カテゴリー
採用の事務

募集採用の年齢制限について

Last Updated on 2023年7月13日 by

年齢制限をすることは原則禁止です

労働施策総合推進法により募集採用について年齢で制限することは原則として禁止されています。つまり、募集は原則として「年齢不問」で出さなけれなりません。

労働施策総合推進法第9条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

採用の判断をするときは、年齢ではなく、個々の労働者の適性や能力を把握することが重要です。

年齢制限の例外

例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。

1 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

2 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合

3 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

4 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

5 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

6 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

募集要項等への記載例 1

例示の×は認められない表現、○は認められる表現です。

1 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

(例)
○「60歳未満の方を募集(定年が60歳)」

2 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合

(例)
○「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」
○「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」

3 長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者等をはじめとした若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

ただし、「対象者の職業経験について不問とすること」、「新規学卒者以外の者にあっては、新規学卒者と同等の処遇であること」の2点を満たす必要があります。

(例)
○ 「35歳未満の方を募集」(経験不問)
○ 「40歳未満の方を募集」(経験不問)

「若年者等」とは、必ずしも35歳未満に限られるものではありません

× 「35歳未満の方を募集」(□□業務の経験者)
職務経験を条件としているので不可
× 「35歳未満の方を募集」(契約期間6ヶ月)
有期労働契約なので不可
× 「35歳未満の方を募集」(契約期間6ヶ月 更新制度あり)
有期労働契約なので不可
○ 「35歳未満の方を募集」(簿記2級以上、経験不問)
必要な免許資格を定めていても、実務経験を有する資格でなければ認められます
× 「20歳以上35歳未満の方を募集」(経験不問)
下限年齢を定める場合は不可
×「35歳未満の方を募集」(経験者優遇)
×「40歳未満の方を募集」(経験があればなお可)
職務経験の有無が条件となっているので不可
○「来年3月卒業予定の方を募集」

ただし、新規学卒者以外の若年者にも門戸が開かれるように努める必要があります。

4 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

(例)
○「電気通信技術者として30〜39歳の方を募集(当社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人)」

5 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

(例)
○「演劇の子役のため、□歳以下の方を募集」

6 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

(例)
○「60歳以上の方を募集」
○(中高年齢者トライアル雇用の対象として)「45歳以上65歳未満の方を募集」
○(若年者トライアル雇用の対象として)「35歳未満の方を募集」

募集要項等への記載例 2

仕事の内容を具体的に説明した場合の例
×「若者向けの洋服の販売職として、30歳以下の方を募集」
○「10歳代後半から20歳代前半までの若者向けの洋服の販売であり、宣伝を兼ねてその商品を着用して店舗に出る業務である。」
×「長距離トラックの運転手として、45歳以下の方を募集」
○「長時間トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復し、重い荷物(□□kg程度)を上げ下ろしする業務であり、この業務を継続していくためには持久力と筋力が必要である。」
×「高所作業を行う業務のため、55歳以下の方を募集」
○「建設現場における高所(10m以上)での作業を行う業務であり、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要である。」


会社事務入門採用手続きの目次>このページ