会計監査人とは
会計監査人は、会社の財務諸表(計算書類)が適正に作成されているかを独立した立場からチェックする機関です。公認会計士または監査法人しかなることができず、会社法で定められた大会社など、特定の会社に設置が義務付けられています。
設置義務がある会社
会計監査人の設置は、原則として大規模な株式会社に義務付けられています。それ以外の会社では任意で設置できますが、機関設計によっては設置が必要となる場合があります。
会計監査人の設置が義務付けられる会社(会社法上の「大会社」)
会計監査人の設置が義務となるのは、以下のいずれかの要件を満たす株式会社、すなわち会社法上の大会社です。
- 最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上であること。
- 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部(負債総額)が200億円以上であること。
これらの要件を満たす会社は、必ず会計監査人を置かなければなりません(会社法第327条第1項)。
その他の会社における設置義務
大会社ではない株式会社であっても、以下の機関設計を選択した場合は、会計監査人の設置が義務となります。
- 公開会社で監査役会を設置する場合。
- 監査等委員会設置会社を設置する場合(大会社であるか否かを問わず)。
- 指名委員会等設置会社を設置する場合(大会社であるか否かを問わず)。
会計監査人就任の手続き
会社は公認会計士や監査法人の中から、監査役または監査役会の同意を得て、株主総会の決議を経て会計監査人を設置します。員数は法定されていません。その任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時まです。つまり、任期は1年単位ということになります。
会社は、会計監査人設置会社となった旨及び変更年月日を登記する必要があります。また、会計監査人が就任した旨及び会計監査人の氏名又は名称並びに就任年月日なども登記する必要があります。
会計監査人の報酬は監査役または監査役会の同意を必要とします。
会計監査人の職務
会計監査人の職務は、主に会社の計算書類(財務諸表)を監査し、その適正性について意見を表明することです。これは、株主や債権者などの利害関係者に対して、会社の財政状態や経営成績に関する情報が信頼できるものであることを保証する役割を果たします。
会計監査人の具体的な職務は、会社法や公認会計士法に基づいて以下の通り定められています。
主な職務内容
計算書類の監査と報告
- 監査: 取締役などが作成した計算書類(貸借対照表、損益計算書など)およびその附属明細書について、法令や会計基準に従って適正に作成されているかを監査します。
- 報告: 監査の結果をまとめた会計監査報告書を作成し、監査役(監査役会)および取締役に提出します。
職務執行の調査権
- 計算書類の監査に必要な範囲で、いつでも会社の会計帳簿や記録の閲覧・謄写を請求したり、取締役や従業員に対して会計に関する報告を求めたりする権限を持っています。
- 必要に応じて、子会社に対して事業の報告を求めたり、調査を行ったりすることもできます。
株主総会への出席・意見陳述
- 計算書類の承認などに関する株主総会に出席し、株主から説明を求められたり、自身の意見を述べたりする義務があります。
職務遂行上の特徴
- 独立性: 会計監査人は、会社の経営者(取締役)から独立した立場で職務を遂行することが求められます。
- 専門性: 公認会計士または監査法人という会計の専門家に限定されるため、専門的な知識と技能に基づいて監査が行われます。
- 会社法と金融商品取引法との関係:
- 会社法上の会計監査は、会社の計算書類全般の適正性を監査します。
- 金融商品取引法上の監査(上場企業などの義務)は、投資家保護の観点から行われ、会社法上の監査と並行して実施されます。
 
会計監査中に、取締役の職務執行に関して不正行為または法令定款に違反する重大な事実を発見した場合には、会計監査人は監査役に報告する義務があります。
株主総会で選任される株式会社の機関のひとつであることから、会計監査人である公認会計士や監査法人も株主代表訴訟の対象とされることがあります。
 
  
  
  
  