Last Updated on 2024年8月23日 by 勝
法人の役員の場合
法人の役員に対しては「4分の3以上」の要件が適用されません。
法人の場合は、実務的には常勤・非常勤の区別で加入の可否を判断するのが一般的です。社長を含めて、常勤の役員であれば社会保険に加入させます。
しかし、厳密に言えば、「常勤だから」加入させるということではなく、あくまでも実態によって判断することになっています。
日本年金機構の回答
日本年金機構の過去の疑義照会回答に次のようにあります。以下、要約です。
質問
定期的に出勤していなければ被保険者になれないか
回答
一つの判断要素にはなるが、それだけでは被保険者資格が無いとは言えない
理由
事業所に定期的に出勤している場合は、「法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、かつ、その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものである」との判断の要素にはなりますが、本来法人の代表者としての職務は事業所に出勤したうえでの労務の提供に限定されるものではないことから、定期的な出勤がないことだけをもって被保険者資格がないという判断にはならないと考えます。
質問
役員報酬が低ければ被保険者になれないか
回答
一つの判断要素にはなるが、それだけでは被保険者資格が無いとは言えない
理由
昭和24年7月28日保発第74号通知で「役員であっても、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者とする」とされていますが、一方、「役員については、ご照会の事例のように経営状況に応じて、給料を下げる例は多く、このような場合は今後支払われる見込みがあり、一時的であると考えられるため、低報酬金額をもって資格喪失させることは妥当でない」ことから、総合的な判断が必要であり、最低金額を設定し、その金額を下回る場合は、被保険者資格がないとするのは妥当ではありません。
以上のように、形だけ非常勤にしたり、役員報酬を少なくして他の収入に切り替えたりするなどのごまかしを含む措置をすれば後々問題が生じることになりかねません。注意が必要です。
個人事業主の場合
個人事業の場合は、適用事業所であっても事業主は加入できません。
家族従業員の場合
事業主と同居している家族がその仕事に専従している場合は、その家族従業員は個人事業主と一体と考えられることから社会保険の被保険者にはなれないのが原則です。
一方、同居の親族以外の従業員もいる場合、その同居の親族の働き方が「労働者と認められる場合」、いわゆる「労働者性」があれば、適用を受けることが可能です。
労働者性の条件は以下のようなものです。
1 事業主の指揮命令に従っている。
2 就労実態が他の労働者と同様で、賃金もこれに応じて支払われている。
ア 始業、終業、労働時間や休日が他の従業員と同様である
イ 賃金の決定や計算等が他の従業員と同様である
3 取締役等事業主と利益を一にしていない。
労働保険の扱い
雇用保険や労災保険の扱いは、社会保険とは少し違います。
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