カテゴリー: 経理の事務

  • 勘定科目の解説

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    あ行

    預り金

    流動負債である。
    他に支払うとか返還するために、一時的に預かっているお金である。
    例えば、税務署に支払うために従業員から天引きした所得税である預り源泉所得税や、入札時に差し入れておく入札保証金などがある。
    仕訳例は、(借方)現金など(貸方)預り金

    印刷費

    販売費一般管理費(経費)である。
    印刷会社に依頼した印刷物の代金である。
    最近はパソコンやワープロの普及でほとんどの書類は社内で作るようになったが、その費用は「事務費」に計上する。パンフレットなどの印刷代は「宣伝広告費」で計上する。
    仕訳例は、(借方)印刷費(貸方)現金など

    受取手形

    流動資産である。
    会社が受け取った手形は、約束手形も為替手形も同様に受取手形勘定に計上する。
    なお、手形を手元に置いてあっても金にならないので、1週間くらい前までに銀行に取り立て依頼をしなければならない。
    仕訳例は、売掛代金を手形で受け取ったとき。
    (借方)受取手形(貸方)売掛金
    手形期日に入金されたとき。
    (借方)当座預金(貸方)受取手形
    (借方)手数料
    手形を割引(期日前に銀行に持ち込んで現金化する)したとき。
    (借方)当座預金(貸方)受取手形
    (借方)支払利息または支払割引料

    受取利息

    営業外収益である。
    預金をした場合につく金利である。
    預金以外にも、国債や社債の利息もある。
    仕訳例は、(借方)当座預金(貸方)受取利息

    売上高

    販売したらその金額を「売上高」に計上すればよいのだが、厳密にいうと、いつ売上を上げるか、値引きや返品の処理をどうするかなど問題は多い。ある売上を当期のものになるかどうかで、税金まで違ってくる。したがって、その時その時でやり方を変えては、経理処理に信頼性がなくなる。会社の実状を点検して最も適した基準を選択して、継続して適用しなければならない。基準には、出荷した日を基準とする「出荷基準」・相手に渡した日を基準とする「引渡基準」・相手が受け入れを承認した日を基準とする「検収基準」などがある。
    仕訳例は、現金売上のとき。
    (借方)現金(貸方)売上高
    掛けで販売したとき。
    (借方)売掛金(貸方)売上高

    売掛金

    流動資産である。
    通常の取り引きで商品や製品を販売したとき、相手から支払を受ける権利のある代金のことを売掛金という。
    売掛金をいつ支払ってもらえるかは、事業にとって一番大事なことである。約束が明確でないと、品物を渡しながら代金が入らないという事態になる。取引を開始する前に必ず代金の支払条件を取り決めなければならない。
    仕訳例は、販売のとき。
    (借方)売掛金(貸方)売上高
    回収したとき。
    (借方)現金または受取手形など(貸方)売掛金

    運賃

    販売費一般管理費(経費)である。
    商品の運搬・配達のための費用である。
    仕入に伴う運賃は「引取運賃」といって売上原価に計上する。郵便小包で送る郵送料は、たとえ切手を買って貼っても「通信費」ではなく「運賃」である。自家用車で配達している場合の費用を「運賃」とするか、「車両費」とするかは会社の判断であるが、一貫して適用しなければならない。
    仕訳例は、(借方)運賃(貸方)現金など

    営業外雑収入

    営業外収益である。
    金額的に重要なものは、独立の名称の科目とするが、小額のものはまとめて「営業外雑収入」として計上する。これは、その他のものという意味があるので、雑費などと同様に多くなる事には問題がある。
    仕訳例は、(借方)現金など(貸方)営業外雑収入

    か行

    買掛金

    流動負債である。
    通常の営業活動で発生した、取引相手に払わなければいけない債務を計上する。いつ買掛金に計上するかの基準を決めて、継続して適用しなければならない。基準には、商品が入った時点で計上する「納入基準」・商品を確認した時点で計上する「検収基準」・支払う時点で計上する「支払基準」などがあるが、会計的に妥当とされるのは「検収基準である」。正しく支払うことが商売の信用を高めるので、取引条件を事前に取り決め、約束をしっかり守ることが大事である。
    仕訳例は、商品を仕入れたとき。
    (借方)仕入高(貸方)買掛金
    支払いをしたとき。
    (借方)買掛金(貸方)当座預金など
    仕入先に対し、売掛金を持っていて相殺するとき。
    (借方)買掛金(貸方)売掛金

    会議費

    販売費一般管理費(経費)である。
    社内の会議や取引先との打ち合わせにかかった費用を計上する。
    問題になるのは、食事などを提供した場合である。仕事に関連して、会議としての実体があり、食事をだす必然性があり、その費用が常識程度のものであるときは「会議費」として処理できるが、「接待交際費」と判断すべきときもあるだろう。会議とは名ばかりの懇親会であったり、ごちそうが出るようでは「会議費」では処理できない。税務的には、本当の会議であったのか説明が必要になることもあるので、会議の配布資料や会議の模様の写真などを整理・保存しておくのがよい。
    仕訳例は、(借方)会議費(貸方)現金など

    会費

    販売費一般管理費(経費)である。
    外部の会に所属するときに支払う会費を計上する。
    第一の問題は、仕事上必要なものであるのか、本来は個人的に入会すべき会ではないのかということがある。ボランティア団体など、本来社長が個人的に負担するべき費用を、会社が負担していることがある。これは「役員賞与」に該当する場合がある。第二の問題は、会の方で剰余金が発生していないかどうかである。もしその会が剰余金を持っていれば、支払った会費は全額を経費とすることができない。
    仕訳例は、(借方)会費(貸方)現金など

    貸倒引当金

    流動資産の控除分として、流動資産の部にマイナスで計上する。
    商売には貸し倒れの危険が付きまとっている。それに備えて貸し倒れ推定額を計上するものである。
    貸倒引当金は、推定額を計上することができれば一番良いが、税法上の制約があり、税法の限度額で計上するのが普通である。
    仕訳例は、(借方)貸倒引当金繰入損(貸方)貸倒引当金
    なお、貸倒引当金繰入損は営業外費用である。

    仮払金

    流動資産である。
    詳細な使用区分や金額が未定なまま出金した金額を計上する。
    出張や物品の現金購入などの際に概算払いすることがある。性質上、精算の時期が恣意的になりがちであるので、処理手続きを事前に定めておきできるだけ早く精算されるようにしなければならない。
    仕訳例は、概算払いをしたときに。
    (借方)仮払金(貸方)現金
    精算をしたときに
    (借方)確定した科目(貸方)仮払金

    給料手当

    販売費一般管理費(経費)である。
    給料や賞与を計上する科目である。
    細分化して、役員に払う「報酬」、正社員の「給料」、正社員の賞与である「手当」、アルバイトやパートの「雑給」などに区分してもよい。
    仕訳例は、(借方)給料手当(貸方)現金など

    減価償却費

    販売費一般管理費(経費)である。
    時の経過で、物の値打ちが減っていくが、その金額を推定して計上する科目である。
    減価償却は、計上金額について税務上の制約がある。固定資産の中でも土地や書画骨董・貴金属でできている道具などように価値が減じないと考えられているものは減価償却できない。
    仕訳例は、(借方)減価償却費(貸方)減価償却引当金
    直接固定資産から控除する場合は、(借方)減価償却費(貸方)建物など

    現金

    流動資産である。
    会社が保有するキャッシュのほかに、受け取った小切手も「現金」として取り扱う。
    現金は会社の活動において基本的な要素である。会社の活動は基本的には現金の増加を目的とするものといっても良い。現金は勘定科目の区分としては悩む余地のないものであるが、問題点は間違いや不正の防止の仕組みを、他の科目以上に重視する必要があることである。
    仕訳例は、入金があったとき。
    (借方)現金(貸方)売上高など
    出金したとき。
    (借方)仕入高など(貸方)現金

    広告宣伝費

    販売費一般管理費(経費)である。
    会社の商品やイメージを、広く一般に宣伝するための費用である。
    新聞やテレビへのCM料金、社名入りカレンダー、会社案内のパンフレット、商品紹介のカタログ、試供品、展示会の費用、求人の広告などの費用がある。同じ宣伝でも特定の人に対するもの、例えば取引先を招いて視察旅行をするケースは、広く一般にするものではないので「接待交際費」になる。招待旅行でも、広く一般に宣伝して抽選で招待した場合は「広告宣伝費」である。看板は、耐用年数や金額などからすると、「固定資産」に計上すべきものが多い。
    仕訳例は、(借方)広告宣伝費(貸方)現金など

    さ行

    雑費

    販売費一般管理費(経費)である。
    経費のうち、他の科目に適当なものがない場合、金額が小さいときに、新しく科目を作らずに「雑費」に計上する。
    経費のその他と考えてよいが、その他が大きくなると、財務諸表が適切に内容を表さないことになるので好ましくない。
    仕訳例は、(借方)雑費(貸方)現金など

    仕入高

    販売用の商品の購入金額を計上する科目である。
    棚卸資産(商品)には、仕入れのためにかかった運賃や手数料などの直接諸掛を含めなければならないので、このような費用は経費ではなく、仕入高に計上する。
    仕訳例は、(借方)仕入高(貸方)現金や買掛金など

    支払手数料

    販売費一般管理費(経費)である。
    銀行へ送金依頼をしたときの手数料などである。
    その他に税理士の報酬など外部の専門家に支払う費用も、「支払手数料」として計上する。また、外部の人に報酬を支払う場合は、源泉所得税を控除して、納付しなければならない。
    仕訳例は、(借方)手数料(貸方)現金など
    報酬のとき。
    (借方)手数料(貸方)現金など
    (借方)預り金

    支払手形

    流動負債である。
    債務のために振り出した手形を計上する。
    手形を振り出すということは、何日か後の約束の日に現金で支払いますという、約束の証文を出すことである。この約束を守れなかったときを不渡りというが、相手先に対する信用を失墜するだけでなく、銀行取引停止処分を受け、倒産することにもなる。また、支払期日にいくら他の銀行に残高があっても、約束の銀行口座に残高を置いていないと不渡りになってしまう。事務上の間違いがないように細心の注意が必要である。
    仕訳例は、手形を発行したとき。
    (借方)買掛金など(貸方)支払手形
    支払手形の期日に。
    (借方)支払手形(貸方)当座預金など

    支払保険料

    販売費一般管理費(経費)である。
    会社が支払う保険料を計上する科目である。
    建物の火災保険料、商品保険、契約履行保険などがある。会社が役員などにかける生命保険などは、内容によって経費にならないものがあるので注意が必要である。加入時に保険会社とよく打ち合わせをして処理する。
    仕訳例は、(借方)支払保険料(貸方)当座預金など

    支払利息

    営業外費用である。
    借入金に対する利息を計上する科目である。
    普通の借入金の場合には「支払利息」というが、手形を割り引くときに支払う利息を「割引料」といって区分して計上することもある。
    仕訳例は、(借方)支払利息(貸方)当座預金など

    資本金

    株主が出資した金額である。
    株式会社は、株主の出資した資本金を基盤にして運営する。株主は出資した株数に応じて会社の所有権を持ち、株主総会を通じて経営に参加する権限を持つ。基本的には株券は額面で発行されるが、時価発行も行われる。時価発行が行われたときには資本金の増加だけでなく資本準備金(株式発行差金)が発生する。
    仕訳例は、通常は別段預金に払込みを受けたときに。
    (借方)別段預金(貸方)新株式払込金
    登記が完了して、資本金に組み入れるときに。
    (借方)新株式払込金(貸方)資本金
    (借方)当座預金(貸方)別段預金

    事務費

    販売費一般管理費(経費)である。
    会社の業務で使う、ボールペンなどの文房具などの費用を計上する。
    最近はパソコンの普及でパソコン関連品の消費量が増えてきた。パソコンやコピーのリース代金も「事務費」で計上する。
    仕訳例は、(借方)事務費(貸方)現金など

    車両関連費

    販売費一般管理費(経費)である。
    業務用に使用する車両の関連費用を計上する。
    車両のリース料や、ガソリン代、修理代などである。交通事故を起こしたときの賠償金なども、通常の額であれば「車両関連費」で処理する。高速道路の料金や駐車料金は「旅費交通費」である。
    仕訳例は、(借方)車両関連費(貸方)現金など

    修繕費

    販売費一般管理費(経費)である。
    会社で使用している備品などを修理した費用を計上する科目である。
    高額であったり、耐用年数を伸ばすような修理は、税法上は経費計上が認められず、資産に計上する。
    仕訳例は、(借方)修繕費(貸方)現金など

    関連記事:全部を修繕費として経費にできるわけではない、資本的支出についての解説

    商品

    流動資産である。
    販売のための仕入れ商品である。
    通常は商品といえば、野菜や事務用品のような小さなものを想像するが、不動産会社の所有する販売用の住宅や、自動車販売会社のトラックなど大きいものも商品である。商品の管理では、保管しているときに価値が減耗してしまわないように注意しなければならない。また、物としての価値が変化していなくても、旧式になってしまっては販売価値はない。商品が陳腐化したり劣化しないような注意と、盗難への配慮が必要である。
    仕訳例は、棚卸しを行ったときに。
    (借方)期首棚卸商品(貸方)商品
    (借方)商品(貸方)期末棚卸商品

    消耗品費

    販売費一般管理費(経費)である。
    仕事で使うもので、短期間に使い切ってしまう物や、小額の物品をいう。
    石鹸、くずかご、湯飲み茶碗などである。事務用に使われるものを区別して「事務費」にしている場合は、コピー紙、フロッピーディスクなどは「事務費」になる。
    仕訳例は、(借方)消耗品費(貸方)現金など

    賞与引当金

    流動負債である。
    日本の会社では、夏と冬にボーナスを出す慣習がある。本来は成功報酬的な性格のものであるが、定例化しているので、次期に支払う賞与の見積もり金額を前もって引き当てることが、税法上認められている。
    仕訳例は、(借方)賞与引当金繰入(貸方)賞与引当金

    水道光熱費

    販売費一般管理費(経費)である。
    電気・ガス・水道などの料金を計上する。
    いくら使っているかその時はわからないことが多いし、預金口座からの自動引き落としが増えているので、目に触れにくい経費である。常に節減の努力をしなければならない経費である。
    仕訳例は、(借方)水道光熱費(貸方)現金など

    租税公課

    販売費一般管理費(経費)である。
    印紙代、不動産取得税、事業税など。
    印紙は、書類によりあるいは金額によって、貼る額が異なるので注意しなければならない。間違えて貼ってしまったときには、税務署に手続きすれば返してくれる。
    仕訳例は、(借方)租税公課(貸方)現金など

    接待交際費

    販売費一般管理費(経費)である。
    取引先と共にした飲食代や、贈答品の代金を「接待交際費」に計上する。税務的には接待交際費は経費として損金なる部分が少ないので、実際の支出のほかに、税金を支出すること考えなければならない。まして、接待を武器に利益を誘導しようとするのは法律違反である。あくまでも、儀礼的な常識の範囲の付き合いでなければならない。
    仕訳例は、(借方)接待交際費(貸方)現金

    た行

    建物

    有形固定資産である。
    自社所有の建物を計上する。他人に加している建物も自社で所有していれば有形固定資産である。付属設備との区分や、関連して支払った費用のどの範囲を取得価格とするかなど、税法を基準として会社の処理方法を決めておくべきだ。
    仕訳例は、(借方)建物(貸方)当座預金など

    短期借入金

    流動負債である。
    外部からの借入金のうち、一年以内に返済するものをいう。
    一年以内に返済する長期借入金も、この科目に含める。
    仕訳例は、借入れしたとき、(借方)当座預金など(貸方)短期借入金
    返済のとき、(借方)短期借入金(貸方)当座預金など

    長期借入金

    固定負債である。
    外部からの借入金のうち、一年以上の長期にわたって借入れるものをいう。
    仕訳例は、借入れしたとき、(借方)当座預金など(貸方)長期借入金
    返済のとき、(借方)長期借入金(貸方)当座預金など

    長期前払費用

    投資等に区分される。
    前払費用のうち、実際の費用発生が一年以上後に生じるものをいう。
    家賃の前払いなどがある。
    仕訳例は、支払ったとき、(借方)長期前払費用(貸方)当座預金など長期借入金
    一年ごとに、(借方)家賃など(貸方)長期前払費用

    賃借料

    販売費一般管理費(経費)である。
    建物を借りたり、倉庫を借りるときの代金を計上する科目である。
    同じ借りるのでも、パソコンなどのリース代金は「事務費」に計上し、電話機などは「通信費」に計上するべきである。
    仕訳例は、(借方)賃借料(貸方)現金など

    通信費

    販売費一般管理費(経費)である。
    電話代金、郵便切手などが通信費である。
    昨今はコンピュータによるデータ通信が一般に行われるようになったため、データ転送やインターネット利用のための電話回線利用が増えてきた。これは会社の考え方によっては「事務費」に計上する場合もある。
    仕訳例は、(借方)通信費(貸方)現金など

    当座預金

    流動資産である。
    現金に換わって支払手段として用いられる証券である。銀行が交付する小切手用紙に金額を記入することで現金と同様に通用する。個人的な消費に小切手を使うことはまれであるが、会社の支払いが即時払いで行われるときには小切手を使用するのが普通である。振り出された小切手はすぐに銀行に持ち込まれ換金要請されるので、振り出す際には当座預金に残高が必要である。残高が不足の場合は手形の不渡りと同様の処分を受ける。
    仕訳例は、発行時に(借方)運賃など(貸方)当座預金

    図書教育費

    販売費一般管理費(経費)である。
    仕事に利用する単行本や雑誌、社員研修の費用を処理する科目である。
    社員研修の費用は、計画的に実施すれば補助金が入る制度がある。
    仕訳例は、(借方)図書教育費(貸方)現金など

    は行

    備品

    流動資産である。
    会社に使用する道具類の中で、金額が小額であれば、「消耗品」として経費処理できるが、大型のものや金額が大きい物は、固定資産として「備品」に計上する。
    仕訳例は、(借方)備品(貸方)現金など

    福利厚生費

    販売費一般管理費(経費)である。
    従業員のためにする、健康診断などの費用である。会社の創立記念日の記念品や永年勤続の費用は税法上の制約の範囲で経費として認められる。社員旅行の費用も同様である。経費に認められないと給与扱いで、社員から所得税を徴収しなければならなくなるので、事前に注意が必要だ。例えば数千円の永年勤続記念品も、物で支給するのは良いが商品券で支給すると従業員が課税される。
    仕訳例は、(借方)福利厚生費(貸方)当座預金など

    普通預金

    流動資産である。
    銀行の普通預金口座に預け入れている金額である。
    財布代わりに使われる口座である。当座預金と違って他人への支払手段に使うことはできないが、わずかではあるが利息が付くので、普通預金に置いておき、必要なときに必要な分だけ当座預金に移すやり方が取られる。
    仕訳例は、預け入れのとき、(借方)普通預金(貸方)現金など
    当座への移し替えのとき、(借方)当座預金(貸方)普通預金

    別途積立金

    資本金勘定の剰余金の一つである。
    特別の目的を定めない留保金として積み立てるものである。
    特に目的を定めないとはいえ、決算の利益処分に使いたくても株主総会の承認が必要であるし、名称以上に不自由な積立金である。実務的には次期繰越利益においておく方が便利かもしれない。
    仕訳例は、(借方)未処分利益(貸方)別途積立金

    法定福利費

    販売費一般管理費(経費)である。
    法律によって支出することが決まっている従業員のための費用である。
    健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料などがある。
    仕訳例は、(借方)法定福利費(貸方)当座預金など

    ま行

    未収金

    流動資産である。
    相手に物品を売り渡したりサービスを提供した代金をもらっていないときに計上する。
    通常の営業上の取引での未収金は、売掛金で処理するので、未収金は営業取引以外のものに関するものである。また、類似の科目に「未収収益」があるが、未収収益は受け取ったときに収益になる、例えば受取利息のようなものを計上する。不要資産の売却代は「未収金」である。
    仕訳例は、発生したときに、(借方)未収金(貸方)備品など
    入金したときに、(借方)現金など(貸方)未収金

    未払金

    流動負債である。
    物やサービスを受けて、まだ支払っていないものをいう。
    通常の営業活動に関連するものは、買掛金に計上する。また、類似の科目であるが、「未払費用」は未払利息や未払家賃などの継続的な役務提供を計上する。役務でなく形のある仕訳例は、発生したときに、(借方)消耗品費など(貸方)未払金
    支払ったときに、(借方)未払金(貸方)現金

    や行

    有価証券

    流動資産である。
    余裕資金の運用のため、一時的に買い入れた有価証券をいう。
    一時的というのは一年以内を原則とする。したがって、いつでも売り買いできる市場性のある有価証券でなければならない。長期的な保有を目的とする有価証券、あるいは市場性の低い有価証券は、「投資有価証券」に計上する。
    仕訳例は、購入のときに、(借方)有価証券(貸方)当座預金など
    売却のときに、
    (借方)当座預金など(貸方)有価証券
              (貸方)有価証券売却益

    ら行

    旅費

    販売費一般管理費(経費)である。
    仕事のために移動するための費用である。
    電車・タクシーなどの交通機関の料金や、高速道路料金ホテル代などの宿泊料金、日当、赴任や帰省のための費用、駐車料金などをいう。
    仕事のための費用であればいくらでもというものでもない。旅費規程を作って運用しないと、経費処理が認められないことがある。例えば、日当などをその都度金額を変えたり、赴任費用を払ったり払わなかったりでは経費処理が否認されて、当事者の給料として所得税が課税されることもあるだろう。また、いくら規程を作っても常識を超えた金額では、認められないと思われるので、資料を収集して適正な規程を作らなければならない。さらに、移動のために使ったのであれば全て旅費になるのでなく、接待のために利用したタクシー代などは旅費ではなく「接待交際費」になる。創立記念日などに招待したときの交通費、ゴルフなどに招待したときの交通費も「接待交際費」である。
    仕訳例は、(借方)旅費(貸方)現金など


    会社事務入門事務処理のいろいろと事務処理の効率化>このページ

  • ミスなく正確に!小口現金管理の基本と管理方法

    小口現金とは、日常的に発生する経費の支払いに備えて手元におく少額の現金のことです。

    「小口現金の残高が合わない…」「月末の精算作業に時間がかかる…」会社の日常業務で発生する少額の支払いに便利な小口現金。しかし、その管理は意外と手間がかかり、ミスも起こりがちです。

    この記事では、小口現金管理の基本から、ミスを防ぐための具体的な管理方法、さらには最新のキャッシュレス化による効率的な運用方法まで、小口現金管理に関するすべてをわかりやすく解説します。

    なぜ小口現金管理は難しいのか?その原因とは

    小口現金管理は、なぜミスが起こりやすいのでしょうか。主な原因は以下の3つです。

    取引の頻度が多い: 少額でも日々多くの取引が発生するため、記帳漏れや計算ミスが起きやすい。

    管理がおろそかになりやすい:本来、小口現金を扱えるのは小口現金担当者だけのはずですが、忙しいとか不便だとか、いろいろな理由で担当者以外も取り扱うことになりがちです。誰がいつ幾ら取り扱ったのか分からなくなり、残高が合わなくなります。

    紙の管理が煩雑: 支払いごとに領収書を保管する必要があり、紛失や管理ミスが発生しやすい。

    これらの課題を解決するためには、「正しい管理方法」「日々の習慣」を徹底することが不可欠です。

    ミスなく正確に管理する3つの基本ルール

    まずは、手書きやExcelで管理している場合に、ミスをなくすための基本ルールを3つご紹介します。

    ルール1:必ず帳簿をつけよう

    小口現金の動きを記録する専用の帳簿が小口現金出納帳です。いつ、誰が、何のために、いくら使ったかを正確に記録することで、現金の流れを「見える化」できます。支払いが発生したらすぐに記帳するのがポイントです。

    ルール2:領収書は必ずもらい、なくさないように管理しよう

    支払いの事実を証明する領収書は管理の要です。受け取った領収書は、スクラップブックなどに貼り付け、日付や内容をメモして保管しましょう。

    ルール3:定期的に「実地棚卸」を行おう

    実際に手元にある現金を数え、帳簿の残高と一致しているかを確認する作業が実地棚卸です。毎日、定期的に行いましょう。もし残高が合わなかった場合は、その日のうちに原因を特定し、修正することが大切です。

    小口現金の保管と補充のルール

    小口現金を適切に運用するためには、保管方法と補充ルールを明確に定めることが重要です。

    保管のルール

    施錠できる場所に保管する: 小口現金は必ず鍵のかかる金庫や引き出しに保管しましょう。

    アクセス権を限定する: 担当者以外の従業員が自由に現金にアクセスできないように、アクセス権を限定します。

    残高を明確にする: 常に残高を把握できるように、金種別に現金の枚数を記録しておく「金種表」などを活用するのも有効です。

    補充のルール

    小口現金の補充方法には、「定額資金前渡制度(インプレスト・システム)」と「随時補給制度」の2種類があります。

    定額資金前渡制度:

    あらかじめ決めた一定額を金庫に補充しておく方法です。

    例えば、「月末に5万円を補充する」とルールを決め、使った分だけを月末に補充します。

    随時補給制度:

    現金が少なくなったタイミングで、必要な分だけを随時補充する方法です。

    どちらの制度を採用するかは、会社の規模や利用頻度に合わせて決めましょう。

    これからの管理方法:クラウドサービスとキャッシュレス化

    手動での管理は、どうしてもヒューマンエラーが起こりがちです。そこで、近年はクラウドサービスやキャッシュレス決済を活用して、小口現金管理を効率化する企業が増えています。

    クラウドサービスで行う小口現金管理

    多くのクラウド会計ソフト経費精算システムには、小口現金管理を効率化する機能が備わっています。

    記帳・集計の自動化: 領収書をスマホで撮影するだけで、自動でデータ化・記帳されます。

    リアルタイムでの情報共有: 現場の担当者が入力した情報が、リアルタイムで経理部門に共有されます。

    ヒューマンエラーの削減: 計算ミスや記帳漏れが起こりにくくなります。

    小口現金を「法人カード」に置き換える

    小口現金の支払いを法人プリペイドカード法人クレジットカードに置き換える方法があります。

    現金のやり取りが不要に: 現金の補充や残高確認といった作業がなくなります。

    経費精算が楽に: カードの利用履歴が自動でシステムに連携され、手入力の手間が大幅に削減されます。

    内部統制の強化: 誰が、いつ、何に、いくら使ったかがデータとして記録され、経費の透明性が高まります。

    導入時の注意点

    クラウドサービスや法人カードの導入時は、既存の会計システムとの連携や、従業員への周知と教育をしっかりと行うことが重要です。

    規程とマニュアルを整備する

    経理規程

    第◯条 経理部長は、日々の現金支払いにあてるために小口現金を置くことができる。
    2 小口現金の出納責任者、小口現金の限度額、その他小口現金について必要な事項は経理部長が定める。
    3 小口現金の出納責任者は小口現金の受払についての帳簿を調整し、小口現金の残高を毎日実地に調査して帳簿残高と照合しなければならない。

    マニュアル

    事務所にキャッシュを置いてエクセル等で管理する場合のマニュアルを作ってみました。

    小口現金マニュアルのサンプル

    小口現金を廃止して法人カードに置き換えた場合のマニュアルです。

    法人カード利用管理マニュアル(サンプル)

    まとめ:あなたの会社に合った管理方法を見つけよう

    小口現金管理は、会社の規模や運用方法によって最適な形が異なります。

    小規模な会社手軽に始めたい場合は、「3つの基本ルール」を徹底しましょう。

    管理工数を大幅に削減したい場合は、「クラウドサービス」の導入を検討してみましょう。

    現金のやり取り自体をなくしたい場合は、「法人カード」への切り替えを視野に入れてみましょう。

    この記事でご紹介した方法を参考に、あなたの会社に合った管理方法を見つけて、より正確で効率的な小口現金管理を実現してください!


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  • 棚卸資産の評価方法

    種類

    棚卸によって在庫の数を数えたら、その資産の価格を計算しなければなりません。その方法には「低価法」と「原価法」があり、原価法はさらに複数の評価方法が税務上認められていますが代表的ものは ①先入先出法 ②移動平均法 ③総平均法 ④最終仕入原価法 です。

    特定の棚卸評価方法を適用したいときは、事前に管轄の税務署へ届け出なければなりません。普通法人の場合は、設立第1期の確定申告書の提出期限まで(もっと早い届け出を要する場合もあります)に「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出します。

    この届出をしない場合には、自動的に「最終仕入原価法」によることになります。途中変更も可能ですが、初回適用から3年以上経過していること、合理的変更であることなどが求められるので簡単ではありません。

    低価法

    低価法とは、「原価法のいずれか1つの方法で評価した価額」と期末時点の「時価」のうち、いずれか低い方の価額で棚卸資産を評価する方法です。

    低価法は、商品の価格変動がタイムリーに反映されます。上場企業では低価法によることになっています。

    原価法

    代表的な原価法を説明します。

    先入先出法

    通常は、先に仕入れた商品から先に販売(出庫)します。これを「先入先出法」といいます。「さきいれさきだしほう」と読みます。この場合、古いものから出ていくので、在庫として残るのは最も新しい商品です。

    実務上の扱いとも一致しています。同じ商品であれば古いものから販売したいのが自然です。特に有効期限や消費期限のある薬品や食品などは、最新のものから先に出庫していけば、期限切れが大量に発生してしまいます。

    移動平均法

    移動平均法とは、棚卸資産を仕入れる都度、これまでの平均価額と合わせて計算する方法です。計算が面倒ですが、業務システムを使えば難なく利用できます。

    総平均法

    総平均法とは、「期首棚卸資産の取得価額+期中に取得した棚卸資産の取得価額の総額」を総数量で割った単価によって棚卸資産を評価する方法です。簡便法の一つですが、期末にならないと単価が確定しないというデメリットがあります。

    最終仕入原価法

    最終仕入原価法とは、期末に最も近い仕入時の金額を単価として評価する方法です。計算が簡単なので中小企業ではよく用いられる方法です。

    以上ですが、現在は用いられなくなった後入先出法についても説明しておきます。

    後入先出法

    後入先出法は、棚卸資産の払出単価の計算方法のひとつで「あといれさきだしほう」と読みます。LIFO と表記することもあります。Last In First Out です。

    後から仕入れた商品が優先的に出庫され、先に仕入れた商品は在庫として残るということにして払い出し単価が決定されます。

    「棚卸資産の評価に関する会計基準」の改正により、「後入先出法」は平成22年4月1日以降に開始する事業年度から廃止されました。

    後入先出法には「市場価格に左右されない」というメリットがありますが、そのことは「市場価格を反映していない」というデメリットがあると認識されるようになったからです。


    税法の評価方法を適切に選択するためには、税務専門家や公認会計士に相談しましょう。

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  • 棚卸しの手順

    棚卸とは

    棚卸(たなおろし)とは、簡単に言えば、決算に際して商品などの在庫数と状態を確認し記録する作業です。

    棚卸の目的は、①売上原価を把握するため ②在庫品の状態を確認するため ③紛失や記帳漏れを見つけるためなどです。

    売上原価を把握する

    決算では売上原価を求めなければなりません。売上原価は次の式で求めます。

    売上原価=期首棚卸高−当期仕入高−期末棚卸高

    期首と期末の棚卸高が分からなければ売上原価を求めることができません。そのため、決算においては棚卸をやらなければなりません。

    在庫品の状態を確認する

    商品の価値は時間とともに劣化するのが一般的です。定められた有効期限などが過ぎれば商品価値はゼロになります。品質が変わらなくても包装が破れて商品価値が失われることもあります。帳簿上に存在しても、実際には価値が減少してしまっている商品を見つけ出すことも棚卸の目的の一つです。

    紛失や記帳漏れを見つける

    帳簿上はあることになっていても実際には商品が見当たらないこともあります。逆に、帳簿上にない商品が倉庫に存在していることもあります。こうしたことは、ほとんどの場合は事務的なミスによって生じます。

    ミス以外では顧客や従業員による窃盗などの不正も考えられます。数が合わない場合に安易に帳尻合わせをしてはいけません。可能な限り食い違いが生じた時期や原因を追求して再発防止に取り組みましょう

    棚卸の対象

    棚卸とは会社の棚卸資産を対象にして行います。
    棚卸資産とは主に①商品・製品 ②仕掛品 ③原材料 ④貯蔵中の消耗品です。

    商品・製品
    商品や製品とは、販売することを目的として保有している物品のことです。

    仕掛品
    仕掛品とは、販売することを目的として製造中の未完成の物品です。

    原材料
    原材料とは、製品を生産するための材料などです。

    消耗品
    消耗品とは、販売および一般管理活動において消費される物品です。梱包材料、事務用品などが該当します。一般的には購入した時点で経費処理しますが、決算に際しては、使わずに残っている消耗品は「貯蔵品」として棚卸資産に計上しなければなりません。

    棚卸の時期

    棚卸は決算に伴う作業なので、一般的には年に1回の決算月に行います。半期ごとの決算を行っている会社であれば年2回、四半期決算を行っている会社であれば年4回、月次決算を行っている会社であれば年12回になります。

    帳簿棚卸と実地棚卸

    棚卸には、帳簿棚卸と実地棚卸があります。帳簿棚卸とは、帳簿で在庫数を把握する棚卸です。実地棚卸は、実際に商品を目で見て確認しながら行う棚卸です。決算に伴う棚卸は実地棚卸が必要です。

    例えば月次決算のように法的なものでなく経営上の都合で行う決算であれば、帳簿棚卸だけで行う場合もあります。

    棚卸の手順

    準備

    棚卸の実施日時を決めて関係者に通知します。実地棚卸は商品の動きを止めた方が効率的なので休日や夜間に行なっている会社が多いようです。

    棚卸に必要な用品を準備します。一般的には、商品の数や状態を書き込む用紙(棚卸原票)やバーコードリーダーなどを用意します。

    棚卸原票はできれば複写式の個票が望ましい。

    担当者と担当エリアを指定します。エリアごとに2名1組とします。その商品を熟知している方がスムーズに作業ができるので、日常の担当者に棚卸も担当させがちですが、内部牽制が機能しないので避けましょう。

    開始

    検査

    1人が商品名、数量、商品状態などを目視でチェックして読み上げます。もう1人が聞き取って棚卸原票にボールペンで記載またはデジタルツールに入力をします。

    商品に棚卸原票の一票を貼付します。

    担当エリアの全ての商品の棚卸が終わったら、数え漏れがないか点検して棚卸原票の一票をまとめて、集計担当者に回付します。このとき、商品に添付した棚卸原票の一票は最終的に棚卸作業が終了するまでそのままにしておきます。

    集計

    回収された棚卸原票に記載されている数量を集計表(予め帳簿に基づいて商品名や数量が記載されている)に転記します。

    実地棚卸数と帳簿残高とに差異がある場合には、もう一度現品を調査します。再調査は最初に棚卸原票を提出した担当者ではなく、別の2人1組にやってもらいます。

    棚卸に間違いがない場合は、過去の売上記録や商品受払記録により差異の原因を追求します。

    結果に基づいて過不足数を商品受払台帳に記載、または入力して帳簿を修正します。摘要は「商品過不足」と記載します。

    修正承認は、通常は棚卸責任者の判断で行いますが、厳密な管理を要する商品等の場合は、より上位の管理者の承認を要する仕組みにしましょう。有害物質の場合には保健所等への届け出が必要な場合もあります。

    評価損の計上

    棚卸において、商品価値が低下した商品や無価値になった商品が見つかることがあります。これらの商品を従来の価格にしておくことは実態を反映していないことになります。

    商品価値が低下している場合は適正な価格に修正します。まったく商品価値が無くなった商品については在庫から除外します。

    関連記事:在庫商品(棚卸資産)を処分するときの注意点

    これらの処分はその妥当性が証明できなければ、後日の税務調査で否認されて修正申告や重加算税の対象になることがあります。一点ごとに、商品の写真付きで評価減や廃棄に至った検討の経緯を残しておきましょう。また、廃棄の事実も証明できなければなりません。廃棄業者に依頼する場合は商品明細付きの処分引受書類を残しましょう。

    監査

    内部監査担当者が、棚卸実施場所を偏りないよう巡回し、実施状況を検査、指導することがのぞましい。内部監査担当者は、一部の商品についてランダムにテストカウントを実施することが望ましい。

    以上が一般的な棚卸の手順です。

    保存期間

    棚卸表は7年間の保存が義務付けられています。棚卸表の正確性を担保するために棚卸原票も保管しましょう。


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  • 預り金 勘定科目

    預り金とは

    預り金勘定は、何かの目的でお金を預かる時に使用する勘定科目です。将来的には現金等(資産)が減少するものであるため負債に分類されます。また、長く預かる性質のものではないので、1年以内に支払いが終わる流動負債に分類されます。

    給与計算のときに使われることの多い勘定科目です。

    社内旅行積立金などのように、1年を超えて預かることが予定されている場合は固定負債に分類します。

    預り金の仕訳

    【例1】給与から源泉所得税と社会保険料を控除して、手取り額を普通預金から振り込んだ。

    借方(左側)給与 貸方(右側)普通預金と預り金

    【例2】従業員から預かった源泉所得税を現金で納付した。

    借方(左側)預り金 貸方(右側)現金

    【例3】社会保険料が普通預金から引き落とされた。(うち、半分は従業員負担分)

    借方(左側)預り金と法定福利費 貸方(右側)普通預金

    注意点

    預り金勘定がマイナスになることもある

    従業員から預かった雇用保険料は労働保険料として納付します。労働保険料の支払いは通常は年1回です。従業員からの雇用保険料は毎月差し引くので、労働保険料の納付前には預り金勘定がマイナスになる場合があります。

    年末調整で税金の過不足を精算したときに、預かっている所得税より本人に還付すべき金額が多くなった場合にも預り金勘定がマイナスとなります。この場合、本来は税務署に手続きすれば戻ってくるお金なので未収入金という勘定科目に振り替えます。ただし、実務的には税務署から返金してもらうのではなく、翌年1月以降に税務署に納付する源泉所得税額から差し引いて減額納付するのが一般的です。

    預り金勘定のマイナスは事務ミスによる場合もあります。給与天引きを忘れたり、勘定科目違いなどの場合です。プラスにしてもマイナスにしても差異の内訳が把握できていれば良いのですが、漫然と処理していると事務ミスが紛れ込んでいることがあるので注意しましょう。

    預り金の納付

    預り金の納付時期を忘れないようにしましょう。納付が遅れると延滞金がかかることがあります。納付日を忘れないようにスケジュール管理し(なるべく自動引落などを利用し)、支払い後には預り金勘定で不整合がないか確認しましょう。

    源泉所得税や住民税は、原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。 ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合は、源泉徴収した所得税等を、半年分まとめて納めることができる特例があります。

    また、健康保険や厚生年金保険の保険料については、毎月の給料及び賞与から従業員負担分の保険料を差し引いて、事業主負担分の保険料と併せて、翌月の末日までに納付しなければなりません。

    納付状況をすばやく把握するために「社会保険料預り金」、「預り源泉所得税」、「預り住民税」などと預り金勘定に補助科目を設定することもあります。

    類似の勘定科目

    類似科目に立替金や前受金などがあります。

    立替金とは、従業員や取引先などが負担すべきお金を会社が一時的に立て替えて支払った時に使う勘定科目です。預り金は従業員等のお金ですが、立替金は会社のお金です。

    前受金とは、得意先への商品やサービスの提供が終わっていない段階でお金を先に受け取ったときに使う勘定科目です。前受金は先々売上になります。

    不動産の入居者から預かる敷金や保証金は、預り保証金という勘定科目で処理します。


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  • 買掛金を適切に管理する方法

    買掛金とは

    買掛金とは、商品やサービスを掛取引で仕入れをしたときに使う勘定科目です。

    掛取引とは、売り買いのときに、その場で現金等で支払いを済ませるのではなく、一定期間内の取引を後日まとめて支払う取引です。

    掛取引のうち、仕入を行った側が仕入れの金額を計上するのが買掛金という勘定科目です。

    買掛金が発生する取引

    ① 商品を販売するために卸売会社から商品を掛けで仕入れる
    ② 商品を製造するために卸売会社から原材料を掛けで仕入れる

    掛けですからお金は動いていませんが、商品は動いています。商品が自分のところに動いてきたということは、取引相手に支払わなければならない金額が発生したということになります。その金額が買掛金です。

    家庭でつける家計簿などではお金を払っていなければ記載しないことが多いと思いますが、事業をやっている場合は、お金を支払ったときだけでなく、買掛金が発生したときも帳簿に記載しなければなりません。

    未払金、未払費用との違い

    買掛金とよく似た勘定科目に「未払金」「未払費用」があります。

    未払金とは、消耗品の購入費や固定資産の購入代金を、あとから支払う約束をしたものです。買掛金は仕入の購入代金であるところが違います。

    未払費用とは、サービス(継続的に発生する契約の役務)への対価のうち、まだ支払いが行われていないものを指します。保険料や水道、電気代、従業員の給与などが該当します。

    買掛金の仕訳

    仕入れたとき

    仕入の取引が発生したときは、借方に「仕入れ」、貸方に「買掛金」を記載します。

    借方科目金額貸方科目金額
    仕 入100,000円買掛金100,000円

    支払ったとき

    支払い期日になり、仕入れ代金を銀行へ振り込んだ場合は借方に「買掛金」、貸方に「預金」として仕訳を行います。

    借方科目金額貸方科目金額
    買掛金100,000円預 金100,000円

    買掛金と売掛金を相殺するとき

    自社の売上げ先が仕入先でもある場合、自社が売り手となり発生した「売掛金」で負債の「買掛金」を相殺することもできます。こうした取引は相手の取引先へ同意を得る必要があります。

    借方科目金額貸方科目金額
    買掛金100,000円売掛金100,000円

    返品をしたとき

    仕入れたものを返品した場合は、買掛金から返品した分の金額を減らします。返品した場合は「仕入戻し」「仕入値引き」といった勘定科目を使うこともあります。これまでと同じやり方をします。

    借方科目金額貸方科目金額
    買掛金100,000円仕 入100,000円

    買掛金元帳への転記

    買掛金元帳は、取引先との買掛金の残高を管理する補助簿です。取引先ごとに作成し、買掛金の金額を記録します。

    一般的には会計ソフトで処理するので、買掛金の仕訳入力をした時点で買掛金元帳へ転記されます。

    差異チェック

    帳簿に記載されている買掛金残高と取引先からの請求金額が一致するのが望ましいのですが、締切時期の違い等で食い違いが発生します。

    不一致には、 

    ① 金額に誤りや漏れがある
    ② 一部の取引が計上されていない
    ② 一部の取引を重複して記帳している

    などがあります。原因を究明して正しい金額を支払わなければなりません。社内の仕入担当者と協議しても分からなければ相手先に問い合わせする必要があります。

    回転期間

    買掛金が発生してから支払いが終わるまでの期間を回転期間と言います。

    回転期間は、仕入れに関する資金繰り状況をはかる指標として用いられます。自社の買掛金回転期間を継続して把握して、変化が見えてきたらその理由を調べましょう。可能であれば地域や業界の平均的な買掛金の回転期間を調べて参考にしましょう。

    日数の場合
    買掛金残高÷(売上原価÷365)=買掛金の回転期間(日)

    月数の場合
    買掛金残高÷(売上原価÷12ヶ月)=買掛金の回転期間(月)

    回転期間が長くなるのは支払いを遅らせていることにるので資金繰り的には良いのですが、取引先からは支払いが悪い相手先と認識されるおそれがあるので、必ずしも良いことではありません。


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