カテゴリー: 経理の事務

  • 棚卸し作業の進化〜手書きからデジタル〜

    近年、棚卸しの方法は大きく進化しています。昔ながらの手書き方式から、デジタル技術を活用した効率的な方式へと段階的に移行してきました。

    棚卸し作業の進化

    第1段階: 手作業での棚卸し

    昔ながらの方法で、現物を見ながら在庫を数え、手書きの棚卸表に品名、数量などを記入する方式です。

    この方式は、特別な機器が不要で誰でもすぐに始められるという利点がありますが、以下のような課題がありました。

    人為的なミスが多い: 数え間違いや、書き間違い、記入漏れが発生しやすい。

    時間がかかる: 在庫数が多い場合、作業に膨大な時間がかかる。

    データ入力の手間: 手書きのデータを後でパソコンに手入力する必要があり、ここでもミスが発生しやすい。

    リアルタイム性の欠如: 集計が完了するまで正確な在庫数が把握できない。

    第2段階: バーコードリーダーの導入

    棚卸し作業にバーコードリーダーが導入されるようになりました。

    バーコードを読み取ることで、棚卸表への記入が不要になり、データ入力の手間やミスが大幅に削減されました。

    作業の効率化: バーコードをスキャンするだけで商品情報が自動的に入力されるため、作業時間が短縮される。

    ミスの削減: 手書きや手入力によるミスが減る。

    データの一元管理: 読み取ったデータはPCに直接転送され、在庫管理システムと連携しやすくなる。

    しかし、この段階ではまだ、バーコードを一つずつスキャンする手間や、リーダーを持ち運んで作業する必要がありました。

    第3段階: RFID(ICタグ)の活用

    近年、さらに進化した方法としてRFID(Radio Frequency Identification)が注目されています。RFIDタグ(ICタグ)を商品に貼り付けることで、複数の商品を一括で、非接触で読み取ることが可能になりました。

    劇的な時間短縮: リーダーをかざすだけで、箱の中の商品や、離れた場所にある複数の商品を一度に読み取れるため、棚卸しにかかる時間が大幅に短縮されます。

    作業の効率化: バーコードのように商品を一つずつスキャンする必要がないため、手間が大きく削減されます。

    リアルタイム管理: RFIDリーダーが在庫数を常に更新することで、リアルタイムでの在庫管理が容易になります。

    この技術は、特にアパレル業界や物流倉庫など、大量の在庫を扱う現場で導入が進んでいます。コストはバーコードよりも高くなりますが、それ以上の効率化効果が期待できます。

    自社での棚卸しから第三者の棚卸しへ

    棚卸し作業を専門業者に委託する企業が増えています。自社でやるよりも多くのメリットがあるからです。主な理由を以下にまとめます。

    1. 本業への集中と生産性の向上

    棚卸しは、多くの従業員を動員し、長時間を要する作業です。特に小売店などでは、棚卸しのために店舗を休業したり、深夜に作業を行ったりするため、通常業務に大きな負担がかかります。専門業者に委託することで、従業員は本来の業務(接客、販売、製造など)に集中でき、販売機会の損失を防ぎ、全体の生産性を高めることができます。

    2. コスト削減

    一見すると業者への委託費用がかかるように思えますが、実はコスト削減につながるケースが多々あります。

    人件費の削減: 棚卸しのために残業代や休日手当を支払う必要がなくなります。また、他部署から応援を出すことによる非効率もなくなります。

    ミスの削減: 専門業者は棚卸しのプロなので、数え間違いや入力ミスが少なく、やり直しの手間やそれに伴うコストも削減できます。

    機会損失の回避: 閉店せずに棚卸しができるため、その間の売上を確保できます。

    3. 棚卸し精度の向上

    専門業者は、棚卸しに特化したノウハウや専用の機材(ハンディターミナル、RFIDリーダーなど)を持っています。これにより、正確かつスピーディーに棚卸しを行うことができ、在庫の差異を最小限に抑えることができます。正確な在庫データは、その後の発注計画や経営判断に不可欠です。

    4. 経営の客観性・透明性の確保

    棚卸しは、会社の利益を計算する上で非常に重要な作業です。自社の従業員が棚卸しを行う場合、意図的でなくても過少・過大計上といったミスが生じる可能性があります。専門業者という第三者が棚卸しを行うことで、より客観的で信頼性の高い在庫数を確保でき、監査などに対しても説明責任を果たしやすくなります。

    5. 在庫管理の課題解決につながる

    専門業者は棚卸し作業だけでなく、在庫管理に関するコンサルティングまで行うケースもあります。棚卸しを通じて得られたデータを分析し、過剰在庫や滞留在庫の課題を指摘してくれるなど、より効率的な在庫管理の提案を受けられることもあります。

    これらの理由から、特に在庫数が多かったり、棚卸し作業が複雑だったりする企業では、専門業者への委託が有効な選択肢となっています。


    関連記事:棚卸しの手順

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  • 仕訳って何?簿記初心者のためのやさしい解説

    仕訳とは、会社やお店の経済活動(取引)を、「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」 の2つの項目に分けて記録することです。これは簿記の基本的なルールで、すべての取引をこの形式で記録することで、会社の財政状態や経営成績を正確に把握することができます。

    借方と貸方について

    仕訳は、必ず左右に分かれます。左側が借方、右側が貸方です。

    仕訳は、以下の5つのグループのどれかが増えたか減ったかを記録します。

    資産(現金、売掛金など): 会社の財産のことです。

    負債(買掛金、借入金など): 会社が将来支払うべき義務のことです。

    純資産(資本金など): 資産から負債を引いた、返済不要なお金のことです。

    収益(売上など): 会社がお金を稼いだ活動のことです。

    費用(給料、家賃など): 会社の活動でお金を使ったこと、または将来使うお金のことです。

    これらのグループの増減を、借方と貸方に以下のようにルールに従って記入します。

    グループ増えた場合減った場合
    資産借方貸方
    負債貸方借方
    純資産貸方借方
    収益貸方借方
    費用借方貸方

    最初は難しく感じるかもしれませんが、この5つのグループのどれが増えて、どれが減ったのかを考えることが大事です。慣れてくると「仕訳」ができるようになります。

    具体的な仕訳の例

    例として、「コピー用紙1,000円を現金で買った」という取引を考えてみましょう。コピー用紙は「消耗品費という費用」で、現金は「現金という資産」です

    この取引では、以下の2つの動きがあります。

    1.「現金」 という 資産 が1,000円 減った

    2.「消耗品費」 という 費用 が1,000円 増えた

    上記のルールに当てはめると、

    資産の減少は貸方に記入するので、(貸方)現金 3,000 となります。

    費用の増加は借方に記入するので、(借方)消耗品費 3,000 となります。

    これを帳簿に書くと以下のようになります。これを「仕訳」といいます。

    借方貸方
    消耗品費現金
    3,0003,000

    このように、必ず借方と貸方の金額が同じになるのが仕訳の基本的なルールです。これが簿記の最も重要な考え方である 「複式簿記(ふくしきぼき)」 です。

    複式簿記とは

    「複式」とは、一つの取引を「原因」「結果」という2つの側面から記録することです。

    家計簿のようなものを「単式簿記」といいます。単式簿記は、例えば、お金の動きがあったときに、「食費として3,000円使った」などという事実だけを記録します。

    一方、「複式簿記」では、この取引を「お金が減った」という結果と、「食料品を買うという原因(=費用が発生した)」という2つの側面で捉え、それぞれを借方(左)貸方(右)に分けて記録します。

    複式簿記の仕組み

    すべての取引はこの2つの側面で記録されるため、借方と貸方の合計金額は常に一致するようになります。この「二重に記録する」という仕組みが「複式」の由来です。

    この記録方法によって、お金の動きだけでなく、会社の財産(資産)、借金(負債)、儲け(利益)などがどのように変動したかを詳細に把握できます。これにより、会社の正確な財政状態や経営成績を把握できるようになるのです。

    簿記と仕訳の関係

    簿記を理解する上で、仕訳の知識は欠かせません。

    簿記における仕訳の重要性

    簿記は、会社の経済活動を記録・計算・整理し、その結果を報告するための技術です。そして、その記録の出発点となるのが仕訳です。すべての取引は、仕訳という形式で記録され、それが集計されて決算書(貸借対照表や損益計算書など)が作成されます。

    仕訳を理解するということは、「なぜこの取引が、この勘定科目で、借方と貸方にそれぞれ記録されるのか」という簿記のルールや論理を理解することに他なりません。つまり、仕訳を正しく行えなければ、その後のすべての作業も成り立たないため、簿記の学習において仕訳は最も基本的な、かつ最も重要な土台となります。

    簿記3級と仕訳のレベル

    簿記3級の試験では、仕訳の知識は必須です。

    試験問題の多くは、まず取引を正確に仕訳できるかどうかを問う形式になっています。具体的には、現金預金の増減、売上・仕入、費用・収益の認識、商品の販売、手形取引、借入金・貸付金など、個人商店や中小企業で発生する基本的な取引の仕訳が問われます。

    簿記3級に合格するためには、これらの仕訳を正確に、かつスムーズにこなせるレベルの理解が求められます。仕訳のパターンを丸暗記するのではなく、取引の「原因」と「結果」を理解し、借方と貸方のどちらにどの勘定科目が来るのかを自分で判断できるようになることが大切です。


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  • 全部を修繕費として経費にできるわけではない、資本的支出についての解説

    修繕費と資本的支出は、会社が持っている建物や機械などの固定資産にかかった費用を、帳簿にどう記録するかという話です。この2つは似ていますが、税金や会社の利益計算に大きく影響するため、区別することがとても重要です。

    修繕費とは?

    修繕費は、固定資産を「現状維持」したり、「元の状態に戻す(原状回復)」ために使った費用です。イメージとしては、壊れたものを直したり、古くなったものを買い替えることで、買った時と同じように使えるようにする費用です。

    たとえば、

    • 雨漏りする屋根を直すための修理費用
    • 車のタイヤがパンクしたので交換した費用 (同じ性能のタイヤの場合)
    • パソコンが壊れたので部品を交換して使えるようにした費用
    • 給排水設備の水漏れを修理する費用

    などがあります。これらの費用は、原則として、支払った年に全額を費用(経費)として計上できます。

    資本的支出とは?

    一方、資本的支出は、固定資産の「価値を高める」または「使用できる期間を延ばす」ために使った費用です。単に元に戻すだけでなく、以前よりも便利になったり、長持ちするようになったりする場合がこれにあたります。

    たとえば、

    • 建物の耐震補強工事を行った費用 (より頑丈になった)
    • 車のエンジンを高性能なものに交換した費用 (以前より性能が上がった)
    • エレベーターのないビルに新しくエレベーターを設置した費用 (ビルの機能が向上した)
    • 通常のガラス窓を、断熱効果の高い二重窓に取り替えた費用 (価値が向上した)

    などがあります。資本的支出は、その年に全額を費用にすることはできません。固定資産の「取得価額に含めて資産として計上」し、その後、減価償却という方法で、何年かに分けて少しずつ費用として計上していきます。

    修繕費と資本的支出のちがい:なぜ重要なのか?

    この2つを区別することが重要なのは、税金の計算に大きく影響するからです。

    • 修繕費: 支払った年に全額経費になるので、その年の利益が減り、支払う税金が少なくなる効果があります(節税効果が高い)。
    • 資本的支出: 複数年にわたって少しずつ費用になるので、その年の税金への影響は小さいですが、将来にわたって費用を分散できます。

    そのため、どちらに該当するかで、会社の税負担や財務状況の見た目が大きく変わる可能性があります。

    判断に迷った時のヒント

    修繕費と資本的支出の区別は、時に難しいことがあります。実務では、以下の点が判断基準になります。

    • 目的: 「現状回復」や「維持管理」が目的なら修繕費、「価値向上」や「耐用年数延長」が目的なら資本的支出。
    • 金額基準:
      • 20万円未満または3年以内の周期の支出: 1つの修繕や改良にかかる費用が20万円未満の場合や、およそ3年以内の周期で発生する定期的な支出は、修繕費として扱ってよいとされています。
      • 60万円未満または取得価額の10%以下の支出: 支出が資本的支出か修繕費か明らかでない場合、その費用が60万円未満であるか、あるいは対象の資産の前期末時点の取得価額の約10%以下であれば、修繕費として扱えます。
    • 例外規定: 例えば、災害で被災した固定資産の修理費用などで、修繕費か資本的支出か判断が難しい場合、特例で一定の割合を修繕費にできる規定もあります。

    重要なのは、名目ではなく「実質的な内容」で判断することですが、正確な知識については、税理士や税務署に相談することをおすすめします。


    関連記事:初心者でもわかる!固定資産管理の基本

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  • 土地や機械はいくらで計上する?固定資産の取得価額をやさしく解説

    会社を経営していると、事業のために土地や機械を購入することがあります。これらは会社の財産であり、「固定資産」として帳簿に記録する必要があります。

    しかし、この固定資産をいくらの金額で帳簿に載せるか、考えたことはありますか?ただ単に購入したときの金額だけを計上すればいいのでしょうか?

    実は、固定資産の計上には、その固定資産が使えるようになるまでにかかった様々な費用を含める必要があります。これを「取得価額」と呼びます。今回は、この取得価額について、わかりやすく解説します。

    取得価額とは?

    取得価額とは、固定資産を購入したときの価格だけでなく、その固定資産を事業で使える状態にするまでにかかったすべての費用を合計した金額のことです。

    減価償却をするには取得価額を確定させなければなりません。

    たとえば、機械を購入した場合を考えてみましょう。

    ・機械本体の購入代金
    ・機械を運ぶための運送料
    ・機械を設置するための設置費用
    ・機械が正常に動くか確認するための試運転費用

    これらの費用はすべて、機械が使えるようになるために必要な費用ですよね。だから、これらの費用を合計して、取得価額として計上します。

    取得価額に含むもの含まないもの:例

    固定資産の取得価額に含まれるもの・含まれないものは、資産の種類ごとにルールが少しずつ異なります。以下、土地・建物・償却資産に分けて整理します。

    土地の場合

    土地の取得価額には、購入代金のほか、所有権移転登記のための登録免許税や司法書士への報酬、仲介手数料、取得時に必要な造成費、不動産取得税などが含まれます。
    一方で、取得後に発生する固定資産税や都市計画税、維持目的の造成や整地の費用、取得後の融資利息、境界確認のための測量費などは取得価額には含まれません。
    土地は減価償却しないため、取得価額は原則として帳簿上ずっと変わりません。

    建物の場合

    建物の取得価額には、工事請負代金や設計費・監理費、建築確認申請料、工事中の足場や養生などの仮設設備費、登記費用、さらに一定の条件を満たす建築中の利息も含まれます。
    これに対して、引渡し後の修繕費、火災や地震などの保険料、取得後に発生する固定資産税や融資利息、開業告知のための広告宣伝費、家具や備品の購入費などは取得価額に含めません。

    償却資産(機械・器具備品など)の場合

    償却資産の取得価額には、購入代金だけでなく、運搬費や荷役費、据付・組立費、試運転にかかった費用、関税や輸入時の諸費用などが含まれます。
    反対に、運用後の保守契約料、耐用年数1年未満や取得価額10万円未満の消耗品、運用後に作成する操作マニュアル費用、消耗燃料費、設置完了後の融資利息などは取得価額に含めません。

    まとめの考え方

    固定資産の取得価額は、ただ購入した金額を計上するだけではありません。その固定資産が事業で使える状態になるまでに通常必要とされる費用をすべて合計した金額です。

    正しく取得価額を計算することで、会社の財務状況を正確に把握し、健全な経営を行うことができます。もし迷ったときは、「その費用は、固定資産が使えるようになるために必要だったか?」を考えてみてください。


    関連記事:初心者でもわかる!固定資産管理の基本

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  • 初心者向け!減価償却費の計算と償却資産申告書の作成ガイド

    「減価償却費の計算」と「償却資産申告書」…言葉を聞くだけで難しそうと感じる方も多いかもしれません。ですが、これらは会社の財産を正しく管理し、税金を納める上で非常に重要な手続きです。

    この記事では、固定資産管理の初心者向けに、減価償却の計算方法から、償却資産申告書の作成までをわかりやすく解説します。

    減価償却計算の基本

    減価償却とは、固定資産の取得費用を、利用できる期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用として計上していく会計上の手続きです。

    減価償却が必要かどうかについては、資産の取得価額によって変わります。10万円以上であれば原則として減価償却を行いますが、20万円未満の場合は一括償却資産、30万円未満は少額減価償却資産の特例が適用される場合があります。

    関連記事:減価償却

    償却資産申告書の基本

    償却資産申告書とは、会社が所有する事業用の固定資産(土地・家屋を除く)を、毎年1月1日時点の状況で市区町村に申告するための書類です。この申告に基づいて、「固定資産税(償却資産)」が課税されます。

    申告の対象となる資産

    ・構築物(アスファルト舗装、塀、門、フェンス、看板、屋外給排水設備、煙突、鉄塔など)
    ・機械及び装置(太陽光発電設備、製造工作機械、製造加工機械、旋盤、ポンプなど)
    ・車両及び運搬具(フォークリフト等の大型特殊自動車貨車、構内運搬具、客車、トロッコなど)
    ・工具、器具、備品(測定工具、切削工具、机、いす、パソコン、レジスター、エアコンなど)

    対象となる資産の詳細は、市区町村から送られてくる申告書に資料が同封されています。また市区町村のホームページに掲載されています。

    減価償却計算から申告書作成までの流れ

    1.固定資産台帳の整備: まず、会社が保有するすべての償却資産をリストアップした固定資産台帳を作成します。取得価額、取得日、耐用年数、償却方法などを正確に記録します。

    2.減価償却費の計算: 固定資産台帳の情報に基づき、個々の資産についてその年度の減価償却費を計算します。

    3.期末簿価の算出: 取得価額から、これまでの償却費の累計額を差し引いて、期末時点の帳簿上の資産価値(簿価)を算出します。

    4.申告書の作成: 計算した期末簿価をもとに、償却資産申告書を作成します。

    5.申告期限: 申告書の提出期限は、原則として毎年1月31日です。

    これらの作業は、固定資産管理のソフトやクラウドサービスを使うと、より効率的に、正確に行いことができます。

    関連記事:これで解決!固定資産管理を楽にするクラウドシステム

    土地・家屋は申告不要

    土地と建物、そして償却資産は、いずれも固定資産税が毎年1月1日時点の所有者に課税されますが、課税対象や管理方法が異なります。

    固定資産税(一般的な意味)

    対象:土地・家屋・償却資産の3種類

    土地や家屋は所有者からの申告は不要です。

    土地や建物は「不動産登記情報・建築確認申請・現地調査(航空写真等)」という複数ルートで網羅的に把握されるため、納税者が申告しなくても課税できる仕組みがあるのです。

    償却資産税(固定資産税の一部)

    対象:土地・家屋以外の事業用資産(機械、器具備品、構築物など)

    事業者が毎年1月1日時点の保有状況を自ら申告する必要があります。


    関連記事:初心者でもわかる!固定資産管理の基本

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  • これで解決!固定資産管理を楽にするクラウドシステム

    「固定資産管理」は、会社の財産を正確に把握するために欠かせない業務ですが、減価償却費の計算や現物との照合作業など、手間がかかることが多いですよね。

    そんな悩みを解決してくれるのが、クラウド型の固定資産管理システムです。今回は、会計システムとの連携や、文書・写真・位置情報の取り込みなど、DXを推進する上で特に便利な機能を持つ主要なシステムとその概要を紹介します。

    クラウド型固定資産管理システムのメリット

    従来のExcel管理と比較して、クラウド型システムには以下のようなメリットがあります。

    業務効率化:減価償却計算が自動で行われるため、手作業によるミスがなくなります。

    情報の一元管理:固定資産の台帳、現物の写真、契約書などの関連情報を一か所にまとめて管理できます。

    現物管理の効率化:スマートフォンのカメラ機能などを活用し、現物情報(写真、位置情報)を簡単に記録・更新できます。

    場所を選ばないアクセス:インターネット環境があれば、どこからでも最新の固定資産台帳を確認できます。

    おすすめのクラウド型固定資産管理システム

    1. MFクラウド固定資産

    概要:会計システムで有名なマネーフォワードの固定資産管理システムです。同社の会計システムとの連携が非常にスムーズで、仕訳の自動作成や減価償却費の自動計算が強みです。

    特徴

    会計システムとの連携:マネーフォワード会計とのシームレスな連携により、固定資産の登録から減価償却費の計上まで自動化できます。

    スキャン取込:スキャンした請求書や納品書をデータとして取り込むことができ、証憑書類と固定資産台帳を紐づけて管理できます。

    現物管理機能:スマホアプリで現物の写真を撮影し、位置情報とともに登録・管理できる機能も搭載しています。

    2. freee固定資産

    概要:こちらもクラウド会計のfreeeが提供する固定資産管理機能です。直感的な操作性で、経理初心者でも簡単に扱えるのが魅力です。

    特徴

    会計システムとの連携:freee会計との連携が前提となっており、固定資産の登録情報が会計帳簿に自動で反映されます。

    減価償却の自動計算:取得価額と耐用年数を入力するだけで、減価償却費が自動で計算・計上されます。

    書類の添付機能:領収書や契約書などの証憑をデータとして添付し、固定資産台帳と紐づけて管理できます。

    3. 勘定奉行クラウド 固定資産編

    概要:長年の実績を持つOBCの「奉行シリーズ」のクラウド版です。中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業に対応できる豊富な機能が特徴です。

    特徴

    豊富な管理項目:リース資産やソフトウェアなど、さまざまな種類の固定資産を一元管理できます。

    現物管理ソリューション:別途提供されているアプリやシステムと組み合わせることで、QRコードやバーコードを利用した現物照合や位置情報の管理も可能です。

    他システムとの連携:奉行クラウド会計はもちろん、他社の会計システムやERPとも柔軟に連携できる場合があります。

    まとめ:自社に合ったシステム選びのポイント

    クラウド型の固定資産管理システムは、手作業を減らし、管理業務を大幅に効率化してくれます。

    どのシステムを選ぶかは、以下の点を考慮すると良いでしょう。

    現在利用している会計システム:既にマネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計を利用している場合は、同じシリーズの固定資産管理システムを選ぶと連携がスムーズです。

    企業の規模と業種:大企業や特殊な固定資産が多い場合は、多機能なシステムが適しているかもしれません。

    現物管理の重要性:固定資産の数が多く、現物照合の手間を削減したい場合は、スマホ連携やQRコード管理機能が充実したシステムがおすすめです。

    デジタルツールを上手に活用して、固定資産管理をもっと楽に、正確に行いましょう。


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