Last Updated on 2025年7月16日 by 勝
週44時間労働の特例とは?
労働基準法で定められている労働時間は原則として「週40時間」です。しかし、特定の事業場においては、特例として「週44時間」までの労働が認められる場合があります。これが「特例措置対象事業場」と呼ばれるものです。
週44時間労働が適用される事業場の条件
週44時間労働が適用される「特例措置対象事業場」とは、常時10人未満の労働者を使用する以下の業種を指します。
業種
次に掲げる業種に該当する事業場です。
商業 卸売業
卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他これらに類する事業
映画・演劇業
映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画制作事業を除く)
保健衛生業
病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他保健衛生に関する事業
接客娯楽業
旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他接客娯楽に関する事業
常時10人未満
「常時使用する労働者」の数には、パートタイマーやアルバイトも含まれます。また、人数は、企業全体ではなく、営業所、店舗、事務所等の個々の事業場の人数です。
「常時10人未満」については、一時的に労働者の数が10人以上になることがあっても、通常の労働者数が10人に満たない状況であれば該当します。一方で、通常は10人以上の労働者を使用する事業場で、一時的に10人未満となった場合でも、特例措置対象事業場とはみなされません。
法令
特例措置対象事業場について規定した条文は労働基準法施行規則第25条の2、対象業種に関しては労働基準法別表第1です。
参考:
e-Gov「労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)」
e-Gov「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」
どのように運用するか
土曜半日勤務など
例えば、「月~金の平日5日を8時間勤務、土曜日を4時間の半日勤務」とすると週44時間となります。
各勤務日の労働時間を統一したい場合は、「月~土の各日7時間20分勤務」となります。
いずれも、1日あたりの労働時間を8時間以内となっているので定時勤務であれば時間外労働は生じません。
週5日勤務
週44時間で週5日勤務にすれば、一日あたりの労働時間は8時間48分になります。8時間を超えた部分については、常に時間外割増賃金が発生します。
1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヶ月単位の変形労働時間制を活用することで、1ヶ月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が44時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に44時間を超えたりしても、時間外割増賃金が発生しない仕組みにすることが可能になります。
また、条件を満たせば、フレックスタイム制も適用できますが、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制は適用できません。
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