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育児介護

育児休業等の対象者と適用除外者

Last Updated on 2023年9月23日 by

日々雇用される者は対象外

育児介護休業法は、育児休業等の対象を、労働者(日々雇用される者を除く)としています。

つまり、日々雇い入れられる者(1日のみの雇用契約、あるいは30日未満の有期契約で雇用されている労働者)は育児休業、子の看護休暇、所定労働時間の制限請求、時間外労働の制限請求、深夜業制限請求等をすることができません。

事業の正常な運営を妨げる場合

所定労働時間の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限に、「事業の正常な運営を妨げる場合」を除くという定めがあります。

これについて、厚生労働省ホームページ 「節電に向けた労働時間の見直しなどに関するQ&A 5.家族的責任を有する労働者への配慮について」に次の記述があるので参考にしましょう。

「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易度等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものとされています。
事業主は、労働者が深夜業の免除を請求した場合においては、その労働者が請求どおりに深夜業の免除を受けることができるように通常考えられる相当の努力をすべきであり、単に深夜業が事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されません。
例えば、事業主が通常の配慮をすれば代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状態にあると認められるにもかかわらず、そのための配慮をしなかった場合は、深夜業が必要な配置人員を欠くこと等をもって、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとは言えません。一方、事業主が通常の配慮をしたとしても代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状況になかったと認められる場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当します。また、深夜業をせざるを得ない繁忙期において、同一時期に多数の専門性の高い職種の労働者が請求した場合であって、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお事業運営に必要な業務体制を維持することが著しく困難な場合には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当します。こうした育児や家族の介護など家族的責任を有する労働者を深夜業に従事させようとする場合においては、その事情に十分配慮することが望まれます。

育児休業の扱い

有期雇用労働者の制限

期間を定めて雇用される者は、次に該当すれば育児休業の申出ができます。

①  子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

この制限は、法により認められている制限なので、これの適用について労使協定を結ぶ必要はありません。ただし、就業規則または育児介護休業規程に定める必要があります。また、雇用期間の制限をしない定めにすることもできます。

令和4年3月31日までは「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」という要件がありましたが、現在は撤廃されています。

労使協定による制限

次の労働者については、労使協定を締結すれば育児休業の対象から除外することができます。

① 雇用されて1年未満の者
② 1年以内に雇用関係が終了することが明らかな者(1歳から1歳6か月までの育児休業の場合は6か月以内)
③ 1週間の所定労働日数が2日以下の者

この定めは、有期雇用労働者だけでなく全ての従業員に適用されます。つまり、今後、有期契約労働者については1年という要件が削除されますが、上記の労使協定を締結していれば、実質的にはこれまでと変りがない運用をすることができます。

産後パパ育休の扱い

有期雇用労働者の制限

有期雇用契約労働者については、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない場合に産後パパ育休をすることができます。

子の看護休暇の扱い

子の看護休暇は小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が申出できます。

有期雇用労働者の制限

有期雇用労働者に対する制限はありません。

労使協定による制限

次の労働者については、労使協定を締結すれば子の看護休暇の対象から除外することができます。

① 雇用されて6か月未満の者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の者

以前は、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できないという定めもありましたが、現在はその扱いはできません。

さらに、労使協定により、半日単位・時間単位の取得から除外できる業務があります。

③ 業務の性質若しくは業務の実施体制に照らして、一日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者

これは、法16条の3第2項に規定されています。

指針では、業務の性質や業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務として、下記のように例示されています。
・国際路線や長距離路線に就航する航空機において従事する客室乗務員、操縦士等
・労働時間の大半を移動しながら行う運輸業務
・長時間の移動を要する遠隔地で行う業務
・流れ作業方式による業務
・交替制勤務による業務
ただし、これらはあくまでも例示であって、これら以外は困難と認められる業務に該当しないということではなく、また、これらであれば直ちに困難と認められる業務に該当するものではない、としています。

所定労働時間制限の扱い

所定労働時間の制限は、3歳に満たない子を養育する労働者が請求できます。

有期雇用労働者の制限

有期雇用労働者に対する制限はありません。

労使協定による制限

次の労働者については、労使協定を締結すれば所定労働時間の制限の対象から除外することができます。

① 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
② 1週間の所定労働日数が2日以下の者

法律に認められた制限

また、「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」という規定があります。これについては、上述の「事業の正常な運営を妨げる場合」を参照してください。

時間外労働制限の扱い

時間外労働の制限は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求できます。

有期雇用労働者の制限

有期雇用労働者に対する制限はありません。

労使協定による制限

労使協定による制限はできません。

法律に認められた制限

次の労働者を時間外労働の制限の対象外とすることができます。

① 事業主に雇用されている期間が継続して1年に満たない
② 所定労働日数が、1週間で2日以下

また、「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」という規定があります。これについては、上述の「事業の正常な運営を妨げる場合」を参照してください。

深夜業制限の扱い

深夜業の制限は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求できます。

有期雇用労働者の制限

有期雇用労働者に対する制限はありません。

労使協定による制限

労使協定による制限はできません。

法律に認められた制限

以下のひとつでも該当する労働者は対象外とすることができます。

① 雇用された期間が継続して1年に満たない
② 所定労働日数が1週間で2日以下
③ 所定労働時間の全部が深夜である
④ 深夜において当該の子供を保育、あるいは当該の家族を介護できる同居の家族がいる

深夜において保育・介護できる同居の家族とは、16歳以上で、深夜に就業していないこと、負傷・疾病等により保育・介護が困難でないこと、6週以内に出産予定か出産後8週以内でないことのすべてに該当する者をいいます。

また、「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。」という規定があります。これについては、上述の「事業の正常な運営を妨げる場合」を参照してください。

短時間労働の扱い

所定労働時間の短縮措置は、3歳に満たない子を養育する者であって育児休業をしていない労働者が申出できます。

有期雇用労働者の制限

有期雇用労働者に対する制限はありません。

労使協定による制限

① 事業主に雇用されている期間が継続して1年に満たない
② 所定労働日数が、1週間で2日以下
③ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

育児・介護休業等に関する労使協定のサンプル

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