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育児介護

妊娠出産等の申出に対して制度周知や意向確認をするときの注意点

Last Updated on 2024年10月10日 by

個別周知と意向確認

労働者から、本人又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出があった場合に、当該労働者に対して、育児休業制度等(出生時育児休業を含む。)について周知するとともに、制度の取得意向を確認するための措置を実施する必要があります。この場合、取得を控えさせるような形での個別の周知と意向確認は認められません。(令和4年4月1施行)

育児介護休業法第21条 事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の規定による申出をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

ポイント1 個別に説明する

法律では「当該労働者に」となっています。ですから、一般的に知らせるのではなく、育児介護休業法の適用を受ける状態になった人、一人一人に個別に説明しなければなりません。

ポイント2 書面を交付する

周知の具体的なやり方は、
① 面談
② 書面交付(郵送によることも可能)
③ FAX
④ 電子メール等
のいずれかによって行う必要があります。なお、③、④は労働者が希望した場合のみとなっているので注意しましょう。

説明用の書面を作成し、その書面を交付しつつ概略を説明し、質問を受けるという形がよいでしょう。いつでも対応できるように事前に書面を用意しておきましょう。また会社としても説明した記録を残すために、同じ文書を作成して一通に「この説明書を受領しました。年月日。署名」を記載してもらって保管するとよいでしょう。

ポイント3 申し出が無くても

労働者から申し出が無くても、何らかの方法(他の社員の会話など)で会社(上司等が)がそのようなことを知ったときは、知らぬふりをせずにこの周知をしなければなりません。

ポイント4 周知する内容

①~④の全てを周知しなければなりません。

① 育児休業・出生時育児休業に関する制度
② 育児休業・出生時育児休業の申出先
③ 育児休業給付に関すること(制度の内容など)
④ 労働者が育児休業・出生時育児休業期間において負担すべき社会保険料の取り扱い

確実に周知するために書面を作成しましょう。

厚生労働省ホームページの「育児・介護休業等に関する規則の規定例」のページに、「参考様式(個別周知・意向確認書記載例、事例紹介、制度・方針周知 ポスター例)」が掲載されています。

厚生労働省の「例」を基本にするのが望ましいのですが、次のように要点を書面にして足りない部分はパンフレットなどを添付するやり方も可能です。

育児休業等について

年 月 日

〇〇〇〇殿

説明者 総務部 〇〇

育児休業について説明します。

1.まず最初に、説明資料として育児休業などの制度について厚生労働省が作成したパンフレットと当社の育児介護休業規程をお渡しします。説明資料を読みながら説明をお聞きください。分からないところがあったら、説明の途中でもかまわないので遠慮なく質問してください。

2.育児休業等の期間は現在の部署での在籍が継続します。ただし、休業中の連絡等は総務部が窓口になります。担当者は〇〇です。遠慮なくご連絡ください。

3.休業から復帰したときは、従来の等級並びに職位で現在の部署に復帰します。ただし、機構改革等により部署に変動があったとき、またはそれに準じるやむを得ない事情が発生したときは、従前と異なる部署に配属することになります。この件についてはあなたの希望を聞いて決定します。

4.休業中は給与は支給されません。雇用保険から支給される育児休業給付金の支給については総務部がお手伝いします。

5.休業期間は賞与の対象期間になりません。給与は支給されませんが、休業期間中に昇級が実施されたときは、直前2年間の平均評語を用いて昇給を実施します。

6.やむを得ない事情で休業を中止するときは、会社の諸準備のため、原則として申出日より1週間後から出社していただきます。この件についてはあなたの希望を聞いて決定します。

6.以上で説明は終わりますが、何か不明のことがあれば遠慮なく質問してください。また、後日、分からないことがでてきたときは、遠慮なく総務部〇〇にご連絡ください。

7.

この文書によって説明を受けました。

 年 月 日 〇〇〇〇(署名)

意向の聴取

説明のあとに希望等の意向を聴取します。

子や家庭の状況により、両立が困難となる場合もあるため、労働者の離職を防ぐ観点から、勤務時間帯や勤務地、両立支援制度の利用期間の希望等の意向を確認しなければなりません。

意向の配慮

意向を確認したあとは、自社の状況に応じ、事業主はその意向に配慮をしなければなりません。

配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直しなど

子が3歳になるまでに行うべき面談等

上記は妊娠出産等の申出を受けた際の面談等の説明ですが、子が3歳になるまでの適切な時期に行うべき面談についても育児・介護休業法に定められています。

関連記事:子が3歳になるまでに仕事と育児の両立に関する制度の説明と取得意向を確認するための面談をしなければなりません


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