Last Updated on 2023年10月15日 by 勝
育児休業とは
育児休業とは、子を養育するためにする休業をいいます。
子というのは、原則として1歳に満たない子です。実子、養子を問いません。
父親、母親のいずれでも育児休業をすることができます。
育児休業をすることができるのは、原則として子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。
育児休業の取得手順
労働者の申し出
労働者は、申し出ることにより、子(実子、養子、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子)が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間、育児休業をすることができます。
また、まだ就業規則、育児休業規程などを作っていない事業所であっても、法律に定められている権利なので請求があれば認めなければなりません。
請求資格を持つ従業員の請求があれば、たとえ小人数(一人でも)しか雇用していない事業主であっても休業取得を拒むことはできません。
事業主は時期をずらしてもらうような交渉をしてはいけません。超多忙など、切迫した事情があったとしても、希望通りに取らせなければなりません。
適用を除外される労働者
日々雇い入れられる者、有期契約労働者、および労使協定の締結事業場については、法律の範囲内で対象者を限定することができます。
申出の時期
育児休業の開始を希望する日の1か月前までに申し出なければなりません。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、希望する日の1週間前までです。
1.出産予定日前の出生
2.子の親である配偶者の死亡
3.配偶者の負傷、疾病による子の養育困難
4.配偶者と子の同居の解消
5.育児休業の対象である子が、負傷、疾病などによって、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態となったとき
6.育児休業の対象である子について、保育所への入所を希望しているが、入所できないとき
育児休業の申出が遅れた場合は、事業主はそのまま受け入れることもできますが、労働者が申し出た休業開始予定日から休業申出後1ヶ月経過日までのいずれかの日を指定することもできます。
たとえば、通常の状態で2週間前になって申出された場合、申出の日が5月1日、労働者の希望開始日が5月14日だとすれば、事業主は、5月14日から6月1日までの間の日を育児休業の開始日に指定することができます。
育児休業開始予定日の変更
開始予定日は、出産予定日前の出産等の場合に限り1回に限り繰上げ変更できます。一方、休業終了予定日は、当初の休業終了予定日の1ヶ月前に申し出れば、理由を問わず、1回に限り繰下げ変更ができます。ただし、休業予定終了日は、子が満1歳に達する日の前日までに限られます。
育児休業申出の撤回
業撤回の申出は、休業開始予定日の前日までは理由を問わずできますが、一度撤回すると、同じ子については、原則として再度の休業申出することができません。
育児休業期間の終了
育児休業は次の場合には終了します。
1.終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の子を養育しないこととなった事由が生じたこと。この場合、労働者は、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。
2.終了予定日とされた日の前日までに、子が1歳(または1歳6ヶ月)に達したこと。
3.終了予定日とされた日までに、請求をした労働者が、産前産後休業、育児休業又は介護休業が始まったこと。
育児休業の延長
子が1歳に達する時点で、条件を満たせば、子が1歳に達する日の翌日から子が1歳6か月に達する日までの期間について、育児休業を延長することができます。
子が1歳6か月に達する時点で、条件を満たせば、子が1歳6か月に達する日の翌日から子が2歳に達する日までの期間について、育児休業を延長することができます。
育児休業の分割取得
1歳までの育児休業について、分割して2回まで取得することができます。(令和4年10月1日施行)
延長の育休、再延長の育休に関し、育児休業の開始日を柔軟にすることで各期間の途中でも取得できるものとして、夫婦交代で取得できます。
さらに、延長の育休、再延長の育休に関し、特別の事情がある場合には、再度育休が取得できます。
関連する制度
パパママ育休プラス
母(父)だけでなく父(母)も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2か月に達するまで(2か月分は父(母)のプラス分)に延長できます。ただし、父の場合、育児休業期間の上限は1年間。母の場合、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間です。
産後パパ育休
育児の初期に男性育休を取りやすくするために、育児休業とは別に、出産日から8週間の間に、4週間の育休を取得できます。
育児休業給付金などの助成
育児休暇中には、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
また、社会保険料の免除等の措置を受けることができます。
会社の対応
不利益取扱いの禁止
事業主による、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取り扱いは禁止されています(派遣労働者の派遣先にも適用)
また、事業主には、上司や同僚からの妊娠・出産・育児休業や介護休業等取得等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラなど)を防止する措置を講じる義務があります(派遣労働者の派遣先にも適用)。
規程の整備
就業規則や育児休業規程などの規程整備が必要です。
育児休業の取得率公表
常時使用する労働者数が1,000人超の事業主は育児休業の取得状況を公表しなければなりません。
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