Last Updated on 2023年12月11日 by 勝
出産育児一時金とは
出産育児一時金は、妊娠4か月(85日)以上の被保険者及びその被扶養者(妻に限りません。娘など被扶養者になっている人が対象になります。)が出産したときに健康保険制度から支給される一時金です。多胎児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます。
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合:1児につき50万円
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合:1児につき48万8千円
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合:1児につき48万8千円
(上記金額は令和5年4月1日施行)
対象期間中であれば、正常分娩のほか、帝王切開、流産、早産、死産、人工妊娠中絶の場合も出産育児一時金の支給を受けることができます。
被保険者が、業務上または通勤災害の影響で早産したような場合、労災保険で補償を受けたとしても、出産育児一時金が別途支給されます。
産科医療補償制度とは、分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんが速やかに補償を受けられる制度で、分娩を取り扱う医療機関等が加入する制度です。
直接払い制度
医療機関等が被保険者等に代わって協会けんぽ等に出産育児一時金の申請を行い、直接、出産育児一時金の支給を受けることができる制度です。
出産育児一時金の支給が協会けんぽから直接医療機関等へ支払われることから、医療機関等の窓口で出産にかかった費用を支払う必要がありません。
ただし、実際の出産費用が出産育児一時金の額を超 えた場合は、超えた額を医療機関等へ 支払う必要があります。なお、厚生労働省保険局の令和4年社会保障審議会医療保険部会資料によると、令和3年度の正常分娩のみの出産費用は全国平均で473,315円でした。
出産にかかった費用が出産育児一時金の額より少ない場合は、その差額が被保険者等に支給されます。その場合は「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」又は「健康保険出産育児一時金差額申請書」を提出する必要があります。
似たような制度に「受取代理制度」というのがあります。直接支払制度だと出産育児一時金の請求手続も医療機関が代行してくれますが、受取代理制度では原則、被保険者が請求手続きをとる必要があります。ほとんどの医療機関は直接払い制度ですが、受取代理制度の医療機関もあります。出産予定の医療機関で確認しておく必要があります。
出産育児一時金の手続き
直接払いの場合
医療機関等が代わって受け取る「直接払い」にする場合は、出産前に医療機関等と「出産育児一時金の支給申請及び受取りに係る契約」を結びます。実際には、医療機関等が用意してくれる書類にサインをします。これによって、医療機関等が被保険者等に代わって協会けんぽに出産育児一時金の申請を行うので被保険者による申請手続きは不要です。
本人請求の場合
被保険者が医療機関等へ出産費用を支払ってから、保険者指定の「健康保険出産育児一時金支給申請書」に必要事項を記入して提出します。
添付書類としては下記のものがあります。
□医療機関等から交付される代理契約を医療機関等と締結していない、または医療機関等が直接支払制度に対応していない旨が記載されている書類
□出産費用の領収・明細書の写し
□申請書の証明欄に医師・助産婦または市区町村長の出産に関する証明
退職後の継続給付
出産育児一時金は条件が適合すれば退職して被保険者でなくなってからも支給される場合があります。
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