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労働契約

賃金引き下げの注意点

Last Updated on 2022年2月27日 by

不利益変更ができる条件

給与を下げることはできますか?

給料の引き下げは「不利益変更」にあたります。原則としてできません。

(就業規則による労働契約の内容の変更)
労働契約法第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

個々の合意による変更

労働契約法第3条に、労働契約は対等の立場における合意に基づいて締結するという規定があります。

(労働契約の原則)
労働契約法第3条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

つまり、合意によって締結したものは、合意があれば変更できると読めます。合意があれば給料を下げてもよいということになります。

ただし、給料を下げられることを進んで合意するわけがありません。合意を得るのは大変難しいと思われます。

前提となるのは「対等の立場における合意」です。

合意を得ないまま強行するとどうなるか。

ある裁判例では、会社更生法の適用を受けた会社が管理職の賃金を20%カットしたのですが、一方的な通知だけで同意をとっていないということで、会社が負けています。会社更生法適用中という事態であっても一方的な賃金カットはできないという例です。

また、全員が合意すればよいのですが、一部の反対があるときに、合意した従業だけ減額し、同意のない従業員はそのままという形にすれば、従業員間の対立など、別な問題もおきてきます。

労働協約による変更

個々の同意ではなく、労働組合からまとめて同意をとる場合もあります。

労働協約とは

就業規則の変更による変更

就業規則や賃金規程の改定により賃金カットを実施する場合もあります。基本給、その他の手当等ついては、その定めを変更することで、給料を下げることができます。

ただし、労働契約法第10条の定めをクリアしなければなりません。

就業規則改定による不利益変更

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