取締役会とは?

取締役と監査役

取締役会とは

取締役会は、会社法に定められた会社の機関の一つです。取締役で構成し、代表取締役の選任など会社経営における重要な意思決定を行い、同時に取締役(代表取締役を含む)の業務監査を行ないます。

会社法では「重要な財産の処分や多額の借財」など、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができず、取締役会で決定しなければならないとしています。

取締役会が必要な会社

会社法において、取締役会の設置が義務付けられている会社は以下の4種類です(会社法第327条)。

設置が義務付けられる会社の種類概要
1. 公開会社発行する株式の全部または一部について、譲渡制限(株式を譲渡する際に会社の承認が必要となる定め)を設けていない株式会社。
2. 監査役会設置会社監査役会を設置している会社。
3. 監査等委員会設置会社監査等委員会を設置している会社。
4. 指名委員会等設置会社指名委員会、監査委員会、報酬委員会を設置している会社。

補足事項

  • 非公開会社(中小企業の多く)株式の全部に譲渡制限を設けている非公開会社は、上記のいずれにも該当しない限り、取締役会の設置は任意です。多くの小規模な株式会社は取締役会を設置していません。
  • 取締役会の設置要件取締役会を設置する会社は、最低でも3人以上の取締役を置く必要があります(会社法第331条第5項)。
  • 上場企業上場企業は必ず「公開会社」であり、機関設計として取締役会を置かなければなりません。IPO(株式上場)を目指す会社は、その過程で取締役会を設置することになります。

取締役会の主な役割と権限

取締役会は、会社の業務執行に関する意思決定、取締役の職務の執行の監督、そして代表取締役の選定・解職という、株式会社の経営において中核的な役割を担う機関です。

取締役会は、通常は代表取締役が招集します。

会社法に基づき、取締役会には主に以下の3つの重要な役割と権限が与えられています。

業務執行の決定

会社の経営に関する重要な事項について、最終的な意思決定を行います。ただし、すべてを決定するのではなく、株主総会の専決事項(定款変更、合併など)を除いた範囲で、取締役会が決定権を持ちます。

主な決定事項(例):

  • 重要な財産の処分及び譲受け(大規模な不動産の売買など)
  • 多額の借財(大きな融資の決定)
  • 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  • 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 社債の発行
  • 内部統制システム構築に関する基本方針の決定

取締役の職務の執行の監督

取締役会は、個々の取締役が適正に職務を遂行しているかを監督します。特に代表取締役や業務執行取締役が、法令や定款、取締役会で決定された方針に従って経営を行っているかをチェックする機能です。これは、会社の健全性を保つためのコーポレート・ガバナンス(企業統治)の要となります。

取締役会は通常は毎月定期的に開催するのが一般的です。また、会社法363条により、代表取締役や取締役は3ヶ月に1回以上は、自分の業務の執行の状況を取締役会に報告しなければならないことになっています。したがって、取締役会は最低限、年4回の定期的開催が必要です。

代表取締役の選任及び解職

代表取締役は、取締役会の決議によって取締役の中から選任されます。また、代表取締役としての適格性を欠くと判断された場合などには、取締役会の決議によって解職することもできます。代表取締役は、会社を代表し、日常的な業務を執行する最高責任者です。

議事録

取締役会が終了したら、議事録を作成し、出席した取締役・監査役が署名または記名押印します。議事録の保存期間は10年です。

決議に反対した取締役は、議事録に異議をとどめておかないと決議に賛成したものと推定され、不利益を受けるおそれがあります。

取締役会決議のやり方

取締役会の決議は、取締役の過半数が出席し、その出席した取締役の過半数によって行われます(定款で要件加重することがあります)。

決議の内容について特別の利害関係のある取締役がいる場合は、当該取締役は決議に参加できません。

例えば、取締役の競業取引や利益相反取引の承認を行う議題の場合は、当該取締役は決議に参加することができません。また、代表取締役を解任する場合の当該代表取締役も決議に参加することができません。

取締役会は、次の条件を全部満たせば、書面または電磁的方法(電子メール等)による決議をすることができます。

  • 取締役が取締役会決議の目的である事項について提案した場合であること。
  • 当該提案につき、当該事項について議決に加わることができる取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしていること。
  • 監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べていないこと。

もっとも、このような条件を満たした場合であっても、前述した業務執行取締役による業務執行状況報告は書面をもってすることはできません。

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