Last Updated on 2025年6月23日 by 勝
育児休業とは、子どもを養育する労働者が、原則として子どもが1歳になるまでの期間、従業員が仕事を離れて育児に専念するために法律に基づいて休業できる制度です。 場合によっては、最長2歳まで延長することも可能です。
- 育児休業制度に関するQ&A
- Q1: 育児休業制度の目的は何ですか?
- Q2: 育児休業の対象となる労働者は誰ですか?
- Q3: 育児休業はどのくらいの期間、何回取得できますか?
- Q4: 育児休業の申出方法と期限について教えてください
- Q5: 事業主は育児休業の申出を拒否できますか?
- Q6:育児休業の開始日や終了日を、繰り上げたり繰り下げたりできますか?
- Q7:育児休業申請の撤回はできますか?
- Q8:育児休業期間はどういうときに終了しますか?
- Q9:育児休業の延長はできますか?
- Q10: 事業主が従業員へ通知すべき事項は何ですか?
- Q11: 事業主はどのような雇用環境整備を行う必要がありますか?
- Q12 育児休業等に関するハラスメント対策について教えてください
- Q13: 育児休業した場合の給付等にはどういうものがありますか?
育児休業制度に関するQ&A
Q1: 育児休業制度の目的は何ですか?
育児休業制度は、子の養育や家族の介護を行う労働者の雇用の継続を促進することを目的としています。
男女ともに仕事と育児・介護を両立できる社会を目指し、育児期を通じて多様な働き方を組み合わせることで、男女が育児・家事を分担し、希望に応じたキャリア形成を両立できるようにすることも重視されています。
Q2: 育児休業の対象となる労働者は誰ですか?
日々雇用される労働者を除き、1歳に満たない子を養育する労働者が対象です。
これには、家庭裁判所に特別養子縁組の請求を行い、現に監護している者や、児童福祉法に基づき養子縁組里親として委託されている児童を養育する労働者、およびこれらに準ずる者も含まれます。
有期雇用労働者も対象となりますが、育児休業申出の時点で、労働契約が子の1歳6か月の誕生日(または、出生時育児休業の場合は子の出生の日から8週間を経過する日の翌日から6か月、介護休業の場合は介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月)までに満了し、更新されないことが明らかでない者に限られます。
Q3: 育児休業はどのくらいの期間、何回取得できますか?
原則: 子1人につき、原則として2回まで取得可能です。
再取得が可能な特別の事情
以下のような事情が生じた場合には、再度取得が可能です
□子の死亡、他人の養子になる、または同居しなくなった場合
□配偶者が死亡した場合、または負傷、疾病、障害により子の養育が困難になった場合
□離婚などにより配偶者が子と同居しなくなった場合
□子が負傷、疾病、障害により2週間以上の世話が必要になった場合
□保育所等への入所を希望しているが、当面入所できない場合
1歳以降の育児休業
原則として、子1人につき2回まで取得可能です。2022年10月施行の改正により、育児休業(出生時育児休業を除く)は、原則2回まで分割して取得できるようになりました。また、1歳以降の育児休業も、特定の要件を満たす場合、1歳、1歳半といった節目だけでなく、途中で開始できるよう柔軟化されています。
出生時育児休業(産後パパ育休)
子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できます。この期間中に2回まで分割して取得できます。ただし、この8週間以内に既に2回の出生時育児休業を取得している場合や、通算で28日を超えて取得している場合は、それ以上取得できません。
パパ・ママ育休プラス
配偶者も育児休業を取得している場合、子が1歳2か月に達するまでの期間に育児休業を取得できる特例があります。
Q4: 育児休業の申出方法と期限について教えてください
申出方法
育児休業の申出は、書面によるほか、労働者が希望する場合には、FAX、電子メール(ウェブメール、SNS、イントラネット経由の専用ブラウザなど)でも可能です。
ただし、電子メール等の場合は、記録を出力して書面を作成できるものに限られます。事業主が申出方法を指定する場合、その方法が労働者にとって過重な負担とならないよう配慮が必要です。
申出事項
申出には、申出年月日、労働者の氏名、子の氏名・生年月日・続柄(未出生の場合は出産予定者の氏名・出産予定日)、育児休業開始予定日・終了予定日などの事項が必要です。特別養子縁組の場合はその事実も必要です。
申出期限
原則として、育児休業開始予定日の1か月前までに行う必要があります。出生時育児休業の場合は原則2週間前までです。
申出が遅れた場合、事業主は申出日の翌日から1週間経過する日までの間で開始日を指定できます。
Q5: 事業主は育児休業の申出を拒否できますか?
原則として、事業主は育児休業の申出を拒否することはできません。
請求資格を持つ従業員の請求があれば、たとえ小人数(一人でも)しか雇用していない事業主であっても休業取得を拒むことはできません。
また、まだ就業規則、育児休業規程などを作っていない事業所であっても、法律に定められている権利なので請求があれば認めなければなりません。
労使協定で、週の所定労働日数が2日以下の労働者など、育児休業を取得できない者として定められた労働者からの申出は拒否できる場合があります。
Q6:育児休業の開始日や終了日を、繰り上げたり繰り下げたりできますか?
開始予定日は、出産予定日前の出産等の場合に限り1回に限り繰上げ変更できます。一方、休業終了予定日は、当初の休業終了予定日の1ヶ月前に申し出れば、理由を問わず、1回に限り繰下げ変更ができます。ただし、休業予定終了日は、子が満1歳に達する日の前日までに限られます。
Q7:育児休業申請の撤回はできますか?
業撤回の申出は、休業開始予定日の前日までは理由を問わずできますが、一度撤回すると、同じ子については、原則として再度の休業申出することができません。
Q8:育児休業期間はどういうときに終了しますか?
育児休業は次の場合には終了します。
□終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の子を養育しないこととなった事由が生じたこと。この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。
□終了予定日とされた日の前日までに、子が1歳(または1歳6ヶ月)に達したこと。
□終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。
Q9:育児休業の延長はできますか?
子が1歳に達する時点で、条件を満たせば、子が1歳に達する日の翌日から子が1歳6か月に達する日までの期間について、育児休業を延長することができます。
子が1歳6か月に達する時点で、条件を満たせば、子が1歳6か月に達する日の翌日から子が2歳に達する日までの期間について、育児休業を延長することができます。
Q10: 事業主が従業員へ通知すべき事項は何ですか?
申出に対する通知
育児休業申出があった場合、事業主は以下の事項を労働者に速やかに通知しなければなりません。
□育児休業申出を受けた旨。
□育児休業開始予定日と終了予定日(事業主が開始日を指定した場合はその指定日)。
□育児休業申出を拒否する場合には、その旨と理由。
個別周知・意向確認
個別周知・意向確認:労働者から本人または配偶者の妊娠・出産等の申出があった場合、または子の3歳までの適切な時期(特に2025年10月1日施行により、子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までの期間に改めて)に、以下の事項を個別に周知し、就業に関する意向を確認する義務があります。
□育児休業に関する制度
□育児休業申出等の申出先
□育児休業給付および出生後休業支援給付に関すること
□育児休業期間中の社会保険料の取扱い
□勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、業務量、労働条件の見直し等の意向
通知・確認方法
面談、書面交付、FAX、電子メール等(記録を出力できるものに限る)のいずれかの方法で行う必要があります。これらの措置は、取得を控えさせるような形で行ってはいけません。
Q11: 事業主はどのような雇用環境整備を行う必要がありますか?
事業主は、育児休業申出等が円滑に行われるようにするため、以下のいずれか2つ以上の措置を講じなければなりません。
□従業員への育児休業に関する研修の実施。
□育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)。
□育児休業取得に関する事例の収集と従業員への提供。
□育児休業に関する制度や取得促進の方針の周知。
□育児休業申出をした労働者の育児休業取得が円滑に行われるための業務の配分または人員配置に関する必要な措置。
これらの措置は全ての事業主に義務付けられています。研修は、単なる資料配布や動画掲載だけでなく、知識を高めるための講習として実施する必要があります。
Q12 育児休業等に関するハラスメント対策について教えてください
事業主は、職場における育児休業等に関するハラスメント(育児休業、介護休業等の利用に関する言動により就業環境が害されること)を防止するため、以下の措置を講じる義務があります。
方針の明確化と周知・啓発
ハラスメントの内容、その背景となり得る否定的な言動、ハラスメントを行ってはならない旨の方針、および制度等の利用が可能である旨を明確化し、管理監督者を含む全労働者に周知・啓発すること。
相談体制の整備
相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。相談窓口の担当者が適切に対応できるよう、相談者の心身の状況や認識に配慮し、広く相談に応じること。他のハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント)の相談窓口と一体的に整備することが望ましいです。
事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認し、事実が確認できた場合には、被害者への配慮、行為者への措置、再発防止策を講じること。
原因・背景となる要因の解消
業務体制の整備(業務分担の見直し、業務効率化など)により、周囲の労働者の業務負担にも配慮すること。労働者の側も、制度利用の知識を持ち、周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら適切に業務を遂行する意識を持つことが重要です。
不利益取扱いの禁止
相談したことや事実確認に協力したことを理由として、労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしない旨を定め、周知・啓発すること。
行為者の責務
事業主自身(法人の役員を含む)および労働者も、ハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者への言動に必要な注意を払う努力が求められます.
Q13: 育児休業した場合の給付等にはどういうものがありますか?
育児休暇中には、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。また、社会保険料の免除等の措置を受けることができます。
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