Last Updated on 2023年11月16日 by 勝
旧姓使用を認める会社が多い
内閣府男女共同参画局によると、2016年調べでは通称使用を認めている企業は、49.2%と全体の約半数になっているそうです。
この調査は旧姓使用を含めた通称使用の調査なので、旧姓使用に限ればもっと多くの会社が認めていると思われます。
また、通称使用を認めていない理由としては、「要望がない」や「社内で通称使用について検討したことがない」といった意見が多いことから、今後、希望者が出たときに認める方に転換する企業が多いのではないかと思われます。
職場における旧姓使用
職場において旧姓使用を認めるかどうかは、法的な定めがないので、それぞれの会社が定めることができます。
旧姓を継続して使用したいという希望の理由は様々ですが、会社としては、理由に関与する必要はありません。旧姓使用を認めたときに実務的に支障があるかどうか、あるとすれば、許容できる範囲かどうか、その基準で決めればよいことです。可能であれば、望むところを受入れて気持ちよく働いてもらう方がよいでしょう。
旧姓使用の注意点
国の制度では、住民票、マイナンバーカード、運転免許、パスポートでは旧姓を併記することが認められるようになっています。ただし、税金や社会保険などの手続きについては、戸籍の氏名を使用することになっています。今のところは、公的なところでは、過渡期のような対応がされているのが現実です。
このため、職場で旧姓を使うと、戸籍の姓と旧姓の両方を使い分けなければなりません。
税金や社会保険では戸籍名が用いられるため、社内で扱う健康保険や年金、税金の書類では、通称を使用することはできません。
つまり、一般的には名刺、身分証明書(IDカード)、メールアドレス、給与明細、社員名簿、などが旧姓になり、労働者名簿、賃金台帳・源泉徴収票・社会保険の手続きなどの公的書類には戸籍名を使用します。人事や経理の内部資料については併記することになるでしょう。
したがって、経理や人事の担当者は旧姓と戸籍名の両方を把握し、使い分けなければならないため、少しだけ負担が増します。
旧姓使用の手続き
手続きを明示しないで慣習的に取り扱っている会社もあるようですが、混乱が生じないように一定のルールを定めた方がよいでしょう。
具体的には、婚姻等の際に提出してもらう「氏名変更届」の書式に、旧姓を使用するか否かを回答する欄(チェック欄)を設けます。
書式:氏名変更届のサンプル(従業員の氏名が変わったときの手続き)
通称使用について
ここまで書いてきたのは旧姓使用についてですが、この問題は通称使用と混同されることがあります。
通称というのは、婚姻前の旧姓だけでなく、戸籍上の氏名と異なる(芸名、ペンネームなど)全部の氏名を指します。通称を全て認めるのか、結婚前の旧姓だけを認めるのか、整理しないと思わぬ混乱が生じます。
会社事務入門>給与計算のやり方>従業員の氏名が変わったときの手続き>このページ