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育児介護

子の看護休暇制度のあらまし

Last Updated on 2023年9月10日 by

子の看護休暇とは

小学校就学前の子を養育する労働者は、男女を問わず、申し出ることにより、病気やけがをした子の看護のために、あるいは予防接種や健康診断を受けさせるための休暇を取得することができます。

事業主は、業務の繁忙等を理由に、看護休暇の申出を拒むことはできません。

この制度は業種や会社の規模に関係なく、すべての企業が実施しなければなりません。

勤務しなかった日について賃金を支払わないことは差し支えありませんが、賞与、昇給等で不利益な扱いをすることは禁止されています。

子の看護休暇の日数は、小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日とることができます。

時間単位の取得

子の看護休暇は時間単位でとることができます。

時間は1時間の整数倍です。労働者が希望する時間でとることができます。

法令で認められる時間単位取得は、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものなので、いわゆる「中抜け(勤務時間の途中に抜けて、終業時刻までにまた勤務に戻ってくること)」は想定されていません。しかし、厚生労働省は、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮するよう求めています。

フレックスタイムとの関係

厚生労働省のQ&Aによれば、フレックスタイム制と子の看護休暇・介護休暇は別の制度で、その趣旨が異なるので、たとえフレックスタイム制度のような柔軟な労働時間制度が適用される労働者であっても、申出があった場合には、時間単位で看護・介護休暇を取得できるようにしなければならない。としています。

労使協定による除外

労使協定を締結すれば、雇用されて6か月未満の者、1週間の所定労働日数が2日以下の者を除外することができます。また、1時間単位で取得することが困難な業務についても労使協定を締結することにより、その業務に従事する労働者を除外することができます。

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就業規則規定例

(子の看護休暇)
就業規則第◯条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは4 月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。
3 取得しようとする者は、原則として、子の看護休暇申出書を事前に◯◯課に提出するものとする。やむを得ない事情があるときは事後速やかに提出しなければならない。
4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。
5 賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、労務提供のなかった時間に対応する賞与は支給しない。
6 定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間を通常の勤務をしているものとみなす。

上記の場合、勤務しなかった時間について賃金を支払わないことは差し支えありませんが、支払うように決めることもできます。また、勤務しなかった時間数を超えて賃金を減額したり、子の看護休暇を取得したことを理由として賞与、昇給等で不利益な算定を行うことは禁止されています。


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