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事故・災害

ボランティア休暇制度を導入する場合の留意点(ボランティア休暇規程付き)

Last Updated on 2025年8月28日 by

ボランティア休暇制度とは

ボランティア休暇制度とは、従業員が、ボランティアとして、災害救援、社会福祉、地域社会の振興、環境保全、その他の活動に参加するために取得できる特別休暇制度です。

ボランティア休暇制度は、法律上の義務はなく、会社が任意に設ける制度なので、会社によって制度の内容が異なりますが、概ね次のような制度です。

  • 法律上の義務はなく、導入は会社の任意です
  • 年次有給休暇とは別枠で付与されます。一般的には無給の休暇です。
  • 日数は、災害時の支援の場合で3日程度が多いようですが、10日以上の例もあります
  • 年次有給休暇のように法律に定められた権利ではないため、業務に支障がでないように、上司との間で日程日数を調整することが前提です
  • 基本的には承認されるのが前提ですが、すべての申請が承認される訳ではありません
  • 旅費等の金銭的支援は一般的ではありません

災害ボランティア休暇規程

規程例を示します。あくまでも一つの例なので、会社の実情に合わせて加除訂正してお使いください。

災害ボランティア休暇規程(案)

第1条(目的)
この規程は、従業員が社会貢献活動に参加することを支援し、社会への奉仕および従業員の自己成長を促進することを目的とする。

第2条(定義)
本規程における「ボランティア活動」とは、災害救援、社会福祉、地域社会の振興、環境保全その他会社が認めた活動をいう。

2 政治活動または宗教活動、営利を目的とする活動は含まない。

第3条(対象者)
本規程の対象者は、当社に勤務する正社員とする。パートタイマー、契約社員については会社が特に必要と認めた場合に承認する。

第4条(休暇日数)
ボランティア休暇は、年度ごとに通算して5日を限度として取得することができる。時間単位等の取得は認めず、1日の単位での取得を原則とする。

第5条(休暇の扱い)
ボランティア休暇は無給とする。ただし、災害対策基本法で定められた緊急災害対策本部が設置される規模の災害に赴くときは有給とする。

2 この休暇は年次有給休暇とは別に付与される。

第6条(申請手続き)
ボランティア休暇を取得しようとする従業員は、所定の申請書に活動内容を記載し、所属長を経て会社に提出しなければならない。会社は業務の都合を考慮し、休暇取得を承認するか否かを決定する。

第7条(費用負担)
ボランティア活動に要する交通費・宿泊費・食費等は原則として従業員の自己負担とする。ただし、会社が必要と認めた場合にはその一部を補助することがある。

(安全確保と責任)
 第8条 従業員は、ボランティア活動に参加するにあたり、自ら安全確保に努め、ボランティア活動主催者の指示に従うものとする。

 2 活動中に発生した事故・負傷その他の損害については、原則として本人の責任とし、会社は一切の責任を負わない。

 3 ボランティア活動に参加する従業員は、ボランティア保険等に加入するものとする。

第9条(報告義務)
休暇終了後、従業員は活動内容を簡単にまとめ、所属長を経由して会社に報告するものとする。

第10条(その他)
本規程に定めのない事項、及び本規程の適用に疑義が生じたときは総務部長の指示に従うものとする。

ボランティア保険について

ボランティア活動は、会社の指示や命令で行うものではないので、事故等が発生した場合でも会社からの補償等はありません。そこで、ボランティア保険への加入をボランティア休暇取得の条件とするのが一般的です。

ボランティア保険は、ボランティア活動中の 事故やトラブルに備えるための保険 です。活動中に本人がケガをした場合(傷害保険部分)、または他人にケガをさせたり物を壊してしまった場合(賠償責任部分)をカバーします。

主に 社会福祉協議会(社協) を通じて加入する仕組みが全国で整備されています。

加入方法は、各市区町村の社会福祉協議会が窓口です。ウェブで申し込むこともできます。活動開始前に社協で手続きし、保険証明を受け取ります。


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