金額が簡単に変動しては困るものになっています。

    よって、会社は、業績ベースが基本だとは言いつつも、昨年実績を考慮し、業績の変化にかかわらず、どのようにすれば捻出できるかを考えるようになっています。その結果、どうしても基本給などに連動する固定的部分が増加し、貢献度に対して支払う部分は縮小してきているのが現実です。

    賞与額の決定

    賞与を個人別に決定する前に、まず賞与支給可能額、すなわち賞与源資を確定します。

    次に、この原資を3つに分けます。一つは評価により配分する額、一つは生活給として配分する額、もう一つは調整による支給額です。例えば、評価による支給額を7割、生活給による支給額を2割、調整の原資を1割などと決めます。

    評価による支給額の決定

    では、はじめに評価による配分の計算をします。下のような半分の基準になる表を用意します。評価に対応する数字は会社ごとに実情を反映して定めます。下の表の金額は仮に数字を入れたものです。

    資格評語評価単位
    部長資格20
    18
    16
    14
    12
    課長資格16
    14
    12
    10
    係長資格10
    一般資格

    上の表によると、評語Sで課長資格の場合の評価単位は16です。

    次に総評価単位を計算します。

    資格評語評価単位(A)該当人数(B)A×B
    部長資格20
    18
    16
    14
    12
    課長資格16
    14
    12
    10
    係長資格10
    一般資格
    合計(総評価単位)

    この表の合計欄が総評価単位です。

    最初に決定した賞与資金のうち評価で配分する部分を、この総評価単位で割ります。これを評価単価といいます。

    各人の評価単位に評価単価を掛けると各自に支給する評価による賞与額が算出されます。

    資格による支給額の決定

    各資格の持ち点を決めます。例えば、部長資格は10、課長資格は7、係長資格は5とします。次の表で持ち点の総合計を出します。

    資格資格別持ち点(A)人数(B)
    A×B
    部長資格10 
     
    課長資格 
     
    係長資格 
     
    合計持ち点合計

    賞与資金のうち、資格により支給する部分を、資格別持ち点の合計で割ると資格単価になります。

    各人の資格別持ち点に資格単価を掛けると各自に支給する資格による賞与額が算出されます。

    調整による支給額

    上記の評価による支給額と生活給としての支給額で、賞与支給額は9割方決まるのが一般的です。残りの1割を、社長か人事担当役員が微調整する調整財源に用います。

    調整財源は、だれかの分を削って誰かの分を足すというやり方では、やっているうちに制度のルールがくずれてしまい、結果的に評価制度の信用度を失います。別個の調整財源を用意して、特に貢献度が大きかった人に加算してやる方法がよいでしょう。

    賞与支給一覧表

    評価により配分する額、生活給として配分する額、調整による支給額、それぞれを次のような表で一覧にして合計を計算します。

    氏名評語評価単位(A)評価単価(B)評価配分(A×B=C)
         
         
         
         
         
    合計    
    資格別持ち点(D)資格単価(E)資格配分(D×E=F)調整(G)支給額(C+F+G)
         
         
         
         
         
    合計    

    このような表をエクセルなどで作成します。

    賞与の減額

    出勤率によって賞与を減額することは多くの会社で採られているやり方です。ただし、休みが多くても、その人の成績がよければ減額する必要はないと考えるやり方もあります。特に有給休暇を使うと評価が悪くなるというような運用をしてはいけません。


    会社事務入門賃金・給与・報酬の基礎知識賞与を支給するときはどういう点を注意すればよいですか?>このページ

  • 評価を昇給に反映する

    賃金表を作る

    人事考課を昇給に反映させるには、賃金表が作られていて、従業員それぞれの賃金が賃金表のどこかに位置づけられていることが前提になります。

    職能給制度で用いられる賃金表は、一般的に「等級」と「号俸」の2つの軸で構成されるマトリクス(二次元表) 形式で示されます。この表は、従業員の能力(職能)を等級で分類し、さらにその等級内での習熟度や評価結果を号俸で細かく表現するものです。

    以下に、職能給制度で使われる一般的な賃金表の構造を、概念的な例として示します。

    賃金表の一般的な構造

    この表は、等級(社員の職能ランク) と号俸(等級内の細かなステップ) に応じた月額基本給のモデルです。

    号俸1級(一般社員)2級(係長クラス)3級(課長代理クラス)4級(課長クラス)5級(部長クラス)
    10号¥220,000¥270,000¥350,000¥450,000¥550,000
    9号¥215,000¥265,000¥345,000¥445,000¥545,000
    8号¥210,000¥260,000¥340,000¥440,000¥540,000
    7号¥205,000¥255,000¥335,000¥435,000¥535,000
    6号¥200,000¥250,000¥330,000¥430,000¥530,000
    5号¥195,000¥245,000¥325,000¥425,000¥525,000
    4号¥190,000¥240,000¥320,000¥420,000¥520,000
    3号¥185,000¥235,000¥315,000¥415,000¥515,000
    2号¥180,000¥230,000¥310,000¥410,000¥510,000
    1号¥175,000¥225,000¥305,000¥405,000¥505,000

    表の見方

    • 等級(縦軸): 従業員の職務遂行能力や求められる役割のレベルを示します。一般的に、等級が上がるほど、職務の難易度や責任が大きくなり、基本給も上がります。例では、1級が新入社員や一般社員、5級が管理職の最上位クラスを想定しています。
    • 号俸(横軸): 同じ等級内での能力の熟練度や、人事考課の結果を反映させるための細かなステップです。号俸は通常、毎年人事考課の結果に応じて1〜数号ずつ上がります。これにより、同じ等級の社員でも、評価や経験年数によって給与に差をつけることができます。

    職能給賃金表の主な特徴

    • 能力主義: 等級は、職務内容ではなく「社員が持つ能力」によって決定されます。そのため、同じ職務についている社員でも、能力が認められれば上の等級に昇格する可能性があります。
    • 安定性: 1号俸あたりの昇給額は比較的固定されているため、給与の予測がしやすくなります。
    • 昇給の仕組み: 毎年、人事考課の結果に基づいて、どのくらい号俸が上がるかが決定されます。前回の回答で示したように、「評価Sなら4号アップ、評価Bなら2号アップ」といった形で運用されます。

    この賃金表はあくまで概念的な例であり、実際の金額、等級数、号俸幅は企業や業界、地域によって大きく異なります。また、基本給に加えて、役職手当や住宅手当、家族手当などが別途支給されるのが一般的です。

    評価を参考に昇給幅を決定する

    一般的に、職能給制度における人事考課の結果は、従業員の等級と評価に応じて、次年度の号俸昇給に反映されます。号俸昇給の仕組みは企業によって異なりますが、ここでは一般的なモデルを提示します。

    職能給制度の一般的なモデル

    この表は、人事考課の評価ランク(S、A、B、C、D) と、社員の等級(1級~5級) に応じて、次年度に何号の号俸がアップするかを示しています。

    等級S評価(特進)A評価(優秀)B評価(標準)C評価(努力)D評価(降給)
    5級5号4号3号2号0号
    4級5号4号3号2号0号
    3級5号4号3号2号0号
    2級4号3号2号1号0号
    1級4号3号2号1号0号

    表の見方

    • S評価(特進): 非常に優秀な成績を収めた社員で、標準よりも大幅に高い昇給となります。
    • A評価(優秀): 期待を上回る成果を出した社員で、標準よりも高い昇給となります。
    • B評価(標準): 期待通りの成果を出した社員で、一般的な昇給となります。
    • C評価(努力): 改善が必要な点があった社員で、昇給幅が抑えられます。
    • D評価(降給): 評価が著しく低かった社員で、昇給は見送られ、場合によっては号俸が下がる(降給)こともあります。

    号俸とは、基本給を細かく分けた単位で、号俸が1つ上がると給与が一定額増えます。上記の表では、等級が高いほど、そして評価が高いほど、アップする号俸数が増えるのが一般的です。

    この表はあくまで一例であり、実際の昇給ルールは企業の人事制度によって大きく異なります。企業によっては、号俸昇給のほかに、等級そのものが上がる昇格や、基本給を大きく見直すベースアップと組み合わせることもあります。

    運用は慎重に

    評価制度が動き出すと、制度が独り歩きしがちです。100%完璧な評価制度というものは無いけれども、何らかの方法で従業員の仕事振りを判定しなければならない。ほかに適切な方法が見当たらないので、便宜的に今の評価制度を実施している。という現実を、経営者は忘れてはいけません。

    よって、上がってきた評価結果を、経営者の目で吟味し、時には修正を加えることも経営者の仕事になります。ドラスティックな変化を与えることが、発奮するきっかけになれば良いのですが、やる気を失う、反発するだけの結果になることもあります。よい人には高リターンを、よくない人にはその反対、評価制度はそういう方向を指し示していますが、経営者は、その結果が、当人やまわりに与える影響まで考えを及ぼさなければなりません。

    せっかく評価制度を実施した以上、その結果を賃金に反映しなければならないと思い込んでしまうと、意に反して不満足な結果に終わることがあります。管理職の努力を無にすることなく、評価される人へのショックをやわらげ、全体として組織の底上げをはかる、経営者の手腕が期待される場面です。


    会社事務入門賃金・給与・報酬の基礎知識基本給について>このページ

  • 評価項目の決め方

    評価項目にはどういうものがあるか

    評価(人事考課)を行う際に、最初に決めなければならないのは、どういうところを評価の対象にするかです。評価の項目といいます。

    評価の項目は、会社によって違いますが、おおむね次の3つの項目で評価しています。

    能力の評価

    知識や行動力など、仕事を遂行する能力がどれくらいあるかを判定します。その能力が仕事に生かされたかどうかは考慮しません。あくまでも保有している能力が対象です。どんな能力があればよいかは、評価制度を作る際に定めておきます。

    態度の評価

    積極性や責任感、協調性など、仕事をしている様子を評価します。「頑張っている」「あいさつがいい」などはこの項目で評価します。

    業績の評価

    一定期間の仕事の成果を判断します。営業部門は把握しやすいのですが、成果を把握しにくい部門もあります。仕事の改善や会社の知名度をあげたなど、数字で表しにくい部分もしっかり評価する必要があります。

    自社に適した評価項目にする

    評価の項目は、参考書を参考にしてよいのですが、社長が自分の会社では何が大事と考えるかということで項目の内容も力点も違ってきます。

    折衝力が必要であるとか、明るいほうがいいとか、何より実績だとか、いろいろな考えがあると思います。中小企業向けの標準的な成績評価報告書を作成したので参考にしてください。

    成績評価報告書のサンプル

    (評価期間:令和  年  月  日より令和  年  月  日)

    評価者氏名:
    1次評価者氏名:
    2次評価者氏名:

    別添の評価基準表を参考に評価項目ごとに評価を実施してください。評価点数欄には、次の点数を記入します。

    S評価=14点 A評価=12点 B評価=10点 C評価=8点 D評価=6点

    評価項目ごとに、どの評価段階に当てはまるかを考えてください。5段階評価です。とても優れているがS評価、まったくだめがD評価、普通がB評価です。

    評価項目1次評価点数2次評価点数
    日常業務は一人でこなせるか
    仕事への積極性はどうか
    改善や工夫の提案はあるか
    安全衛生への気配りはどうか
    笑顔で応対できているか
    整理整頓はどうか
    規程やルールは守ったか
    無断欠勤はどうか
    遅刻はどうか
    10守秘義務は守っていたか
    11度を越えたさぼりはなかったか
    12備品をていねいに扱うか
    13敬語の使い方は適切か
    14挨拶はどうか
    15指示の受け方はどうか
    16部下又は後輩への指導はどうか
    17同僚との協力はどうか
    18責任逃れをしないか
    19会議等での発言はあるか
    20私語が多くないか
    合計

    評価項目と評価基準は、一度決めると毎年踏襲しがちですが、できれば、それぞれの会社の経営理念や社員の期待を反映して年々検討を加えるべきです。

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  • 評価のスケジュール

    評価の主な日程

    評価の日程を決定します。流れはおおむね次のようになります。通常は年2〜3回、賃上前と賞与支給前に実施します。

    評価用紙の作成

    評価者教育の実施

    評価用紙を管理職に配布

    回収

    人事部門で個人別の集計表を作成する

    人事部門が甘辛の補正など一定の調整をし、各人別の評語案を作成する

    役員等による人事会議を開催し、各人別の評語を決定する。

    このように手順を検討すると、準備に入ってから終わるまで、すでに人事考課制度に実績がある会社でも、最低でも1ヶ月前から準備が必要なことがわかります。年2回の評価を実施する会社であれば、6月と12月が賞与の支給月とすれば、最新の評価を賞与に生かすためには、5月1日準備開始、5月末には評価決定済みという具合にいきたいものです。

    評価実施のスケジュール例

    4月中   評価者研修を実施する
    5月 1日 評価用紙などの配布資料を準備する
    5月 8日 評価用紙などを評価者に配布する
    5月15日 締切日に評価用紙を回収する
    5月22日 人事部門で集計と評価案を決定 人事委員会に提出
    5月25日 人事委員会の審議終了 評価の最終決定
    5月29日 人事部門で記録を整備

    会社の規模によっては、上位の管理職による2次評価、あるいは調整評価を間にはさみます。

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  • 評価者面談のやり方

    評価者面談とは

    評価は、直接の上司が日常の仕事振りを観察して、所定の評価用紙に記載して、さらに上の上司に提出します。直接の上司の評価が基準になり、最終的には一人一人に「A」「B」「C」などの評語が決まって、評価作業が終了します。

    この「A」「B」「C」などの評語は、昇給や、賞与、昇格に活用されます。

    さて、一人一人の評語がどう決まったかは、上司が本人と面談をして伝えるのが原則です。

    中小企業では、評価の結果を上層部が活用するにとどめてブラックボックスにしていることもあります。しかし、せっかくの評価制度を、本人の改善や成長に役立てるには、評価結果を、本人にフィードバックする必要があります。

    本人に評価結果を伝えるときは、単に通知するだけではなく、面談というかたちで、上司と本人の話し合いの場を持つのが一般的です。この面談において、納得してもらい、改善点などを話し合うのです。これを、「評価面談」「育成面談」などといいます。

    面談の進め方

    面談では、まず本人に自己評価の説明を行ってもらいます。ということは、事前に自己評価を実施していることが前提になります。

    次に、決定された標語を伝え、自己評価と上司の評価の違いとその理由を説明します。部下の自己評価と食い違いがある場合は、しっかりと話し合うことが大事です。特に、本人の点数が高く、上司の点数が低い項目は、本人が「自分はできている」と誤認している項目であり、そのままにしておくといつまでも改善されません。本人が点数を付けた根拠を聞きながら、上司としての見解を述べましょう。

    そして、今後の目標や、将来のキャリアの希望などについて話し合いましょう。このとき、上司からは組織全体として重視していることについての説明をし、組織全体の目標を共有してもらえるようにしましょう。

    面談する際の注意点

    全体として、「褒める」「励ます」が基本です。

    面談の最初には、心をほぐす努力をしましょう。天気や趣味の話しから入るとよいでしょう。

    まずは、褒めましょう。本人がこれまでにした良いことを取り上げましょう。少し大げさでも構いません。

    評価結果と自己評価との間にギャップがある場合には、上司はその理由を説明する必要があります。説明が適当にならないように、事前に何をどう話すか準備しておきましょう。

    面談全体を通しては、指摘や意見は最小限にして、なるべく本人から話してもらいましょう。終わってみたら上司の方が多く話していたということのないように注意しましょう。指導に熱心なあまり、熱く語りすぎて失敗することが多いのです。

    部下が話しているときは、相づちを打つなどして、しっかり聞いていることを積極的にアピールしましょう。

    一緒に考える姿勢も大事です。なかなか答えをだせないことがあるのが普通です。上司がリードしすぎるとどうしても押しつけになります。注意しましょう。

    評価が良くなかった部下に対しては、特に指摘だけで終わらないようにしましょう。成長や努力を認めることが大切です。日頃からちょっとしたよい変化を観察し記憶し、面談で話しましょう。部下は「自分をきちんと見てくれている」と感じ、協力的になることが期待できます。

    「私は評価しているのだけれど、部長がね」という責任転嫁は禁句です。かえって信頼関係を損ないます。

    押しつけは良くないのですが、迎合もだめです。あまり迎合していると指導力を損ないます。

    話すときや聞くときの態度や姿勢が重要です。横柄な態度を取ってはならないのはもちろんですが、いつもの癖で、椅子に踏ん反り返ったり、腕組みをしたりしないようにしましょう。

    感情をコントロールすることが極めて重要です。なお、部下が感情的になってきたと感じたときには、休憩をはさみましょう。別の日に改めて行うことにするのもよいでしょう。

    面談終了後のフォロー

    面談が無事終わるとホッとしますが、それで終わるわけではありません。評価は、一年を通しての作業です。面談で設定した目標などについては、日常的に声掛けをしたり、話し合う機会を設けることが大切です。日頃のコミュニケーションを良くすることで、目標の達成やスキルアップの支援になり、また、次の面談に向けての信頼関係を築くことができます。

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  • 評価エラーについて

    評価制度がどんなに優れていても、評価者が公正に評価を実施しなければ意味がありません。「評価エラー」におちいらないように、評価実施者に対する継続的な注意喚起が必要です。

    評価エラーとは

    評価(人事考課)は、機械で測るようにはいきません。評価するのは人間ですから、間違いや思い込みがある程度発生することは避けられません。

    自分では正しい評価を行っているつもりでも、無意識のうちに誤った評価を実施してしまうことがあります。こうした人間の心理的特性にかかわる評価の誤りを「評価エラー」といいます。

    ここでは、代表的な評価エラーを紹介します。自分の陥りやすい判断の傾向を認識して評価に取り組みましょう。

    評価エラーの種類

    評価エラーには次のようなものがあります。

    ハロー効果

    印象が強いことに評価が影響を受けることです。

    「有名大学をでている」「国家資格を持っている」など、一部の出来事や特徴に引きずられて実際よりも高い評価をつけてしまうことです。逆に「女性だから」「歳だから」など、一部の出来事や特徴に引きずられて実際よりも低い評価をつけてしまうこともハロー効果です。

    「ハロー効果」に要注意!元気=営業、は思い込みかもしれません

    中央化傾向

    評価結果が「標準」や「普通」といった真ん中の評価に偏ることを、中央化傾向または中心化傾向といいます。

    「厳しい評価をつけたらどう思われるかな」「あまり高い評価にすると部長はどう思うだろうか」などと考えたときに中央化傾向があらわれます。

    上司としての自信のなさなどが影響することが多いです。

    中央化傾向は、SABCDの5段階評価で実施した場合、Bが極端に多くなるので、評価結果を見ればすぐに分かります。標準的な配分よりBが多くなったときは見直しが必要です。

    親近感効果

    仕事上のことではなく、出身学校が同じであるとか、同郷であるとか、趣味が同じなどであることに親近感を持ち、それによって甘い評価をしてしまうことです。

    感情的傾向

    嫌いな部下や、反抗的な部下に対して、わざと厳しい評価を下すことがあります。評価者として間違ったやり方であることを承知の上で確信的にやることが多いので、指導してもあれこれ理屈をつけて自分の評価を正当化する傾向があります。2次評価者の役割が重要になるところです。

    外部要因効果

    本人の力よりも、景気の動向や上司の支援などの外部要因を過大、または過小にとらえ、実際よりも厳しい、または甘い評価をしてしまうこと。

    近時点誤差

    評価の直前のことが大きく印象に残り、それによって期間全体を評価してしまうことです。時間がたったことは忘れがちで、直前のことが記憶に残りやすいのでこのようなことが起こります。日頃から部下の行動などをメモに取るなどして、評価期間全体で評価をすることが求められます。

    厳格化傾向

    他人に厳しい性格で、どの人にも必要以上に厳しい評価をしてしまうこと。自分が甘いのか辛いのかというのは、自分ではなかなか認識できないものなので、上司の指摘を素直に聞き、評価者研修で、正しい評価の考え方を理解するように努めましょう。

    寛大化傾向

    他人に配慮する性格で、どの人にも甘い評価をしてしまうことです。自分の部下を優遇して自分に対する評価を上げようとする管理職もこの傾向に陥りがちです。厳格化傾向と同様に、自分が甘いのか辛いのかというのは、自分ではなかなか認識できないものなので、上司の指摘を素直に聞き、評価者研修で、正しい評価の考え方を理解するように努めましょう。

    対比誤差

    定められた「評価基準」を用いないで、「おれの若い頃はもっとできた」などと評価者本人と比べて評価することです。また、自分がパソコンが苦手だと普通の操作でもことさら感心してしまい、高い評価を与えることも、自分と比べているという意味で対比誤差の一つです。自分の能力と対比するのではなく、会社が示した等級や職種に求められる役割、能力、成果に基づいて評価しなければいけません。

    論理誤差

    「よく発言するから積極的に行動するだろう」「明るい性格だから得意先にも好かれるだろう」とか「理工系だから数字に強いだろう」というような、一見すると論理的に関係がありそうな項目で推定的に評価してしまうことを「論理誤差」といいます。関係がありそうで実はないのですから、評価を間違えてしまいます。評価項目ごとにひとつひとつ見ていく必要があります。

    メーキング

    人事考課における「メイキング」とは、評価者が事前に決めた評価結果に合うように、後から理由や事実をでっち上げる評価エラーのことです。先に結論があり、後付けで理由を探します。

    あらかじめ決めている順番になるように点数を操作している評価者がいます


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