評価の主な日程
評価の日程を決定します。流れはおおむね次のようになります。通常は年2〜3回実施します。
- 評価用紙の作成
- 評価者教育の実施
- 評価用紙を管理職に配布
- 回収
- 人事部門で個人別の集計表を作成する
- 人事部門が甘辛の補正など一定の調整をし、各人別の評語案を作成する
- 役員等による人事会議を開催し、各人別の評語を決定する。
このように手順を検討すると、準備に入ってから終わるまで、すでに人事考課制度に実績がある会社でも、最低でも2か月前から準備が必要なことがわかります。
評価実施のスケジュール例
中規模の企業が4月の昇給検討に間に合わせるために実施する人事考課のスケジュールについて、具体的な作業内容と時系列の目安を示します。
4月昇給に反映させるためには、遅くとも3月上旬までに最終評価を決定しさせる必要があります。そのため、考課期間の終了から逆算してスケジュールを組みます。
4月昇給に向けた人事考課スケジュール(目安)
人事考課の考課期間が10月〜3月の半年間(または4月〜3月の1年間)で、評価期間が3月に終わると仮定した場合の、一般的なスケジュールです。
| 時期 | 作業(人事部門・経営層) | 作業(上司/評価者) | 作業(従業員/被評価者) |
| 3月上旬〜中旬 | 【昇給額・最終評価の確定】 経営層への最終報告・承認。昇給原資と考課結果に基づき、昇給額・賞与額の確定。人事システムへのデータ反映、異動発令準備。 | 【最終評価の決定】 二次考課者(部門長など)と評価結果をすり合わせ、最終評価を決定。 | なし |
| 2月下旬〜3月上旬 | 【評価調整会議(擦り合わせ)】 部門間の評価のバラつきがないか、人事部門主導で評価調整会議を実施。 | 【二次考課(部門長評価)】 一次考課の結果を検証し、部門間のバランスや全社視点での調整を行う。 | 【面談(フィードバック)の実施】 上司と面談を実施し、評価結果とその根拠、次期目標について合意する。 |
| 2月上旬〜下旬 | なし | 【一次考課の実施】 部下から提出された自己評価と日頃の観察に基づき、一次評価を記入。評価根拠を明確にする。 | 【評価面談(フィードバック) 上司と面談日程を調整・確認。 |
| 1月下旬〜2月上旬 | 【考課準備】 評価シートの回収状況確認、評価者への研修(評価基準の再確認、面談方法)を実施。 | 【考課期間の振り返り】 考課期間全体を振り返り、部下の成果や行動に関する記録を整理する。 | 【自己評価シートの提出】 記入した自己評価シートを上司へ提出。 |
| 1月中旬〜下旬 | 【評価基準の周知】 従業員に対し、考課期間、評価項目、スケジュールの最終確認を行う。 | 【自己評価の記入指導】 部下に対し、自己評価の目的や記入方法を指導・支援する。 | 【自己評価の記入】 考課期間の成果・能力・行動を振り返り、評価シートに記入する。 |
| 考課期間中 (10月〜3月) | なし | 【日々の評価記録】 1on1ミーティング等を通じて部下の成果・行動を記録・フィードバックする。 | 【業務遂行と目標管理】 目標達成に向けて業務を遂行し、進捗を随時上司と共有する。 |
各作業におけるポイント
1. 自己評価の記入・提出(1月)
- 【重要性】 従業員が評価について主体的に考える最初のステップです。
- 【アドバイス】 従業員には、具体的な事実や数値を基に記入するよう事前に指導します。記入期間は1〜2週間程度を目安とし、記入方法に関する問い合わせ窓口(人事)を明確にしておきます。
2. 一次考課・二次考課(2月)
- 【重要性】 上司が部下を評価する核心的な作業です。
- 【アドバイス】 一次考課者(直属の上司)は、自己評価を踏まえつつ、客観的な事実に基づいて評価します。二次考課者(部門長など)は、一次評価の妥当性を検証し、部門内の相対的な位置づけや評価の基準統一を担います。
3. 評価調整会議(2月下旬〜3月上旬)
- 【重要性】 評価のバラつきを是正し、全社的な公平性を確保するための鍵となる会議です。
- 【アドバイス】 人事部門が主導し、各部門の二次考課者が集まり、以下の観点から評価を調整します。
- 評価分布が部門間で極端に偏っていないか(甘辛調整)。
- 会社目標と部門目標への貢献度に応じた評価になっているか。
- 特に高い評価・低い評価の根拠が明確か。
4. 評価面談(フィードバック)(2月下旬〜3月上旬)
- 【重要性】 評価結果の納得感を高め、次期への成長意欲を引き出す最も重要なプロセスです。
- 【アドバイス】 評価が確定する直前または確定後、昇給額決定前に実施します。上司は、調整後の最終評価に基づき、その根拠を具体的かつ丁寧に説明します。反論があった場合は、冷静に事実確認に徹し、「今回の評価は確定だが、次期にどう改善するか」という未来志向の対話に切り替えることが肝心です。
5. 昇給額の確定・発令(3月上旬〜中旬)
- 【重要性】 考課結果が最終的な処遇(昇給・賞与)に反映される最終段階です。
- 【アドバイス】 考課結果と昇給原資、賃金テーブルに基づき、昇給額を確定します。この段階で、昇給後の給与を4月からの給与計算・支払いに間に合うよう、人事システムへの入力や労働条件通知書の準備を進めます。